第9話   岩石エリアのゴーレム討伐! 

 あーしは岩石エリアに足を踏み入れた。


 ここはゴーレムの巣窟として知られる場所だ。


 目の前に広がる荒涼とした風景には、巨大な岩石が散乱し、重々しい雰囲気が漂っている。


 岩の間を歩きながら、視界の端に捉えた動きが私の注意を引いた。


「今日はゴーレム狩りだね。よし、頑張るぞ!」


 すでに配信は開始していたため、カメラドローンがあーしの周囲を飛び回り、その動きを確認するリスナーたちのコメントが続々と表示される。


『花ちゃん、がんばって!』


『ゴーレム討伐、楽しみにしてるよ!』


『今日も期待してるぜ!』


 あーしの心は燃え上がり、さらに闘志が湧いてくる。


「ありがと。今日もみんなのストレスを全力で解消――」


 させてあげるね、と言葉を続けようとしたときだ。


 あーしの目の前にゴーレムたちが現れた。


 全部で5体。


 巨大な岩石で構成された体は重厚で、圧倒的な存在感を放っている。


 しかし、あーしにとっては単なる動くレゴに見えた。


「さあ、いっちょやるよ!」


 あーしは瞬時にゴーレムの懐に飛び込み、強烈な蹴りを叩き込んだ。


 ゴーレムの巨体が一瞬で崩れ、岩の塊となって地面に散らばる。


「次!」


 続けて襲いかかってくるゴーレムたち。


 あーしの動きは止まらない。


 拳と足が次々とゴーレムを粉砕し、あっという間に5体目を倒したとき、リスナーたちは興奮の絶頂に達していた。


『すげぇ! 花ちゃん最強!』


『あのゴーレムたちをこんなに簡単に倒すなんてすげええええ!』


『俺のストレスが解消されていく!』


 あーしは微笑んだ。


 みんなのためになるなんてダンジョン配信は最高だね。


 そう思ったときだった。


 突如として地面が揺れ、あーしの10メートル手前に巨大な影が現れた。


 目の前に現れたのは、通常のゴーレムとは一線を画す存在。


「まさか、アイアン・ゴーレム!」


 アイアン・ゴーレムは金属で覆われた巨体を持ち、その硬さと力は普通のゴーレムとは比較にならない。


 あーしの心は一瞬引き締まり、リスナーたちも息を呑んで見守っている。


『あ、アイアン・ゴーレムってマジか!』


『やべえええええええ』


『イレギュラーじゃん!』


『花ちゃん、逃げてええええええええ』


「ごめん、みんな。あーしは逃げない」


 だって空手家だもん!


 あーしはアイアン・ゴーレムに向かって吼えた。


「さぁ、勝負だ!」


 あーしの闘気に反応したのだろう。


 アイアン・ゴーレムが地響きを立てながら突進してくる。


 間合いが縮まったとき、アイアン・ゴーレムの拳があーしに振り下ろされる。


 あーしはそれをかわしつつ、隙を見つけて攻撃を仕掛ける。


 懐に飛び込んで全体重を乗せた蹴りを放つ。


 ドオオオオオオオオンッ!


 だけど、その金属の装甲は予想以上に硬く、あーしの蹴りは通じない。


「こいつは手強いじゃん」


 何度も繰り出される攻撃を避けつつ、あーしは次第に疲労を感じ始める。


 しかし、ここで負けるわけにはいかない。


 ドローンをちらりと見ると、配信画面にリスナーたちの応援コメントが滝のように流れている。


『頑張れ、花緒ちゃん!』


『フレー、フレー、負けるな!』


『絶対に勝ってくれ!』


 そのコメントがあーしの心に火をつける。


 もちろん、あーしは負けないよ!


 あーしは特別な呼吸をすると、全身に〈光気功〉の力をまとわせた。


「ここからが本番よ!」


 あーしの体から黄金色の光が溢れ出し、全身がその光に包まれる。


〈光気功〉の力があーしの中で高まり、身体能力が数十倍に跳ね上がる。


 直後、あーしは地面を蹴り、空中へと飛び上がる。


 アイアン・ゴーレムの頭上に達した瞬間、全力の蹴りを放つ。


「――〈飛竜蹴り〉!」


 その蹴りがアイアン・ゴーレムの頭部に炸裂し、轟音とともにその巨体が崩れ落ちる。


「どんなもんだい!」


 あーしは地面に降り立つと、アイアン・ゴーレムの残骸の真上でリスナーたちにピースサインを見せる。


『うわああああああ、花ちゃん最高!』


『〈飛竜蹴り〉、めっちゃカッコイイ!』


『やっぱり花ちゃんは最強のダンジョン配信者だ!』


「ありがと! みんなのおかげでチャンネル登録10万人も突破したし、この調子でどんどんダンジョンの奥に行くよ!」


 目指せ、次はチャンネル登録者50万人!


 あーしの快進撃は止まらないよ!



〈ギャル空手家・花ちゃんch〉


 最大同接数 11万4100人


 チャンネル登録者数 16万7000人


 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る