第2話   2回目の配信、トロールとの激闘!

 押忍、あーし、姫川花緒!


 いや~、前回の配信は自分でも中々よかった。


 それにゴブリン退治がウケて、あれからSNSでフォロワーが増えた。


 よーし、この調子でリスナーも増やすぞ!


 さあ、ドローンをセットして、配信スタート!


「やっほー! 今日はゴブリンよりも強い魔物退治に挑戦するから、みんな楽しみにしててね!」


 すると待機してくれていたリスナーたちからコメントが返ってくる。


『SNSで話題になっていたから来ました』


『今日はトロールを単独で倒すってガチ?』


『やめとけ、やめとけ。トロールをギャルが倒せるわけねえだろ』


「倒すに決まってんでしょ!」


 ゴブリンよりもトロールはマジでヤバいって噂はよく聞く。


 でっかいし、力もハンパないみたいだから。


 だけど、あーしの空手技なら余裕でイケるって信じてる。


『何にしても今日も楽しみにしてる!』


『せいぜい気をつけろよ』


『花ちゃん、頑張ってね!』


「みんな、心配しなくて大丈夫だから。あーしが超カッコイイとこ見せるからさ!」


 ダンジョンの奥に進むと、早速とばかりに目の前に巨大なトロールが現れた。


 身長は160センチのあーしと同じぐらいだけど、筋肉の塊みたいな体。


 そんなトロールがあーしに気づき、怒りの咆哮を上げた。


「さあ、来なさい!」


 間合いを詰めてきたトロールが、巨大な棍棒を振り下ろしてくる。


 あーしは瞬時にかわして、トロールの懐に飛び込んだ。


「せいやっ!」


 速攻で突きを繰り出して、トロールの腹部に深く食い込ませる。


 トロールは痛がって、さらに怒り狂い、巨大な棍棒を振り下ろしてきた。


「もう!」


 棍棒の一撃をギリギリでかわしながら、あーしは次の作戦を考える。


 こうなったらトロールの巨体を利用して、弱点を突くしかないっしょ。


 あーしはトロールの背後に回り込み、その足元を狙って蹴りを放った。


「これでどうだ!」


 トロールの膝に一撃を加え、その巨体を揺らす。


 バランスを崩したトロールが一瞬の隙を見せた。


 その瞬間、あーしは全力で飛び上がり、トロールの顎に強烈な上段突きを見舞った。


「これで終わり!」


 トロールは巨体を揺らしながら、ゆっくりと倒れ込んだ。


 あーしは息を整え、ドローンの配信画面に向かって笑顔を見せた。


『すごい!』


『おいおい、マジで素手でトロールを倒したのか!』


『花ちゃん、強い!』


 リスナーたちのコメントが一気に溢れ出し、あーしの心は喜びで満たされた。


「どうだ、あーしの実力! 次回もお楽し――」


 配信を切ろうとしたあーしだったが、そこでふと気づく。


 戦いの興奮はまだ続いていた。


 倒れたトロールの背後から、さらに大きな影が現れた。


 トロールの親玉? 


 それともさらに強力な魔物か?


 あーしの心は高鳴り、リスナーたちも画面越しにその巨大な影に釘付けになった。


 答えは前者だった。


 現れたのは、2メートル以上もあるトロールの親玉だった。


 あーしは構えた。


 トロールの親玉は、先ほどのトロールよりもさらに巨大で、全身に筋肉が盛り上がっている。


 しかも、目は赤く輝き、その姿はまるで悪夢のよう。


『やばい、あれって……』


『あ……これ死んだわ』


『花ちゃん、負けるな!』


「みんな、安心しなって。あーしはこんなところで負けないよ!」


 そう言うと、トロールの親玉が吠え、地響きを立てながら近づいてきた。


 あーしはその攻撃をかわしながら、次の一手を考える。


 今度の相手は一筋縄ではいかない。


 体力も攻撃力も段違いだ。


「これじゃ全然効かないかもだけど、やってみるしかないっしょ!」


 あーしは素早くトロールの親玉の背後に回り込み、その巨体を利用して跳躍。


 一瞬の隙を見つけて、全力でトロールの顎に跳び蹴りを繰り出した。


 しかし、その攻撃はトロールの硬い皮膚に弾かれてしまう。


「マジ……」


 それでもわずかなダメージは与えたのだろう。


 トロールの親玉は怒り狂い、巨大な拳を振り下ろしてくる。


 あーしはそれを避けるも、その一撃で地面が割れ、岩が飛び散る。


「まあまあの強さね……だけど」


 しかし、あーしは諦めない。


 リスナーたちの応援と、父親譲りの大武闘家の血があーしを奮い立たせる。


「こんなところで負けてたまるか!」


 あーしは再び立ち上がり、今度はトロールの親玉の足元を狙う。


 全力で蹴りを放ち、その巨体を揺らすことに成功する。


 トロールの親玉が一瞬のバランスを崩したその瞬間、あーしは全力で跳び上がり、トロールの頭部に強烈な一撃を見舞う。


「これで終わり!」


 トロールの親玉は巨体を揺らしながら、ゆっくりと倒れ込む。


 あーしは息を整え、配信画面に向かって勝ち誇った笑顔を見せた。


「うん、余裕っち!」


『すごいすごい!』


『ええええええ、マジでトロールの親玉を倒しやがった!』


『花ちゃん、マジで最強!』


 リスナーのコメントが一気に爆発し、あーしの心は喜びでいっぱい。


 やっぱり、あーし最高って感じ!


「どうだ、あーしの実力! 次回の配信も楽しみにしてね!」


 こうして、あーしのトロール退治も大成功に終わった。



〈ギャル空手家・花ちゃんch〉


 最大同接数 40人


 チャンネル登録者数 32人


 

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