第7話

「カーティス君............それは............」しかし、その言葉を聞いた瞬間、レオンが国王陛下の前に進み出ると、毅然とした態度で口を開いた。

「父上、申し訳ありませんが、これ以上は我慢できません。............どうか許可をお願いいたします」


それを聞いた国王陛下は、大きくため息をつきながら、首を横に振った後で口を開いた。

「.............よかろう、その代わりやるべきことはたくさんあるぞ」

その言葉を聞いて、レオンの表情がパッと明るくなったのが分かった。

そして彼は私の方を向くと、ニッコリ微笑んで言ったのである。

「リジー、やっと交渉できたよ!」私は驚きのあまり言葉を失ってしまった。

まさかこんな奇跡的なことが起こるなんて、思ってもいなかったから。

だがしかし喜ぶにはまだ早かった。

私にはまだ疑問が残っていた、それは.............何らかの事情で、あんなに渋っていた国王陛下が、なぜ私とレオンの再婚約を許可したのか?ということである。

そう考えると、どうしても納得がいかず、幸せなはずなのに、不安な気持ちになってしまうのだった。


数日後ーーついに、その日がやってきてしまった。

私は、カーティス王子と共に王城を訪れていたのである。

それは、レオンとの婚約を正式に認めるための儀式が行われる日であり、国王陛下の前で宣誓をすることになっていたのだ。

もちろん、私としては気が気でない状況だったが、それでも覚悟を決めると、私はカーティス王子と共に儀式が行われる部屋へと足を踏み入れた。


部屋に入った瞬間、空気が張り詰めるような緊張感が走った................。

まるで、心臓まで鷲掴みにされてしまいそうな感覚に包まれながら、私はカーティス王子の隣に並ぶと、もうすぐ来るであろうレオンの到着を待った。


そして数分後、ついにその時が訪れた。

扉がゆっくりと開かれると、同時に部屋に入ってきたのはレオン本人だったのだ。

彼は、真剣な表情でこちらへ向かって歩いてくると、私たちの目の前で立ち止まった。

その様子を見た私は思わず息を呑んでしまった............だって、目の前に立っている彼は、今まで見たこともないくらい、凛々しく輝いていたからだ。

私はその姿に見惚れていると、レオンが口を開いた。

「リジー.............、お待たせ」

私は胸がドキドキするのを抑えられず、息をすることすら忘れてしまいそうになりながらも、懸命に声を出した。

「レオン...........!来てくれたのね..........!」すると彼は優しい笑みを浮かべると、私の手を取って言ったのである。

「当たり前じゃないか!」それを聞いた瞬間、私の顔は真っ赤に染まってしまった。

そんな私を見て、カーティス王子はにっこりと笑うと口を開いた。

「リジーさん、照れてるのかい?レオン様と仲良しだね」

私は慌てて首を横に振ると、思わず苦笑いを浮かべてしまったが、すぐに気を取り直してレオンに向き直った。

「レオン、本当にありがとう。私、嬉しい.............!」すると彼は嬉しそうに微笑むと

私の手を握り返しながら口を開いた。

「僕もだよリジー、君がこうしてここにいてくれることを、心から幸せに思うよ」

そして私たちは、お互いに幸せな時間を過ごしていた。


それから、しばらくして儀式が始まったのだが、それはとても厳かなものだった。

国王陛下の立ち会いの下執り行われたその儀式は、神聖なものであり、参列者から祝福を受けているのだという実感を感じさせられた。

中には、あまり快く思っていない人もいたようだが................。

それでも、私は幸せだった.............大好きな人と誓いを結ぶことができたのだから。


儀式が無事に終わった後、私はすぐさまふかふかのベッドに勢いよくダイブした。

というのも、国王陛下から「今日はもう遅いので、泊まっていきなさい」と言われたためである。

もちろんそれはレオンの希望でもあったのだが、私としても断る理由などなかったし、何より彼と一緒にいたいと思っていたので、喜んで承諾したのだった。

「国王陛下、本当にありがとうございました!」

私は頭を下げて改めてお礼を言うと、再び顔を上げて笑顔を浮かべた。

すると国王陛下も嬉しそうに微笑んでくれた。

「リジー、幸せにな」そう言って優しく抱きしめてくれると、その温もりに心が満たされていくのを感じたのである。

私は心の底から幸せを噛み締めていた。


次の日、私はレオンと共に朝食を食べ終えて一息ついていたのだが、そこにカーティス王子がやってきた。

彼は私に用事があるような素振りを見せると、優しく微笑みながら話しかけてきたのである。

「やあリジーさん、レオン様、朝からすまないね」そう言って、彼は私の向かい側の椅子に腰を下ろした。

私が首を傾げていると、カーティス王子は真剣な表情で言った。

「君たちに少し言いたいことがあるんだ」

その言葉を聞いた瞬間、私は不安な気持ちに襲われた。

一体何を言われるんだろう..............?そう思っていたのだが、彼は思いも寄らぬ言葉を口にしたのだ!

「リジー、レオン様、本当におめでとう」

その言葉を聞いて私は一瞬戸惑ったが............すぐに嬉しくなった。

カーティス王子も、私たちを祝福してくれているんだと思うと、胸が温かくなってきたのだった。

それからしばらくの間、私たちは楽しい時間を過ごしていた。

そして日も暮れ始めた頃、私は一緒に帰路につくことになったのだ。

「リジー、今日は本当に楽しかったよ」

レオンはそう言うと私の手を取ったのだが、その時、ふと思い出したことがあった。

それは、私の鞄の中に入っているものだったのである。

私は、それを取り出すために慌てて駆け出すと、レオンに駆け寄って手渡したのである。


それは.............レオンへのサプライズプレゼントだった、ネクタイである。

レオンはそれを受け取ると、満面の笑みを浮かべて言った。

「リジー、ありがとう............!ずっと大切に使わせてもらうよ!」

それを聞いた瞬間、私は泣きそうになってしまった。

だって、大好きな人がこんなにも喜んでくれたのだから。

それから私は、王城を出ると帰路についたのだが、その間ずっと心が踊っていた。


そして、城が見えなくなり辺りが薄暗くなってきた頃、私は路地裏に差し掛かった。すると突然、レオンが必死に追いかけてきて、私の手を取りながら立ち止まったのである。

「リジー、ちょっといいかな?」レオンはそう言うと私の方へ向き直った。

その真剣な表情に私は思わずドキッとしてしまった。

驚いた私が何も言えずにいると、彼はゆっくりと口を開いた!

「明日、ドレスの試着をしてみてほしい。君に似合いそうな、ウェディングドレスだ。」

彼の声は微かに震えていたが、それでも必死に勇気を振り絞って、言おうとしていることが分かった。

私はその言葉を聞くと、驚きのあまり固まってしまった。

まさか、そんなことを言われるとは夢にも思っていなかったからである。

しかし、レオンの表情を見ているうちに、私は自然と首を縦に振っていた。

「わ、分かった!試着してみるね...............!」私が答えると、レオンはホッとした様子で胸をなで下ろしたようだった。


そして彼は私の手を握りしめると、真っ直ぐに私を見つめてきたのである。

ーーその瞳からは、強い決意が感じられた。



翌日、私はレオンと共にドレスの試着のために隣国へと発つことになったのだが、その前に国王陛下から贈り物を頂いたのである!

それは綺麗な装飾が施されたネックレスであり、なんと私の為に仕立ててくれたのだという。

「リジーは美しい女性だ、だからぜひこのネックレスを着けてくれ」

それを聞いた瞬間、私はなんて幸せなんだろうと自然と微笑みがこぼれた。



早速ドレスの試着をすることになった私だったが、まだ緊張して上手く体が動かない。

それでも、レオンの希望に応えたいと思う一心で、準備を済ませたのだった。


試着室の扉が開かれると、目の前にはきらきらと目を輝かせたレオンが立っていた。

「リジー、すごく似合ってるよ.............!」彼が嬉しそうに言うものだから、私は恥ずかしくなってしまった。

でもそれ以上に、私も嬉しかったのだ。


すると、レオンはポケットから何かを取り出した。

それは綺麗な色の指輪だったのだが..............その指輪を見た瞬間、私は胸が熱くなるのを感じた。

彼は私の左手を取ると、薬指にはめてくれたのだ。

その時にーー我慢していた涙が、1粒1粒溢れ出してしまった。

だってこんなにも心が満たされることがあるなんて、思わなかったからだ。

レオンはそんな私を優しく抱きしめてくれた。

すると彼はこう言った。

「リジー、これからもずっとよろしくね」

それを聞いた瞬間、私は胸がいっぱいになり泣いてしまった。

「私も、これからよろしくお願いします」

それからしばらくの間、私たちはお互いの試着を済ませて笑いあったりしたのだ。


それから1ヶ月後ーーついにその日がやってきた。

それは、私とレオンが結婚式を挙げる日だったのである。

場所は王城内にある大聖堂で、大勢の人々が見守る中で式は行われることになったのだ。

私とレオンは控え室で準備をしていたのだが、緊張で胸が張り裂けそうになっていた。

(ついにこの日が来たんだな................)そう思いながら、私は鏡に映る自分の姿を見つめていた。

純白のウエディングドレスに身を包んだ自分の姿を改めて見ると、なんだか不思議な気分になった。

それからしばらく経つとドアがノックされ、私はビクッと体を震わせた。

どうやら、レオンの準備が整ったようだ.............!私たちは顔を見合わせると、微笑み合った後で一緒に部屋を出たのだった


そして会場に入ると、大勢の人が拍手で出迎えてくれた。

中には国王陛下やカーティス王子の姿もあり、彼らは満面の笑みを浮かべていた。

お父様とお母様は、感激のあまり涙でハンカチを濡らしている。

そして私は祭壇の前にたどり着くと、ゆっくりと深呼吸した。

そしていよいよ結婚式が始まった。

神父による誓いの言葉の後、私達は指輪の交換をして口づけを交わした。

その瞬間、周囲から歓声が上がり祝福の声が飛び交った。

その後は結婚証明書へのサインや、愛の誓いなどが行われたのだが、その間ずっとレオンと腕を組みながら式を進めていくうちに、徐々に緊張も解けていったのだった。

(ああ、幸せだ...............!!)私は心の中で叫び声を上げると同時に、胸がいっぱいになった。


そうして無事に式が終わった私たちは、王城を後にすると、馬車に乗り込んで帰路についたのだった。

すると、隣に座っていたレオンが話しかけてきた。

「リジー、ありがとう............ここまで来られたのは君のおかげだよ............」彼は目に涙を浮かべながらそう言った。

私も思わず泣きそうになってしまったのだが、なんとか堪えて笑顔を浮かべた!

(これからもずっと一緒にいられるのね...........!!)私は心の中でそう思うと、そっと彼の手を握りしめたのだった。


それから数ヶ月後ーー私とレオンは、旅行に出かけることになっていた。

行き先は海のあるリゾート地であり、そこで2人だけの時間を過ごしながら思い出を作る予定だった。

馬車に揺られながら、私はわくわくしていた。

だって大好きなレオンと一緒なんだから。

彼との旅行は初めてだし、彼には内緒だがすごく楽しみだったのである。

やがて馬車が止まり、私たちは降り立つと目の前には大きな建物があった。

ここが今日泊まるホテルなのだろう。

中に入ると、ロビーには美しい装飾が施されており、とても高級感がある空間だった。


「リジー、まずは部屋まで案内してくれるそうだから付いていこう」

レオンに言われて私は頷いた。

そしてフロントで手続きを済ませると、スタッフに案内されるまま部屋へと向かった。

その道中も綺麗で華やかな空間が広がっており、まるでお城の中にいるような錯覚を覚えた。

やがて部屋に辿り着くと、中へと入った。室内はとても広々しており、窓からは青い海が一面に広がっているのが見えた。

「うわぁ..........すごく景色が綺麗ね.........!」私が感激しながら言うと、レオンも微笑みながら言った。

「本当だね、すごく素敵だ」

その言葉を聞くと、更に嬉しさが込み上げてきた。


それから私たちは荷物を整理した後、少し休憩してから海辺へと繰り出すことにした。

そこでは波打ち際を散歩したり泳いだりすることができるとのことで、私たちは着替えることにした。

私は海に入れる軽装の服に着替えると、恐る恐る海に入っていった。

すると、ひんやりとした感触と共に心地よい冷たさが全身を包み込んでくれた。

「わぁっ!つめたい!」

あまりの心地良さに思わず声が出てしまった。

そして私はそのまま泳ぎ始めたのだが、突然、レオンが私を追いかけてきたのである。

「リジー、待って!」彼は息を切らせながらも必死に追いつこうとしていた。

その様子を見た私は思わず笑ってしまった。

すると、レオンも釣られたように笑顔を見せるのだった。

ーーこうして2人で楽しむ時間は、あっという間に過ぎていった...............。


旅行から帰って来た後も、私たちの関係は変わらないままだった。

むしろ、前よりも深く結びついたような気がしていたのだ。

2人の思い出を振り返っては嬉しくなり、これからもたくさん思い出を作っていきたいと思った。


そんなある日のこと..............私が城内を歩いていると、国王陛下に声をかけられたのだ。

「................リジー、ちょっといいかい?」どうやら私に用事があるらしい。

一体何だろうと思って付いていくと、そこは国王陛下の執務室だった。

中に入ると、椅子に座った国王陛下が言った。

「リジー、最近よく頑張っているみたいだね」私は突然褒められて驚いてしまった、だってまだ何も成果を上げられていないから。

私が戸惑っていると、国王陛下が続けたのである。「実はそんな君にお願いしたいことがあってね.............」

そう言いながら渡された書類に目を通すと、そこには予想外の内容が書かれていたのだ。

(えっ!?どういうこと............?)私は一瞬頭が真っ白になった……。

私が驚いているうちに、国王陛下は話を続けた。「これは君にしかできないことなんだ...........どうか引き受けてくれないか?」

そう言われて断るわけにもいかず、私は承諾するしかなかったのである。


それから数日後ーー私は、とある国へと向かうことになった。

目的地は王都から遠く離れた場所にある小さな町だが、そこには特殊な能力を持った人々が暮らしているという伝承があるらしいのだ。

どうやら彼らは、扱っている言語が異なっているらしく、言語を取得していないと会話が難しいのだという。

私はレオンとの婚約前に言語を取得していたから、丁度私が抜擢されたのだ。

国王陛下からも、くれぐれも気をつけるようにと念を押されていたこともあって不安だったが、それでも引き受けた以上は、責任を持ってやり遂げなければならないという気持ちもあった。

そしてついに到着した時には、ホッとしたものだ。

そう決意を新たにすると、私は町の中へと入っていった。

すると早速、私は住民達の噂を耳にした。

どうやらこの町には、特別な能力を持った人々が多く住んでいるらしく、その能力は多岐にわたっているらしいのだ。

例えば、触れた物を自在に変化させる能力だったり、人の心を読んだりすることが可能な人もいるという...............。

(本当にそんな人たちがいるのかな............?)疑問を抱きつつも、調査を進めていくうちにとうとう有力な情報を得ることができたのである。

それは、町の外れにある森の中にある小さな屋敷に住んでいるという、若い男性の話であった。

「あんたも気をつけなよ、あの屋敷には不思議な噂が絶えないからね............」そう言って去っていった女性は、どこか怯えているような様子だったのだ。

(一体どんな人物なんだろう.............?)私は少し不安になりながらも、屋敷へと向かうことにした。


そしてたどり着いたその場所に建っていたのは、古びた洋館だった。

あの女性が言っていた通り、本当に不思議な感じがする。

(なんだか不気味な雰囲気だな.............)恐る恐る中に入ってみるものの、人の気配は全くしなかった。

少し探索していると、奥の部屋から物音が聞こえてきてーー誰かがいるようだ。

(もしかして、ここに住んでらっしゃる人かな.............?)そう思った私は思い切って声をかけてみることにした。

「あの〜..............すみません............」

恐る恐る声をかけてみるとーー。

「はい、何かご用でしょうか?」

中から現れたのは、燃え滾るような美しい赤い髪を持った男性であった。

彼は、私を見るなり一瞬驚いた様子を見せたが、すぐに笑顔を浮かべると、用件を尋ねてきた。

そして私はここに来た目的を伝えると、彼は快く引き受けてくれることになったのである。

それから数週間後、私の頑張りもあってか、この町にも少しずつではあるが変化が起きていたのだった。

繊細な人々にも、優しい対応をするようになったことで、住民達も心を開き始めており、少しずつだが関係性が築かれていったのである。

そして今日も私は町を歩いていると、出会った人々が笑顔を見せてくれるようになっていた。

(よかった.............!)

ホッとしながら歩いていると、そこでふと見覚えのある顔を見かけた気がした。

(あれっ?今の人..............どこかで見たことあるような..............?気のせいかしら.............)

そう思いながら記憶を辿るも、なかなか思い出せないーー。

だけどどうしても気になってしまい、思わず追いかけてみた。

するとそこにいたのは、意外な人物だった。

それは、以前私が出会った占い師の女性だったのだ。

「あらっ?もしかしてあなた............どこかの国で出会ったお嬢様じゃない?」


彼女も私に気づいたようで、声をかけてきたのである。

私は、驚きながらも事情を説明したところ、彼女は微笑みながら言った。

「そう、あなたがリジー嬢だったのね............!でもどうしてここへ来たのかしら...........?」その問いに対して私は正直に答えた。

「実は、この町で起きている問題について調べてるんです..............」すると彼女は驚いた様子を見せた。だが、すぐに納得すると私の話を真剣に聞き始めたのである。

そして全てを話し終えた後に、彼女が口にした言葉は意外なものだった。

「なるほどね、そういうことだったのね」

彼女は納得したように頷くと、こう言った。

「実は私も似たような問題を抱えていたのよ、この町はどこかおかしいの............何か裏があるんじゃないかと思って調べたことがあるんだけど、どうしても分からなくて..............」彼女は悲しげな表情を浮かべると俯いた。

そして呟くように言った。

「だから、再びあなたに会えてよかったわ。この町の謎を解くために一緒に頑張りましょう!」

彼女の言葉に、私は大きく頷いた。

こうして、私は彼女と協力することになったのである。

お互いの知識や情報を出し合いながら、この町の秘密を解き明かすための旅が始まった。

(みんなの為に頑張らないとね.............!!)私は心の中で決意を新たにした。


それから数週間後ーー私たちは、ついに有力な手がかりを見つけることができた。

それは町外れにある森の洋館に住む男性が、何か秘密を知っているという情報だったのである。

早速その男性に会いに行くことにしたのだが、彼はとても謎めいた人物で、誰も近づけようとしないらしい。

だが、私なら1度話したことあるから大丈夫なはず。

私は意を決して洋館へと足を踏み入れた。

そして中に入ると案の定中は真っ暗だったが、構わず進んで行った。

すると奥の方から、光が差し込んでいるのが見えてきた!

(あそこだ!!)

そしてついに私は、光の中へと飛び込んだ。

するとそこにはあの時の男性がいた。

彼はこちらを振り向いた途端に、驚いた様子を見せた。

そして私に向かってこう言ったのである。

「また来たんだね、今日はどうしたの?」

(ここは正直に答えてみようかな..............?)そう考えた私は素直に答えた。

「実は、この町で起きている問題について調べてるんです。」すると、彼は納得したような表情を浮かべた後で言った。

「なるほど、そういうことだったか.............。それなら仕方ないな............。」彼は少し考える素振りを見せると、ゆっくりと口を開いたのだった。

「分かった、君には話してもいいだろう.............ただしこのことは他言無用だからね?」

彼は、私に念を押した後で、話し始めたのである。

「実は...........この町はおかしくなってしまったんだよ.............!」彼はそう告げると、悲しげな表情を浮かべながら話を続けた。

そして、彼が話してくれた内容をまとめると、次のようなことになる。

まず、この町は元々は小さな田舎町に過ぎなかったのだが、ある時期を境にして突然変貌を遂げるようになったのだという。

住民たちの様子が次第におかしくなり始めており、それが日に日に顕著になっていったという。

そして、ある日を境にして町全体がおかしくなってしまい、ついには住民達が暴れ出すようになってしまったのだとか。

暴れ出すようになるのは、夜にかけてらしい。

そして彼は、その様子をこの目で見てしまったのだという..............。

私はその話を聞き終わると彼にお礼を言って、その場を後にしたのだった。

すると洋館を出てすぐのところで、先程の占い師の女性と出会ったのである。

彼女は私を見ると、にっこりと微笑みながら話しかけてきた。

「あらっ?もう用事は終わったのかしら?」私は彼女に事情を話すことにした。

「実は...............」話を聞いた彼女は、驚いた様子を見せたが、すぐに笑顔になると私に言ったのである。

「それなら私も協力するわ!」

こうして私たちは意気投合したのだった。

そしてこの日から、私たちの冒険が始まったのである。

私たちは町を散策しながら、何か手掛かりがないか探し回ったが、なかなか見つからなかった。

そうこうしているうちに夕方になってしまい、仕方なく宿へ戻ることにした。

部屋に戻った私はベッドに寝転がると、今日一日のことを振り返った。


すると、ふと占い師の女性のことを思い出した。

彼女はなぜこの町で占い師をしているのだろうか............?

しかも、なぜ誰にも心を開こうとしない人々に対して、積極的に接しているのだろう?

私には、その理由が全く分からなかった。

(一体どうしてなんだろう.............?)そう思った瞬間、なぜか胸が締め付けられるような気持ちになった。

(もしかして...........、私と同じように何かを抱えているのだろうか...........?)

私はふと不安になったが、すぐに首を振った。

(ううん............そんなことないよね............!)そう自分に言い聞かせながら、眠りについたのであった。


翌日、私は占い師の女性のことが気になり、再び彼女に会いに行った。

すると、彼女はいつものように穏やかな笑顔を浮かべて、出迎えてくれた。

そして私たちは他愛もない話をした後で、彼女が聞いてきた。

「リジーさん、何か聞きたいことでもあるのかしら?」と。

私は少し考えた後で、思い切って尋ねてみることにしたのであるーー。


(え?でも............あれ..........?私、いま何を考えていたんだっけ..............?)

ふと我に返ると、そこは路地裏だった。

(そっか、ここは路地裏だったんだ。それにしても、何だったっけ?確か何かを聞こうとしていたはずなんだけど............。)

何故だか、嫌に思い出せない.............。

私は自分の記憶に疑問を持ちながらも、とりあえず先に進むことにした。

(早くしないと日が暮れちゃう!急がないと.............!!)

そうして歩いているうちに、あることに気がついた。

「あれっ?そういえば私...........誰を追いかけてたんだっけ...........?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る