第7話   廃墟エリアの激闘、デュラハンとの戦い!

 廃墟エリアの入口に立つと、周囲にはかつての繁栄を偲ばせる瓦礫や崩れた建物が広がっている。


 静寂と陰鬱が漂う中、あーしはドローン越しにリスナーたちに語りかけた。


「やっほー、みんな! 今日は廃墟エリアで新しい敵、デュラハンと戦うから、しっかり見ててね!」


 あーしの声は元気いっぱいで、金髪のポニーテールが風に揺れる。


 その姿はカメラにしっかり捉えられ、リスナーたちのコメントが次々と流れていく。


『廃墟エリアとか怖そう!』


『デュラハンって強そうだけど、花ちゃん大丈夫?』


『デュラハンってどんな敵だっけ?』


『首なしの西洋騎士』


『おお、今日はどんな戦いが見られるかな!』


「みんな、応援ありがと! あーし、負けないから見てて!」


 廃墟の奥へと進むと、建物の影が薄暗い道を覆い、湿った土の匂いが鼻を突く。


 やがて大きな建物の前に到着すると、そこには首を持った鎧姿のデュラハンが立っていた。


 鎧の輝きが暗闇の中で不気味に光り、まるで彼を取り囲む闇そのものが彼の一部であるかのようだ。


「あれがデュラハンか……ふ~ん、なかなかイカしてるじゃん」


 上空からドローンに見守られながら、あーしとデュラハンの戦いが始まった。


 最初に攻撃を仕掛けてきたのはデュラハンだ。


 ダンッ!


 と地面を蹴って疾風の如く猛進してくる。


 その動きは、まるで一瞬で距離を詰める影のようだった。


 あーしはその場から一歩も動かず、デュラハンを堂々と迎え撃つ。


 間合いが詰まった直後、デュラハンはロングソードで攻撃してきた。


 あーしの頭上目掛けて振り下ろしてくる。


 でも、あーしは冷静にその動きを冷静に見極めた。


 あーしは後方に飛んでデュラハンの斬撃のを躱したのだ。


 ドガアアアアアアアアンッ!


 遠心力で加速したロングソードが地面に激突し、周囲の建物の一部が崩れ落ちるほどの強震が起こる。


 だけど、あーしはその程度では微塵も動じない。


 なぜなら、あーしは空手家だからだ。


 地面が揺れようが、あーしの体幹と足腰はそんなヤワではない。


 もちろん精神力もね!


 現にあーしの身体は、倒れずにその場に踏み止まっている。


 一方、デュラハンは流れるような動きで追撃してきた。


 今度は薙ぎ払いだ。


 真横から突風のような勢いの斬撃が襲い掛かってくる。


 あーしはカッと両目を見開いた。


「――〈光気功〉ッ!」


 花緒は瞬時に自身の肉体の右拳を強化。


 デュラハンの斬撃を屈んでやり過ごすと、その直後の勢いよく踏み込んで必殺の正拳突きをお見舞いする。


 ガギイイイイインッ! 


 鋼に鋼を叩きつけたような甲高い音が周囲に響く。


 あーしの拳がデュラハンの鎧に次々と叩き込まれるが、その硬い鎧はあーしの攻撃を吸収するかのように、ほとんどダメージを受けていない。


「こいつ、硬すぎじゃん!」


 デュラハンはさらに猛攻を仕掛けてくる。

 

 剣の一撃を避けるたびに、廃墟の地面が粉々に砕け、あたりは破壊の痕跡で満ちていく。


 あーしはその圧倒的なパワーに一瞬ひるむが、すぐに立ち直る。


「くっそ、こいつしぶといな……でも、あーしは負けない!」


 激しい攻防が続き、互いに一歩も譲らない。


 あーしはデュラハンの動きを読み、その隙を突いて再び渾身の一撃を放つ。


 これでとどめ!


 あーしの拳がデュラハンの鎧を貫き、その体を打ち砕く。


 しかし、次の瞬間——


 デュラハンの体は崩れ落ち、内部から小さなネズミが現れる。


「な、何これ……ネズミ?」


 その姿を見て、あーしは驚きと共に直感した。


 デュラハンはただの操り人形であり、真の敵はこのネズミだと。


 なぜなら〈光気功〉で強化したあーしの目には、ネズミから青白くて細長い〈気〉が伸びていて、そのままデュラハンの身体と繋がっているのが見えたからだ。


「なるほど、こいつが本当の黒幕ってわけね!」


 リスナーたちもその光景に驚き、コメント欄が大騒ぎになる。


『花緒ちゃん、気をつけて!』


『こいつあれだ! 操りネズミっていうレアモンスターだ! 初めて見た!』


『がんばれ、花ちゃん!』


「みんな、心配ありがと! あーし、負けないから!」


 あーしは〈光気功〉の力を使い、気配を察知することで操りネズミの動きを完全に捉えた。


 黄金色の光に包まれているあーしは、驚異的なスピードで操りネズミに接近し、渾身の一撃を放つ。


「とりゃああああああああああ」


 拳が操りネズミに直撃し、その小さな体は粉々に砕け散った。


 操りネズミの消滅と共に、デュラハンも完全に動きを止めた。


「やった! みんな、見てた!」


 リスナーたちはあーしの勇姿に感動し、コメント欄は大盛り上がり。


 応援のメッセージが次々と流れる。


『花緒ちゃん、最高!』


『〈光気功〉、めっちゃカッコイイ!』


『このままインフルエンサー目指して頑張ってくれ』


『初見です。今日からあなたの推しになります』


『何でギャルがこんなに強えんだよwwwwwww』


 配信が終わると、その映像はすぐにSNSや有名動画投稿サイトで拡散され、またまた大バズりすることとなった。


 よし、このまま配信頑張るぞ。


 そんで、まずはチャンネル登録10万人で銀剣を貰いたいな。



〈ギャル空手家・花ちゃんch〉


 最大同接数 1万6000人


 チャンネル登録者数 2万6421人

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る