【完結】金髪ギャル空手家がダンジョン配信したら大バズリした件 ~圧倒的な強さで楽々とソロ攻略しすぎたから、その勢いで魔王を倒しに異世界へ行くことにしたよ❤
第34話 中庭での魔法対戦、姫川花緒VS4人の魔法使い!
第34話 中庭での魔法対戦、姫川花緒VS4人の魔法使い!
「学園長、ぜひとも私たちにもこの人をテストさせてください!」
最初に口を開いたのは、金髪のスレンダー系美女だった。
うわ~、女のあーしから見ても美人!
「私は炎魔法の専門家――アイリスです」
へえ~、金髪美女さんはアイリスさんっていうのか。
次に銀髪のロリ系の美少女が一歩前に出て、アニメ声で自己紹介を始めた。
「うちは水魔法の使い手――リリィやで」
ほえ~、銀髪ロリっ娘は関西弁だ。
続いて、眼鏡をかけた清楚系の美女が丁寧に頭を下げた。
「あたくしは風魔法のエキスパート―—マリアと申します」
うわお、最後に来たわね。
男子が大好物そうな清楚系お姉さま美女が。
ちなみに、あーしも大好きです❤
などと思ったあーしは、最後の1人に顔を向けた。
え~と……
4人目は美女とは程遠い存在の子だった。
栗色の毛は艶やかでいいのだけど、いかんせん太っている。
まろやかに言い換えれば肥えている。
それも丸々と肥えに肥えている。
体重は軽く100キロは肥えて……いや、超えているに違いない。
まあ、それよりも。
あーしは考えた。
3人の美女たちの専門が「炎、水、風」と来れば、おのずと太った子の得意な魔法が特定できる。
うん、きっと彼女は地の魔法の使い手ね。
「ワダす……もぐもぐ……大食い魔法の……もぐもぐ……モニカって……もぐもぐ……いいます……デュフフフフ……どんぞ……もぐもぐ……よろじく」
えええええええええええええええええええええええええ
ちょっと待って!
そこは順当に行けば「地の魔法」でしょうが!
何よ「大食い魔法のモニカ」って!
その自己紹介だと「モニカ自体が大食い魔法」みたいな言い方じゃない!
もしかして、あなた人間じゃなくて魔法が擬人化した姿なの?
モニカのことはわからなかったが、あーしが4人になぜか喧嘩を売られていることだけはよくわかった。
……何で?
あーしが頭上に「?」を浮かべていると、彼女たちは一斉に、誇らしげに胸を張ってあーしに向かって言った。
「私たちはこの魔法学園の4大美女魔法使いです!」
花緒はその自己紹介に驚きを隠せなかったが、すぐに気を取り直して応じた。
1億歩ゆずっても絶対に1人だけ「美女」のカテゴリーに入れてはいけない人物がいる……何かビーフジャーキみたいなの食べてるし。
うん、あんまり深く考えないようにしよう。
あーしは努めて冷静に「それで?」とたずねた。
「あなたたち4大美女さんがあーしに何のテストをするの?」
アイリスが「決まっています」と人差し指を突きつけてくる。
「あなたが〈エアワン〉に乗る資格があるかどうかです! その力量を測るため、中庭で私たち4人と順番に戦ってもらいます! 〈エアワン〉に乗るということは戦魔大陸に行って魔王と闘うということ! 生半可な覚悟で〈エアワン〉を求められては困ります!」
どうしてあなたたちは〈エアワン〉のことについて知ってるの?
というか、もしかしてずっと聞き耳を立てていた?
あーしの疑問が氷解するよりも、なぜかあっという間に学園中に「国を救った闘姫と4大美女魔法使いが中庭で闘うぞ」という噂が広まった。
そして十数分後、あーしと4大美女魔法使いとの対戦が始まった。
中庭に到着すると、すでに全生徒が集まっていた。
観客たちはざわつきながら、これから始まるあーしと4大美魔法使いとの対戦に期待と興奮を抱いているようだった。
「さあ、始めるぞ!」
審判役の先生があーしと4人の間に入り、格闘技の審判よろしくルールの確認を行う。
基本的に武器の使用はダメ。
素手もしくは魔法を使って相手を打ち負かすこと。
その際、怪我や死亡しても競技中の事故として処理されると平然と言ってのけた。
ひえええ、おっかない。
……と、普通のギャルなら思うだろうけど、お生憎さま。
あーしは配信者で空手家。
それぐらいのリスクは覚悟の上よ!
あーしは顔の横に飛んでいる、〈隠蔽〉スキルで他の人からは透明になっているドローンの配信画面を見る。
『花ちゃんが美女4人と魔法対決!』
『いやいやいや……1人だけどう考えてもオークの女版みたいな奴が混じってるだろ』
『さすがに4大美女は言い過ぎwwwwwwwwwww』
『俺はデ〇専だからむしろ大好物wwwwww』
『こりゃあ見逃せねえぜ!』
『ガンバレ、花ちゃん!』
ありがと、みんな!
あーし、頑張るからね!
数分後——。
何やかんやで対戦することになった。
勝敗は4勝すれば、あーしの勝ちだという。
そして最初に対戦するのは、炎魔法のアイリスだった。
対戦が始まるなり、アイリスは手のひらに大きな火球を生成した。
「私の炎魔法の力を見せてあげるわ! 炎の大玉!」
アイリスは火球をあーしに向かって放った。
しかし、あーしは動じることなく、〈光気功〉を発動させてその火球をサッカーボールのように蹴った。
ボンッ!
火球はあっさりと霧散した。
うん、全然平気。
まあ、向こうも最初は様子見の弱い魔法を打ってきたと思うから、ここからが本番だと慎重にならなくちゃ。
「そんな……私の最大魔法を破られては成すすべもありません。参りました」
と、アイリスはあっさりと敗北を認めた?
ほえ? もう終わり?
「よっしゃあ、次はうちの番やで! 覚悟しいや!」
次の相手は水魔法を使うリリィだった。
リリィは両手を広げ、水の魔法を鞭の形にして襲いかかった。
「水蛇の舞!」
リリィの水の鞭はまるで生き物のようにうねり、あーしに向かってきた。
それでもあーしは動じない。
あーしは再び〈光気功〉を使い、その水鞭を〈気〉を込めた手刀でバラバラにした。
リリィの目が点になり、口がポカンと半開きになる。
やがてリリィの口からこんな言葉ができた。
「うちの負けです」
これで2連勝。
残りはあとあと2人。
そう思って残りの2人——マリアとモニカが控えていた場所を見る。
あれ? いないんですけど?
マリアとモニカの姿が中庭から消えていた。
すると審判が申しわけなさそうに答えた。
「え~……マリアくんは急に彼氏に呼び出されたとかで棄権退場。モニカくんはお腹が空いたとかで棄権して食堂にむかった……だから君の勝ちだ!」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
中庭に歓声が沸き起こった。
「すげえええええええ」
「魔法学園の4大美女魔法使いを倒しやがった!」
「それも圧倒的な力で!」
「俺、あいつを推そうかな」
「まさか、将来は勇者PTに入れると噂される4人を倒すとは」
などと褒められていると、学園長が満面の笑みで近づいてきた。
「素晴らしい。姫川花緒さん、あなたの力は本物だったのね。だとしたら、私たちが持つ〈エアワン〉の秘密を教えてあげねば」
こうも簡単に手のひらを返す大人はあまり好きじゃない。
本当はお腹に1、2発はあーしの拳を食らわせたかったが、異世界に来て人殺しになりなくないので自制しておいた。
「さあ、こちらへ来なさい」
学園長はあーしを魔法学園の地下に案内した。
地下室は薄暗く、壁には古代文字が刻まれており、魔法学園の歴史がしみ込んでいるようだった。
学園長が扉を開くと、冷気が流れ出し、その奥に輝く物体が現れた。
第一印象は、ずばり銀色の円盤型の飛行物体——UFOだ。
「これが〈エアワン〉だ。君なら使いこなせるはずさね」
花緒はその言葉を受けて、〈エアワン〉の中に入った。
操縦席に座り、操縦桿を握った。
すると、あーしは本能でわかった。
「――〈光気功〉」
ズズズズズズズズズズズズズズズズズ――――…………
弱めの〈気〉を両手に集中させ、黄金色の〈気〉をまとわせた状態で操縦桿を握る。
ピピピピピピピピ
あーしの〈気〉に反応したのだろう。
エンジンをかけた車のように〈エアワン〉自体が動き始めた。
【目的地を設定してください】
有名な声優さんの合成音声みたいな声でそう訊かれた。
ますますカーナビのようだ。
「え~と……戦魔大陸に行きたいんだけど」
【目的地設定OK——戦魔大陸】
合成音声がそう言うと、〈エアワン〉は真上にゆっくりと浮かび上がった。
このままだと天井にぶつかっちゃうけどいいの?
「おい、〈エアワン〉が動く! さっさと天井のハッチを開けな!」
学園長が他の先生たちに告げると、天井のハッチが左右に開き始めた。
抜けるような青空と陽光が降り注いでくる。
「あんたの武運を祈ってるよ」
学園長が手を振りながら言ってくる。
あなた、さっきまでメッチャ喧嘩腰だったよね?
微妙にヤキモキしながらも、〈エアワン〉はすでに天井を抜けて上空へ向かっていく。
あーしは窓から眼下を眺めた。
全生徒たちがあーしに手を振っている。
これから戦争に行く人間の見送りをするように。
無事に帰ってきたら盛大に出迎えると言わんばかりに。
うん、あーしはここには帰ってこないけどね。
帰るとしたら学園長をぶん殴りに帰ってくるよ。
そういう感情にならないことを自分に祈りつつ、あーしを乗せた〈エアワン〉は戦魔大陸に向かって飛行していく。
この瞬間、あーしはバチッと気持ちを切り替えた。
さあ、いよいよ魔物のユートピアと呼ばれる戦魔大陸に乗り込むわよ!
待ってなさい、異世界の魔王!
この姫川花緒がギッタギタのメッタメッタのボッコボッコにしてやるんだから!
〈ギャル空手家・花ちゃんch〉
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