第41話   湖畔エリアでの死闘、花緒VSリヴァイアサン!

 火山エリアを抜けた先に待ち受けていたのは、広大な湖畔エリアだった。


 湖面は鏡のように澄んでいて、青空と白い雲が映り込んでいる。


 風がそよぐたびに、水面が揺れて光を反射し、キラキラと輝いていた。


 湖岸には緑豊かな木々が立ち並び、涼しい風が肌を撫でて心地よい。


 あーしは、少しの間その美しい景色に見とれていたが、次の試練が迫っていることを忘れるわけにはいかなかった。


 もちろん、このエリアのこともパパから聞いて知ってる。


 リヴァイアサンという龍のような蛇のような魔物がいる場所だ。


 そして、この湖畔エリアを抜けた先に魔王城へと近づくエリアがあることも聞いて知っていた。


 つまり、あーしは魔王城に着実に近づいているということ。


 こうなると、俄然あーしのモチベーションも高まっていく。


「よーし、ちゃっちゃっとこのエリアを抜けるぞ! そんでリヴァイアサンが出てきても絶対に負けないよ!」


 湖の周りを突き進んできながら、リスナーたちのコメントも確認する。


『戦魔大陸の湖畔エリアはデカイな!』


『まるで海じゃん!』


『さすがの湖の中を泳いでは渡らないだろ?』


『花ちゃん、頑張って!』


『リヴァイアサンってどんな魔物?』


『巨大なウミヘビ』


「みんな勘がするどいね! そうだよ、リヴァイアサンっていう魔物は超巨大なウミヘビ―—」


 と、あーしが答えたときだった。


 湖の中から巨大なリヴァイアサンが姿を現した。


 全長は50メートルは超えているだろう。


 その体は大きな鱗で覆われており、水を操る力を持っているという。


 そんなリヴァイアサンの鱗は太陽の光を受けて虹色に輝き、その威厳ある姿に圧倒される。


 湖の静寂が一瞬にして破られ、巨大な波が周囲に広がっていった。


「うわ~、マジでデカイいじゃん!」


 あーしが驚いた直後だった。


 リヴァイアサンは大きな波を起こし、あーしに向かって攻撃してきた。


 その波は高く盛り上がり、巨大な壁のように襲いかかってくる。


 しかし、あーしは80倍〈光気功〉で身体能力を強化。


 後方に十数メートルはジャンプして攻撃と津波を避ける。


「――〈千歩神拳〉!」


 あーしは空中から気弾を放った。


 ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン


 あーしの拳から放たれた気弾がリヴァイアサンの鱗に直撃するが、黄金色の気弾は内部にダメージを与えるどころか鱗を少し欠けさせただけだった。


 うっそ、マジ!


 あーしは地面に着地すると、ほぼノーダメージのリヴァイアサンと対峙する。


 リヴァイアサンの鱗は非常に硬く、簡単には傷つかないようだ。


 それでもあーしは諦めず、次の攻撃のタイミングを見計らった。


 リヴァイアサンは再び巨大な波を起こし、今度は水柱を立ててあーしを攻撃してきた。


 その水柱は勢いよく空に向かって上がり、次の瞬間、あーしに向かって槍のように降り注いだ。


 もちろん、あーしはその水柱を素早くかわしながら反撃する。


「これでも食らえ――〈千撃神拳〉!」


 ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ


 80倍〈光気功〉によるミサイル級の気弾のマシンガン――〈千撃神拳〉が、リヴァイアサンも直撃する。


 ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン


 だが、このときあーしは驚愕した。


 何とリヴァイアサンはあーしの〈千撃神拳〉を食らいながら、少しずつあーしに向かって近づいてきたのだ。


 このとき、あーしは恐怖よりも歓喜してニヤリと笑った。


 それは圧倒的な強者を前にした、真の空手家の笑みだった。


 とはいえ、このままだと間合いを詰められてあーしがやられる。


 だとしたら、やることは決まっている。


「80倍でダメなら90倍よ!」


 あーしは90倍の〈光気功〉による〈千撃神拳〉を撃ち放った。


 ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ――――ッ!


 そしてリヴァイアサンに直撃。


 ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!


 今度こそリヴァイアサンは木っ端微塵になった。


 巨大な爆発と爆風に乗って、ミンチ化した肉片が周囲に飛び散る。


「どんなもんだい!」


 あーしが配信画面にグッジョブサインをすると、リスナーたちの歓声コメントが爆速で流れていく。


『うひいいいいいいいいいいいいいいいい』


『凄すぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい』


『ほえええええええええええええええええええ』


『やべええええええええええええええええええええええ』


『マジのガチで神すぎるwwwwwwwwww』


『こっちの世界だと神話級の魔物なのに』


『花ちゃん、すごいすごい!』


『次も頑張ってね! 応援してるよ!』


『アメリカ大統領がXで花緒のファンだってポストしてたwwwwwwwwww』


『日本に帰ってきたら英雄だな』


『国民栄誉賞は確実wwwwwwwwww』


 あーしは多くのコメントを見ながら満面の笑みを作る。


「ありがと、みんな! もう少しで魔王城だから、まだまだ応援よろしくね!」


 こうして、あーしは次のエリアへと向かったのだった。




〈ギャル空手家・花ちゃんch〉


 最大同接数 899万5000人


 チャンネル登録者数 769万7000人





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る