第8話
私は、そのことを忘れてしまっていたのである。
(まぁいっか、そのうち思い出すでしょう。それよりも急がなきゃ、少しでも国王陛下に報告するための情報を集めないと!)
そう思った私は、足早にその場を離れたのだった。
ーー裏で占い師の彼女が、笑みを浮かべていることも知らずに。
それから私は、街中を走り回ったものの、結局何も見つからなかった。
(うーん、どうしよう............。本当に困ったなぁ...........。これでもかというくらい、何も出てこないわ...........。)
途方に暮れる私だったが、ふとあることを思い出したのである。
(そうだ!まだ行ってない場所があったんだった!!)
そう考えた私は、再び走り出したのだった。
そしてその場所に到着すると、目の前には大きな館が建っていたのである。
中に入ると、そこにはとても綺麗な庭園が広がっており、まるで別世界のように思えたのだった。
(綺麗ね............!)
そんなことを考えているうちに、私はあることに気づいたのである。
この場所に来てからというものの、全く人の気配が感じられないのだ。
(なんでだろう.............?)そんなことを不思議に思いながら、辺りを見渡していると、奥の方に人影が見えたのである。
(あれは誰なんだろう?)そう思って近づこうとした瞬間のことだったーー。
奇抜な服装なので、すぐにその人物についてわかった。
その人はーー占い師の女性だった。
(どうして彼女がここにいるんだろう............??)そう疑問に思ったものの、不思議と嫌な感じはしなかった。
むしろ安心感すら覚えたのである。
彼女に声をかけようとしたところで、私は気がついた。
この街の住民と何やら話し込んでいるが、どうやら2人は揉めているようだ。
(何があったのだろう.............。)
私は疑問に思い、しばらく様子を見ることにした。
そしてしばらくして話し合いが終わったところで、今度は私の方を見つめながら彼女は言ったのだった。
「あなたも一緒に来ないかしら?」その言葉を聞いた瞬間、私は自然と頷いていたのだ。
いつの間にかバレていたのだろうか?
(それにしても、なんだろう...........?この感覚は............まるで催眠術にでもかかったかのような、ふわふわとした不思議な感じ...........。)
そう考えながらも、私は彼女についていくことにしたのだったーー。
............ここで引き返すべきだと知らずに。
私は占い師の女性の後に続いて、街の奥へと進んでいった。
そしてたどり着いた場所は、とても大きな洋館だった。
(ここって............確かこの街の外れにある廃墟だったはず..........だよね?)
疑問に思いながらも中に入ると、そこには何人かの人々が集まっていたのである。
その中に見覚えのある顔があったような気がしたが、はっきりとは思い出せない。
それになぜ皆、こんな街の外れにある廃墟に集まっているのだろう?
そんなことを思っていると、占い師の女性が話し始めた。
「皆様こんばんは、今日はお集まり頂きありがとうございます。さて早速ですが、本題に入りたいと思います。まずはこちらをご覧ください!!」
彼女がそう言うと、部屋の中心に大きなスクリーンが現れたのである。
そしてそこに映し出された映像を見て私は驚愕したのだった。
(これって.........私.........?)しかしその映像を見た瞬間、なぜか胸が苦しくなり、同時に激しい頭痛に襲われたのである。
そして、頭の中に様々な記憶が流れ込んでくるような感覚に襲われたのだ。
私が耐えきれずに地面へと倒れる前に、占い師の女性は不気味な笑いを浮かべていたように見えた。
そして、信じられないことを言っていたように聞こえた。
「皆様、この女性はなんとこの街を滅ぼそうとしているのですよ!」
(なぜ、どうして............?そんな..........、)
考える暇もなく、私は意識を手放してしまった。
気がつくと、私はベッドの上に寝かされていたようだ。
(ここは...........、どこなんだろう...........?)そう思いながら辺りを見渡すと、そこはどこかの病室のようだった。
そんなことを思案していると、そこへ突然誰かが入ってきたのである。
「あの............?」
恐る恐る声をかけると、住民はホッとした顔で私に言った。
「あらっ、目覚めたのね?良かったわ...........!どこか痛いところはないかしら?」
そう言って、住民は私の身体に触れようとした瞬間だった。
私は、咄嗟に彼女の手を振り払ってしまったのである。
「あっ.........ごめんなさい...........!つい反射的に..........!」そう後悔しても、もう遅かった。
彼女は一瞬驚いた様子を見せたが、すぐに笑顔に戻ったのである。
「ごめんなさいね..........?でも安心してちょうだい、あなたを傷つけるつもりはないから...........。」そう言った彼女は私に優しく微笑むと、そのまま部屋を出ていってしまったのだった..........。
私はその出来事にしばらく呆然としていたものの、次第に頭が冴えてくると、同時に先程の記憶を思い出したのである。
(そういえば私はどうしてここに居るんだろう...........?確か.....占い師の女性に会って.........それで............!)
そこまで思い出したところでハッとした私だったが、それと同時に頭痛に襲われたのであった。
「うっ...........!痛い...........!!」あまりの痛さに、私は思わず頭を押さえた。
すると、そこへ看護師が駆けつけてきて、私に声をかけてきたのである。
「大丈夫ですか!?今先生を呼んできますね!」そう言って病室から出ていったところで、私は思い出したのであった。
(そうだ!思い出した!!私がこの街に来た理由って...........!!)
そう思った瞬間、病室のドアが勢いよく開き、そこに立っていた人物を見て驚愕したのである。
その人物とは、紛れもなくあの占い師の女性だった。
彼女は不敵な笑みを浮かべながら、私を見つめている。
(どうしてここにいることがわかったんだろう...........!?)私は恐怖を覚えながらも、何とか平静を保とうとしていた。
すると、彼女は静かに口を開いた。
「ふふっ...........!こんにちはリジーさん?私が誰だか分かるかしら?」
その問いかけに、私は答えた。
すると、彼女は満足そうに頷きながら答えたのである。
やはり、私の目的を知っていたようだ。
そして彼女は、不敵な笑みを浮かべながらこう言ったのだった。
「 これからが楽しみね」と...........。
(これから一体どうなるんだろう...........?)そんなことを考えていた私の頭は、考えすぎてパンクしそうだった。
(とりあえず、今は様子を見るしかないか..........。)そう思った私は、体力回復のために大人しくすることにしたのであった。
ーーー数日後、私は相変わらず病室のベッドの上にいた。
未だに記憶が曖昧なところがあるものの、少しずつ思い出してきたこともある。
まず最初に思い出した記憶は、私がこの街に来たばかりの頃の記憶だった。
(そういえば、あの時屋敷の彼が言っていたことは、本当だったんだ..........!!)そう思った瞬間、私の頭の中には、ある光景が浮かんできたのである。
(あれは確か...........、そうだ!あの廃墟の中でのことだった!!)
そう確信すると、私は彼女に直接確かめることにしたのだった。
そしてその時が訪れたのである。
ついに私は、あの廃墟の中へと入ることに成功したのだ。
中へ入ると、そこには不気味な光景が広がっていた。
まるで何年も放置されたかのように荒れ果てており、蜘蛛の巣や埃まみれになっている家具などが目についたのである。
(何これ...........?こんなにも古びていたかしら........?まるでお化け屋敷みたいじゃない..........。)
そう思った次の瞬間、目の前に現れた人物を見て、私は思わず息を呑んだのであった。
「リジーさん?やっと来てくれたのね、ずっと待っていたんですよ?」
占い師の彼女はそう言うと、私の手を握りしめてきた。
(えっ!?待っていたって、どういうこと.........!?まるで私が来ることを予想していたような...........。)
そう疑問に思っているうちに、彼女は顔を近づけてきた。
そして、耳元で言ったのである。
「あなたを迎えにきたんですよ?さぁこちらへいらっしゃいな」
(えっ?えっ?一体どういうこと!?)
突然の出来事に動揺しつつも、彼女に促されるまま奥へと進んでいくと、そこには大きな鏡があったのである。
(これは一体なんだろう?)そんなことを考えていた次の瞬間だった。
突然目の前が光に包まれて真っ白になったかと思うと、私は見知らぬ部屋の中にいたのだった。
(あれっ!?ここはどこ?.............廃墟からどこに飛ばされたの?)
白い部屋に、私と占い師の女性との2人きりの空間だ。
「今、何を思ってるの?」
(どうしよう............怖いけど、答えないわけにはいかないよね............?)そう思いつつも、私は意を決して口を開いた。
そして恐る恐る問いかけたのだったーー。
「あなたは一体、何者なんですか............?」すると彼女は答えるのである。
「私はただの占い師よ?名前は言えないけれど。」彼女は微笑みながらそう答えたのだった。
私の中での警戒レベルは、一気に上昇した。
(やっぱりこの人には気をつけないと!怪しさしかないわ。)そう思いながらも、何とか平静を装っていると、突然彼女はこんなことを言い出したのである。
「ねぇ............リジーさん?あなたは本当に善意で来たのかしら?..........それとも、誰かの命令でここに来たんじゃない?」と。
(えっ!?どうしてそれを知ってるんだろう?)そう思って動揺していると、さらに続けて言う彼女なのであった。
「もしそうだとしたら、私があなたを助けてあげる。だから安心してちょうだい?」
(私は一体どうしたら良いんだろう...........?)
正直言って、彼女の言っていることの意味が全く理解できなかったのだが、とりあえず情報のためには信じてみるしかないと思い、思い切って全てを話すことにしたのであった。
すると、彼女は話し始めたのである。
「実はねリジーさん、私の目的はこの世界を破滅させることなの」
(.............何を言っているんだろうこの人は??)私は一瞬耳を疑ったのだが、彼女は話を続けたのである。
そして驚くべき事実を口にしたのである。
「私は異世界から来たの!!」
(まさかこの人って本当に怪しい人なんじゃ.........!!)
そう思った瞬間、私の頭の中に1つの考えが浮かんできた。
(待って..........もしかすると、この人が魔法を使えるのも、異世界からきた人だからなんじゃないか?)
そう考えると納得がいったが、それと同時に新たな疑問が生まれたのである。
それは一体、どういう経緯を経て彼女が異世界からやってきたのかということだが、その答えはすぐに明らかとなったのである。
占い師の女性は、私のほうを見つめながらこう言ったのだ!
「私はね..........この世界に復讐するために来たの!」
私が困惑していると、彼女は続けて言ったのである。
「実は私、前世の記憶を持っていてね。この世界で断罪されて、それはもう苦しかったわ。生まれ変わった時は信じられなかったけれどね。」
(まさか、そんなことって..........??)
信じられない話だったが、彼女の表情は真剣そのものだった。
どうやら本当のことらしいと思い始めていたその時だった。
突然、占い師の女性は怪しげな笑みを浮かべながら、言ったのである。
「ねぇリジーさん..........?この世界を滅ぼしたくはありませんか?」
(えっ...........!?)
彼女は一体何を言っているのか.........?全く理解ができなかったが、それでも私は必死に平静を装うことにしたのである。
「そんなことを言われても...........」私が戸惑いながらも答えると、占い師の女性はさらに続けて言ったのである。
「きっと素晴らしい世界になりますよ?ねぇそうでしょう?リジーさん?」そう言って、彼女は不気味な笑みを浮かべているのだった。
私は恐怖を覚えつつも、どうにか気持ちを伝えた。
「...........この世界を滅ぼしても、何も残るものはありませんわ、あなたが幸せになることを考えるべきです」
彼女にそう伝え、私はその場から離れようとした時のことだった。
「ちょっと待ってください!まだお話は終わっていませんよ!?」占い師の女性は私を引き止めてきたのである。
(どうしよう、このままじゃまずい...........何とかして切り抜けないと..........!!)そう思った私は、必死に打開策を考えることにしたのである。
するとそんな私を見兼ねた彼女は、こんなことを言い出したのである。
「リジーさん?この世界には、私の他にも異世界からの転生者がいるのよ!!」
驚いた私だったが、すぐに聞き返したのだった。
「それってどういうことなの!?」すると彼女は言ったのである。
「私もつい最近知ったのだけど、どうやら転生者は他にもいるみたいなの。.............しかも全員が前世の記憶を持っていて、私と同じ目的を持っているそうよ。」
(それって、本当なのかしら............?)半信半疑ながらも彼女の言葉を信じることにした私だったが
、ふとあることに気が付いたのである。
(そういえば............私が街で会った人たちって、みんなほぼ全員女性だったような気がするんだけど.............?)
「それで、その人たちは今どこにいるのですか..............?」
私が恐る恐る尋ねると、占い師の女性はニヤリと笑いながら答えたのだった。
「うふふ、みんなどこかに行ってしまったわよ..............?」
私はその言葉を聞いた瞬間、背筋がゾクッとするのを感じた。
そして、無意識のうちに後退りしていたのだが、いつの間にか背後に立っていた彼女に、抱きしめられてしまったのである。
(えっ!?まさかこれって............もしかして、罠なの!?どうしよう..........どうしたらいいの??)そう思いながら必死に考えを巡らせていると、占い師の女性はさらに続けて言ったのである。
「大丈夫よ..........怖がることなんて何もないわ。ただ、私に協力してくれればいいの............!」
彼女の手が頬に触れ、私が終わりを感じたその時だった。
「リジーさんを、離してください。」
声のする方を見ると、なんと屋敷の男性が立っていた。
屋敷の男性の顔を見た途端、占い師の女性は驚いた様子で言った。
「どうしてここに............?!!何故来れたの!?!」
すると、屋敷の男性は言った。
「お話は全て聞かせてもらいましたよ。............助けに来ました、リジーさん」
私は安心したせいか、急に力が抜けて倒れ込んでしまった。
そんな私を支えると、彼はそのまま私を部屋の外へ連れ出してくれたのであった!
(ああ..........助かったんだ.............!)
私は心の底から安堵していた。
そして、ようやく冷静さを取り戻した頃になって、ようやく彼が助けにきてくれたということを、実感したのだった。
(本当によかった..........でもどうして彼は来てくれたのだろう?そして、なぜ居場所がわかったのだろう?)と疑問に思っていると、彼は優しく微笑みながら言った。
「遅くなってしまい申し訳ありませんでした.........。私はあなたの味方です。なので、これからはいつでも一緒に行動させて頂きますよ!」
その言葉を聞き、私はとても嬉しかった。
彼が私の味方だということがはっきりとわかったからである。
その後私たちは、無事に屋敷へと戻ることが出来たのであった.........。
占い師の女性から解放されてから数日後のこと、屋敷の男性と一緒にお茶をしていると、突然彼は真剣な表情で私に話しかけてきたのである。
「リジーさん、実はあなたにお伝えしないといけないことがあるのですが............。」そう言って彼は話し始めたのである。
「実は、あなたには秘密にしていることがあるのです。」
私は不思議に思いつつも、黙って彼の言葉に耳を傾けることにした。
「あの占い師の女性は、元から存在していなかったのです」と彼は言ったのだが、私にはまだ信じられなかったのだ。
「そんなはずはないわ...........!!だって、彼女は私の目の前で消えたんだもの!!それにあの力は一体何なのよ!?」と反論すると、彼は私にそっと一枚の紙を見せてきたのである。
「これは.............?」私が尋ねると彼は答えた。「これは私の友人が魔法を使って、占い師の女性とのやり取りしたメモです。そしてこちらが、彼女の素性です」
そこには、信じられないことが書かれていたのだ。
なんとあの占い師の女性の正体は、この世界に生きる人間ではないということだったのだ。
しかも彼女は異世界からの転生者であり、自らの前世では残虐な行為を働いていたというのである。
さらに驚くべきことは、彼女が数々の人々を破滅させたという事実までもが、記されていたのだった。
(まさかそんな.............!!じゃあ、私が見ていたものって...........?全て幻だったというの?)私は言葉を失ってしまった。
「リジーさん、落ち着いてください..........!私はあなたを救いたいのです!」
彼の力強い言葉によって、私はようやく落ち着きを取り戻すことができたのである。
「ありがとう.............」信じられなかったけれど、それでも私がお礼を言うと、彼は微笑んでくれたが、その表情にはどこか悲しさのようなものも感じられた気がした。
「リジーさん、私はあなたを守りたいと思っています。そのためには、もっと多くのことを知る必要があるのです。どうか私にお力を貸していただけませんか.............?」
私は彼の言葉に深く共感し、力強く頷くのだった。
こうして私は、新たな決意を固めるのであった。
それから私たちは一緒に行動することが多くなったのだが.............そんなある日のこと、突然屋敷の男性から呼び出されたのである。
(一体何があったんだろう............?)と疑問に思いながらも彼の元へと向かった私だったが、そこで待っていたのは驚愕の出来事だった。
なんと彼が、謎の人物に襲われていたように見えたのである!
「あなたは誰!?」私はそう言いながら彼を庇うように前に出ると、その人物に向かって構えた。
しかし、彼は慌てて私を止めるのであった............。
「待ってください!彼女は私の友人なのです!」と言う彼の言葉を聞いた瞬間、私は驚いてしまった。
まさか襲われるどころか、こんな形で知り合いに出会うとは想像もしていなかったからだ。
(一体どうなっているの...........?)
と疑問に思いながらも少し冷静に考えてみた結果............。
(もしかして、あの占い師の女性が言っていた転生者って、この人のことなの............?)という結論に至ったのである。
「リジーさん、あなたは転生者という存在をご存知ですか?」と彼が聞いてきたので私は頷くと、彼は続けて言った。
「名をフォルネウスといいますが、実は彼女もその転生者なのです.............そして彼女は、私の協力者でもあるのですよ!」
その言葉にさらに驚きつつも、私は彼の話を聞くことにした。
すると驚くべき事実が、次々と明らかになったのである。
(まさか転生者が、実際に他にもいたなんて.............!)
驚きつつも話を聞くうちに、少しずつ状況が分かってきた。
どうやらフォルネウスさんもまた、占い師の女性同じように、この世界を滅ぼそうと考えているようだった。
しかし、占い師の女性と違うところは、彼女はただ復讐したいというわけではなく、新しくより良い世界作りを目指しているというところであった。
「フォルネウスの目的は、この世界に新しい秩序を作ることです」と彼は言った。
それを聞いた私は、正直恐ろしく感じたのだが、それでも逃げ出すわけにはいかないと思ったのだ。
何故なら、私にとって最も大切なのは愛する人たちであり、そのためにも自分自身が強くなる必要があると思ったからである。
こうして私は決意を新たにし、強くなることを決意したのである。
(必ず強くなってみせる!そして必ずこの世界を守るんだ.............!!)と強く思ったのだった。
その後、私たちは不思議な出会いを経て三人で行動することになったのだが............正直不安でいっぱいだった。
何故なら、私とフォルネウスさんが敵(?)同士であることは明白だったからだ。「ねぇリジーちゃん、私たちは協力関係になるべきだと思わない.............?」と彼女は提案してきたのだが、私は即座に拒否したのだった。
(この人とは仲良くできない!より良い秩序のためにという考えは素敵だけれど、世界を滅ぼすなんて、私には考えられない)と心に決めた私だったが、それと同時にある疑問が湧いてきたのだ。
(待てよ.............。一体どうして、フォルネウスさんは転生者になったのだろうか?)
そんなことを考えているうちに、私は一つの可能性に思い至ったのである。
(もしかしてフォルネウスさんも被害者なのかもしれない......?だとしたら、助けられる可能性もあるかもしれないということよね!)と考えた私は、思い切って彼女に尋ねてみることにしたのである。
「フォルネウスさんは、なぜ転生者になったのですか?」
すると彼女は、悲しげな表情で話し始めたのだった。
「それはね...........」彼女によると、彼女の前世では家族と共に幸せな日々を過ごしていたというのだが、ある日突然交通事故に遭い、そのまま亡くなってしまったのだという............。
その後気付いたときには見知らぬ場所で立っていたらしく、最初は戸惑いつつも自分の状況を理解するため色々なことを試したという。
その結果わかったことは二つあり、一つは自分が異世界に転生したということだったのだという............。
さらにもう一つの驚くべき事実が判明したのは、その時のことであった。なんとフォルネウスさんには「聖属性の魔法」と呼ばれる特殊な力があったというのだ。
そしてその力を利用して、様々な困難を乗り越えてきたとフォルネウスさんは語っていたが、私は彼女が嘘をついているようには見えなかったのである。
「つまり、フォルネウスさんは転生して、この世界でも聖属性の魔法を使えるということなのね?」
私が尋ねると、彼女は笑顔で頷きながら答えた。「うん、そうみたい!でもまだ未熟だけどね............」と笑う彼女の顔は可愛らしくてつい見とれてしまった私だったが、そこで初めて気が付いたのである。
嬉々として語ってくれた彼女だが、それでもまだどこか悲しげな目をしている。
(............きっと何か理由があるに違いない!!)と確信した私は、思い切って尋ねてみることにしてみた。
「フォルネウスさんはなぜそこまでして、この世界を滅ぼしたいと考えているの?」
私の問いに対して、彼女はしばらく黙り込んでいた。
しかし、ようやく口を開いたフォルネウスさんは、真剣な表情で語り始めたのである............。
「私は生前に家族を失ったことで絶望していました...........だからこの世界では、新しい家族を作るために必死になって戦ってきたのです。それなのに、この世界には私の幸せを奪う存在がいることに気づいてしまった...........。だから許せないのです!彼らを許すことは絶対にできません!」
その言葉を聞いた瞬間、私は心が震えたような気がした。
(フォルネウスさんも私と同じように、辛い経験をしてきたんだ.............!)
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