第6話   森林エリアで一騎打ち、秘めていた花緒の奥の手!

 前回のリザードマン討伐も大バズりした、あーし。


 今日は森林エリアの奥で、さらなる強敵との戦いに挑むよ。


 リスナーたちも期待を胸に配信を待っているからね。


「今日もみんな、見に来てくれてありがと! 今回は森林エリアで巨大な猪、ワイルドボアと一騎打ちだよ!」


 あーしの金髪ポニーテールが揺れ、ドローンのカメラがその姿をしっかり捉える。


 画面にはあーしの自信に満ちた笑顔が映し出され、リスナーたちのコメントが次々と流れる。


『花緒ちゃん、今日も頑張って!』


『ワイルドボアってめっちゃ強そうだけど、大丈夫?』


『花緒ちゃんの勇姿を楽しみにしてる!』


「みんな、応援サンキュー! 今日も楽しみにしててね!」


 森林エリアの奥へと進むと、辺りはだんだん薄暗くなり、湿った土の匂いが鼻をつく。


 木々の間から差し込む陽光が薄暗い道を照らし、まるで迷路のように入り組んでいる。


 その奥に開けた場所が現れた。


 そこには巨大な猪——ワイルドボアがいた。


 体長は2メートルを超え、鋭い牙と硬そうな毛皮が特徴的だ。


「あれがワイルドボア……うん、なかなか迫力あるじゃん」


 自分のテリトリーに敏感なのだろう。


 ワイルドボアは怒りに満ちた目であーしを睨みつけ、一気に突進してきた。


 ピギイイイイイイイイイイイイイイッ!


 地面が揺れるほどの衝撃に、周囲の空気と草木が震える。


 あーしはその猛進を冷静にかわし、背後から攻撃を仕掛ける。


「こっちだよ、おバカ猪!」


 あーしは拳を固め、一気に間合いを詰めてワイルドボアの側面に回り込む。


 そして全体重を乗せて正拳突きを叩き込む。


 だけど、その硬い毛皮は思った以上に頑丈で、攻撃はあまり効いていない。


「なにこれ、全然効いてないじゃん!」


 ワイルドボアは再び突進してくる。


 あーしはその動きを読みつつ避け、再び攻撃を仕掛ける。


 今回は飛び上がり、強烈な踵落としを額に叩き込んだ。


 するとワイルドボアはその場に倒れ込み、動かなくなったかのように見えた。


 しかし、次の瞬間、異変が起きた。


 ワイルドボアの額から巨大な角が生え、体長も2メートルから3メートルに変化していく。


「な、何これ……まさか、イレギュラー!」


 リスナーたちも驚き、コメント欄が大騒ぎになる。


『花ちゃん、大丈夫!!』


『イレギュラーなんて初めて見た!』


『逃げろ、花ちゃん! あいつはキングワイルドボアだ!』


「みんな、心配してくれてありがと! でも、あーしは負けないから!」


 キングワイルドボアとなった敵はさらに凶暴になり、角を振り回して攻撃してくる。


 その角が地面を削り取り、周囲の木々をも切り裂く威力だ。


 あーしはその猛攻を避けつつ反撃を試みるが、相手のパワーとスピードに苦戦する。


「こいつ、マジで強すぎるんですけど……」


 その瞬間、あーしは決意した。


 今まで隠していた奥義、〈光気功こうきこう〉を使う時が来たと。


「もう、しょうがないな……ここでちょっとだけ本気出しちゃうか!」


 あーしは深く息を吸い込み、集中力を高める。


 全身が黄金色の光に包まれ、身体能力が数十倍に跳ね上がる感覚に満たされた。


 その姿にリスナーたちは驚きと感動のコメントを送ってくる。


『すごい!』


『花緒ちゃん、何その技!?』


『これは……勝てる!』


「もちろん、勝てるよ! あーしの〈光気功〉の強さはパパも認めてくれたからね!」


 全身が黄金色の光に包まれたあーしは、驚異的なスピードでキングワイルドボアに接近し、渾身の一撃を放つ。


 ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


 その拳はまるで光の槍のように輝き、キングワイルドボアの巨体を貫く。


 キングワイルドボアはその場に崩れ落ち、動かなくなった。


 あーしは息を整え、画面に向かって微笑んだ。


「みんな、見てくれてありがと! 今日も楽しんでくれた?」


 リスナーたちはその勇姿に感動し、コメント欄は大盛り上がり。


 応援のメッセージが次々と流れる。


『花ちゃん、最高!』


『すげええ! 〈光気功〉、めっちゃカッコイイ!』


『やっぱり花ちゃんは最強のダンジョン配信者だ!』


 配信が終わると、その映像はすぐにSNSや有名動画投稿サイトで拡散され、大バズりすることとなった。


「さあ、次はどんな強敵が現れるのかな」


 あーしはウキウキと別のエリアに向かうのだった。



〈ギャル空手家・花ちゃんch〉


 最大同接数 8700人


 チャンネル登録者数 1万203人

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