第10話

 私はお茶会の会場に到着した。なぜかひとりで来た。お父様が怖いから仕方ないけど、お茶会はお茶をするだけよね? それにしても、貴族の人たちでいっぱいなのですけどね? 大人ばっかりなのですけど。なんで私は貴族学校を休まされて、このお茶会に行かされたのかしら? そもそも、お茶会の記憶があんまりない。お父様、どういうわけなの。


「ヴィクトリア、貴女を待っていましたよ」


 え? どうしてハリーがここにいるの? ちょっと待って? まさか昨日の保健室のことでかしら? いや、ちょっとわけがわからないわ? 全然話がつながらない。あ、とりあえず。


「あらー、ハリーも来ていたの? お茶会を楽しみましょうか」


 すると、ハリーはニヤリとする。ん? なんでニヤリとしているのだろうか? うーん、気のせいかしら。私はハリーとお茶を飲みながら学校の話をする。しかし、ハリーはニヤニヤとしている。まったく、なんなのかしら? けれども、美少年ハリーのニヤニヤは消えて、いつもの表情になった。


「ボクは、貴女のかわいい寝顔を見て、ついつい一緒に寝てしまいました」


 えー!? そうだったの?! たまりませんわ!


 すると、ハリーはやさしい笑顔をうかべる。あ、ヤバい。私ってハリーにホレちゃいそう。いかん、私は悪役令嬢、破滅を避ける必要があるのよ。まったく、あぶないところよ。うんうん。


「この王国はとにかく広い。ボクは貴女と手を組みたいのです」


 え? なんなのかしら? 手を組みたいって、なんの話かしら? いや、待てよ? ちょっとだけ、乙女ゲームの内容を思い出したわ? 確か、お茶会は学校と違って、政治の話があるのよ。まさか、ハリーは私とこの王国を乗っ取るとかそういうことを考えているのかしら? これはヤバい。しかし、ハリーは確か12の男の子。まだそういう話は早いのでは? 思い出した、これはお茶会という名の情報戦?


「考えておいてくださいね? では、お茶の続きを楽しみましょう、ヴィクトリア」




続く

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