第11話 魔王はナルシストなクソ野郎 Part2

「オ、オリビア、何でここに?大ケガしていたじゃないか・・・」


そう、目の前には、オリビアがいた。


「何か、お前が余計な発言をしそうな気がしたのでな、

このままではいけないと思い、気合でやってきたのだ」


オリビアが無事だったのは喜ばしいが、

必死でここまで来た理由がとても喜べないハラユキ。

しかし、わずかながらハラユキに良い流れが来た。


「ほう、オリビア。俺に会いに来てくれたのか。どうだ、今から俺の寝室で

夢のような時間を過ごさせてやろうか?

俺を知ったら、二度と忘れられないぜ。

朝までヒーヒー言わせてやるから、おとなしく俺の女になれよ」


もしこのセリフをキモ面が言えば、大罪として裁かれるだろう。

しかし、イケメンはこういうセリフも許されてきたのだろう。


「お誘いありがとう魔王様。いや、アンボニー。だけど、私はお前のような

見た目しか良いところの無い奴はお断りだ。

言っておくが、私はノンケだ。だが、貴様のような男は一切お断りだ。

触れられるだけで、蕁麻疹が出そうだしな」


オリビアは、ノンケである事はアピールしつつも、

アンボニーに辛辣な言葉を放った。


「そうか、オリビア。お前は目腐れを起こしているようだな。

目を覚まさせてやりたいが、面倒だ。

もったいないが、お前も死んでもらおう。

その底辺ゴミムシ芸人と一緒にな!」


アンボニーは、杖から色んな魔法を放ちながら、ハラユキとオリビアを攻撃する。


「これは、思ったよりやっかいだな。良く生きてたなハラユキ」

「ギリギリだけどな」


オリビアがいても、逃げる事が精いっぱいな状態だ。

いろんな魔法が、2人に降り注ぐように襲いかかってくる。


「オリビア、下手に隠れるなよ。奴は、隠れても稲妻の魔法で攻撃する。

それでさっき、ダメージを負ってしまった。」

「稲妻か・・・」


オリビアは、稲妻と聞き、何かを考え始めた。


「私に良い考えがある。」


そう言って、ハラユキに耳打ちをしだした。


「それ、うまく行くのか?」

「わからん。だが、今はあまり考えている時間は無い。作戦通りに行くぞ。」


そして、オリビアが逃げながら、大きな棚の下に隠れた。


「おいおい、そんなとこに隠れてもいいのかい?」


そう言って、アンボニーは杖を天にかかげ、稲妻の魔法を放とうとする。


「オリビア~、君は死なない程度には打ってあげるからね~!ヒャハハ!!」


気持ち悪い笑みを浮かべながら、稲妻の魔法を放つ。


「よし、今だ!!」


ハラユキは、オリビアから借りていた短剣を、アンボニーの近くに向けて投げる。

すると、アンボニーが放った稲妻が、短剣目がけて直撃する。


「ぐあーー!!!」


稲妻は短剣に直撃した瞬間、すごい勢いで発光する。

その光によって、アンボニーの目は眩まされた。


「くそっ、目が!!」


その隙を突くように、オリビアがアンボニーに突撃する。


「くたばれ!変態ナルシスト魔王!」


すごい勢いで剣を振り下ろすオリビア。

アンボニーも、必死で杖を使って捌く。


「こうなったら、やむ追えない」


アンボニーは、一瞬杖を胸に抱きしめ、魔力を解き放った。


「うわああああ!!」


オリビアが吹き飛ばされる。


「なんだ、何があった!?」


アンボニーの体の周りが、バリアのようなもので覆われていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る