第8話 弟子入り
突き抜けたソンザイになるためには、誰かに師事しなければならない。学ばなければ、成長はココで止まってしまう。俺は、電子書籍作家のビックネームに弟子入りを申し出るダイレクトメールを送った。
名を『H』という。フォロワー数、印税、企業コンサルによる月収、人気。すべてが俺のそれを遥に上回る。恥も外聞もない。難題を突き付けられようと、学び、すべてを吸収し、取り入れ、より洗練する。そして、俺はH以上にセイコウをしてやる。
Hからの教えを受けるには、結構なお金がかかった。月額30万円。この方法でHは、その収入の一部を確保している。週に3日は、Hの事務所に出勤し、彼と共に一日を過ごす。時には、セミナーに同行するなど、秘書兼カバン持ちのようなものだ。こういった誘導・事業展開方法も学びになるのだが、日々の行動、発言、そして作業を間近で見ることは、俺の考えを根底から覆すものだった。
仕事や事業、お金に対する考え方がまったく違うのだ。あえて言うならば「見ている・見えている世界がチガウ」。通常、新しい仕事をはじめる際には、検討・検証を行った後、計画を立て、進める。計画を遂行するため人を、仕事を割り振り、管理者を置く。更には、効果検証を行い、見直し、仕事の精度を上げていく。これを繰り返し行っていくことが一般的な仕事のヤリカタだろう。
Hの場合、オモシロイと思ったら「ビジョン」を買う。通常仕事といわれているものは、他の誰かがやる。事業を丸ごと委託してしまうのだ。この方法に俺は、驚きを隠せなかった。自らが行うことは、進捗を聞くことと、軽くコメントをするのみ。そして、事業から多額の収入を得る。
俺は、Hの一足一挙動を記録し、吸収し、実践をしていく。オモシロイことに2カ月目には、俺の元には数百万円が転がり込むようになっていた。同時に俺の名前がどんどん広がっていく。フォロワーも5万人を越えた。もちろん書籍も飛ぶように売れる。
大型書店でのサイン会も開催し、300人を越える来場者もあった。俺の世界が新しくなる。世界は、俺を中心にして動き始めたのだ。
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