第3話〇ロゲみたいな家族

 あの後何事無く帰宅できた。

 疲労のせいか日課のネトゲをやることなくすぐ寝た。

 運動した後だからかスッキリ起きれた。

 時間は午後12時飯時だ。

 スマホで昨日の戦果を確認する。

 そこには15万と映っておりメッセージにて。

 臨時ほーしゅーだよープラス4万と。

 日給15万すげえ……。

 曜日は土曜。


 飯屋絶対混むだろうなあ……。

 そう思いながらも支度する。

 せっかく大金をゲットしたのだどうせなら飯を豪華にしたい。

 スマホをいじり出金をタッチスマホ画面から札が5枚纏めて出てくるその姿はシュールだ。

 札を小銭とコンビニのレシートしか入って無い財布に突っ込みぽっけに差し部屋を出る。

 家族に会わないようこっそり階段を降り廊下を進む誰にも気づかれていないことを確認し玄関で靴を履いていると後ろから扉の開く音がし振り返ると。


 「お兄ちゃん?」


 そこには黒髪ストレートで目を大きく見開いた美少女……妹の可憐がいた。



 「ね、ねえどこいくの兄さん?」

 

 き、気まずう。


 「い、いやあこれから飯に行くつもりでえーそ、そのー」

 

 「お金無いのに?」


 「あ、あーり、臨時収入だ」


 「……それ大丈夫な奴??」


 「……大丈夫だ」

 話が続かない上に責められとるがな!?

 妹は、考える仕草をした後突然。

 

 「そうだ!一緒に行こうよ兄さん!」

 

 「へっ?」


 「いやあ丁度私もお腹空いてきちゃってー買い出しも行かなきゃ行けないし姉さんもいないし帰り持ってくれたらなあ……あ、に、兄さんが嫌なら大丈夫だけど……」

 そう言い可憐はうつむきながら言う。


 「行こう」


 「む、無理ならいいからね?う、うん」


 「い、いやせっかく誘われたんだ……いくよ」

 流石にこの状況で行かないは無理だな……うん。

 

 こうして俺たち兄妹は互いの行先があるショッピングセンターに行ったのだが終始微妙な感じでろくな会話をしないままであった。

 ギスギスではないものの微妙な空気のまま来てしまったがとりあえず腹ごしらえのためファミレスに入る。

 時刻は1時、飯時で待たされるのを覚悟したのだが丁度4人席が空いた為か待たされずそのまま通された。

 各々タブレット端末で注文し、待っていると……。


 「兄さん……最近どう?」


 「あー…ぼちぼちやってるよたまに仕事受けたりね……」


 「そ、そう…あ、あの、あのね私進路決まってね……私立で遠いんだ…けど、けど兄さんとも姉さんとも別れたくないからね寮断ったんだ!だ、だからねそ、その…ずっと一緒だよ?だ、だから私兄さんとちゃんと話したいの」


 「お、おう」

 おっもくない??

 

 「けど最近は、話すどころか会えもしなくて…だから今日うれしくって…たまには一緒にご飯いきたいな?」


 「ぜ、善処します」

 俺がこういうのに対し可憐は満足気な表情でうなずく。

 一方的に敵視して距離を置いてたのはいつだって自分だ。

 自分で言うのも微妙だがまともに考えられるようになってからは合わせる顔がなく遠ざけていたがこんな俺に気を遣う可憐を見てると馬鹿馬鹿しくなってくる。

 その後、食事がはこばれてきたため話を中断し、食べながらもとりとめのない話をし店を出た。

 会計は可憐がもとうとしていたが俺が払った。

 ところで可憐よ、高校一年にすらなっていない君が何故払えるんだ?

 とりあえずショッピングモールのスーパーのようになってる所に行きカートを引く。

 可憐が今日の晩御飯に使う食材や日用品を入れる中俺もコーラやら深夜のお供エナドリを入れていく可憐が渋い顔をするが事前に自分も買いたいと断りを入れ1万円を渡しているので何も言わないがすんごい入れる度すんごい目で毎回見てくるので流石にコーラのリッターを二本とエナドリ6本で済ませた。

 色々ありながらも会計を済ませ俺の入れた分の差額分を返そうとしてくるが持っておけと言っておいた。

 金があるうちはかっこよく太っ腹なお兄ちゃんでいたいのだ。

 荷物を俺が大半を可憐は軽いものを持ち帰る。

 前の俺だったらきつかったであろう荷物を見て魔法少女になって体が強靭になっているのが分かりやすい。

 だが、変身すると女になる俺が強靭になるのは割とおかしく思い、考えながら歩く。

 そうこうしてるうちに家につき荷物をしまい可憐は晩御飯の時間まで入学の準備をするため部屋に戻る。

 晩御飯までリビングのソファーで横になるかと眠る。

 ちなみにだがこの家には基本的に俺、可憐に姉しかいない仕事の関係上海外にいるらしく帰れないとか、そして姉はあまり会いたく無いので会わないように調整してるがこっちもへんな時間に帰ってくるため基本家には俺と可憐しかいない。

 だからこそ起きた時恐怖した俺の頭に感じるぬくもりと柔らかな感触、可憐の鼻歌が台所から聞こえるだからこれは可憐では無い。

 家族の中でこんなことしそうなのかつ帰って来れるだろう人は一人しかいない。

 冷や汗が出る。

 恐る恐る膝枕してる人の顔を見ようとするが目に映るのほとんどは服の布地。

 顔が見えないしかし声が聞こえる。


 「起きた?」


 冷ややかなしかし美しい声。

 震える俺を心配するように頭を優しく撫でる冷たい手。

 夢だろうと目を閉じる。

 しかし

 「これから晩御飯だから寝ちゃ…メっ」

 撫でる手を止め撫でていた手と反対の手で俺の腹を軽くたたく。

 慌てて起きようとしソファーから転げ落ちる。

 そんな俺を見て心配するように見る、全体的に色素が薄い美女でなぜか超が付くほどのブラコンな、俺の姉、氷菓がいた。

 「姉さん帰ってたのか……」


 「む、仁斗酷いおねえちゃんの膝を枕に寝てたくせに……」


 「ええ……」


 「姉さん兄さんご飯できたよー」

 可憐が呼ぶ声が聞こえ席につくと、既に用意されている今日の晩御飯はカレー、俺の好物だ。

 スパイスの効いた匂いによだれが出てくる。

 姉さんのいただきますという言葉に合わせ食事が始まる。

 久しぶりに家族一緒で食べるご飯はおいしかった。

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