第11話
私はちょっとだけ怖いと感じる。なんでお茶会のことを早く思い出せないのよ私。そう、このお茶会とは政治の話をする情報戦でもあるのだ。そういえば、お父様が、ハリーは何を考えている、と言っていたような? え? でも私と手を組みたいってどういうわけかしら? 待てよ? さっきのは遠回しな告白かしら? いや、王国の話を先にしているから違う。あーもー! かなり怖いんですけど!?
「ヴィクトリア、腕が震えているよ? 大丈夫ですよ。ボクがいますからね?」
美少年ハリーがそう言った。私はお茶会の内容を思い出した。ここにも、やっぱり破滅の入り口が存在する。しかも、私は今ひとりなのだ。ヤバい、早くここから立ち去らないと。まさか、このタイミングで前世の乙女ゲームの内容をちょっとだけ思い出したなんて。まだ運がいいのだ。
「どうしたのですか、ヴィクトリア? さっきから何も言わないけど? さあ、お茶をどうぞ」
さて、どうする? 私は今、立ち去る理由を必死で考えている。だが、何も思いつかない。ハリーはニコニコとしている。この笑顔は果たしてどっちの意味なのだろうか。破滅かそれとも? 私は頭がぐるぐる回り始める。このお茶会で、いつ破滅するかわからない。私は汗が出ている。ヤバい、ヤバい、立ち去る理由が見つからない。
「こんなところにいたのか? ヴィクトリア」
「ジョンとアラン?! どうしてここに?」
なんでジョンとアランがお茶会にいるのかしら? ジョンとアランが同じテーブルに着いた。私はわけがわからない。ヤバい、どうなるの?
「ヴィクトリア、そろそろ貴族学校に戻らないか?」
ジョンがそう言った。
「やれやれ、ハリーはお茶会で何を考えているのやら?」
アランがそう言って、私はちょっと安心をする。
私はジョンとアランが何を考えているかはわからないけど、とにかく助かったと思っている。私は無言で席を立つ。とりあえず、ジョンとアラン、ありがとう。私はこうハリーに言った。
「それじゃあ、また貴族学校で会いましょう」
続く
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