第9話 新規開拓、おれの新しいあり方
こんなにも世界は変わるモノなのか。セカイは俺に語りかけてくる。企業からの誘い。作家としてではなく、経営者として語って欲しいとのことだ。さらには顧問としても迎え入れるとのことだ。Hとは既にビジネスパートナーとして付き合っている。俺を相棒として認め、お互いに気に入った案件を紹介し合う。こうして、会社もカネもどんどん大きくなっていった。
作家業をヤメテしまったかって?
そんなことはない。俺にとって作家業は、フロントエンド。書籍を発刊すれば、印税も多く入るのだが、俺を知ってもらうのが何よりの目的。読者が俺のソンザイを知り、そして広めてくれる。今では俺の生き方を真似たいと願うモノ達を受け入れ、ゴーストライターとして働いてもらっている。最近では、俺は俺自身を商品化し、その立ち振る舞い、コトバ、容姿に気を遣っている。
セカイが、ジダイが、俺を必要としている。
「お帰り……。また、遅かったんだね……」
都内の閑静な住宅街。ここには2年前に引っ越してきた。1区画、約150坪。この辺りでは、広すぎず、狭すぎずの敷地に建てられた一軒家を周りの人間は、書籍御殿なんて言うが、俺はほとんど家にいることはない。
子どもたちはノビノビと暮らし、好きなことをしていると聞く。通う学校も地域柄、下品な人間もイナイから大きなモンダイもないだろう。毎月の生活費を気にし、昼食を抜くような生活が懐かしい。そんな状況なのに、いつもコイツは暗い顔をしている。
ナニガ、キニクワナインダ……。
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