第204話 トワイライト・ゾーン
「ゴメンね佐々木君、幸ちゃん、お風呂に入ったからもう大丈夫だよ」
「立花さんって・・・・大胆な子だね・・・・」
部屋の外に追い出していた佐々木を、再び引き入れる倫子。
佐々木も、なんだか振り回され続け、目が回りそうだ。
奔放な幸を見ていて、聞いていたのとは大分印象の異なる子だな、と佐々木は感じた。
「それにしても、立花さんの服装と言い、剣と言い、なんだか凄いね」
「そうなの、昨日私を助けてくれた時なんて、本当に戦士のようで、ちょっと怖いくらいだったわ」
「そうかな、ともてカッコいいと思うけど」
「いや、そうなんだけね、でも、事情が解らないのよ、なんで・・・・剣士?」
「そうだね、背後関係が解らな過ぎる、第一、国のエージェントなら、あんな目立つ格好しないし、金貨はマズいでしょ」
「あら、そうなの?」
「そうだよ、遠藤さんだって、スーパーで買い物していて金貨で支払う人なんて、見た事ないでしょ、あれはね、記念で発行するものだから、額面よりも価値が高いものなんだ、それを現金としてそのまま使う人って、珍しいんだよ」
そうだ、たしかに国家が関係しているのであれば、その国の通貨を普通に準備するだろう、それをしないと言う事には、なにかしらの事情があると考えるべきだ。
まずは、そこから変えないと。
「どうしたの、深刻な顔して、二人とも」
「キャー!!」
悲鳴を上げたのは、佐々木であった。
「ちょっと!幸ちゃん、隠して!、隠して!」
「あら、ごめんさい、見えちゃったかしら」
佐々木がなんだか震えている、もしかして人生初の女性の裸・・・・なんなのかしら、この状況は。
幸が着替えると、ルームサービスを頼み、3人は食事をしながら会議をすることにした。
「さすが高級ホテルね、ルームサービスも上々だわ」
これで上々?、かなりの高級料理に見えるのだが。
なんとなく、幸はこれまで貧しい家の子と言うイメージがあったが、サバイバルが出来て、高級料理も食べ慣れている?、 一体どんな所で5年間を過ごしたのだろうか?
3人は、とりあえず食事を始めた。
佐々木は、なんと言うか、このような高級な洋食に慣れている、と言った感じで静かに食べている。
幸もまた、姿勢よくナイフとフォークを使って食べている、その姿はまるで貴族のようにすら見えた。
「ねえ幸ちゃん、早速お話しがしたいんだけど」
「そうね、それが目的だものね。まず私がどうして日本に戻って来たのか」
「やっぱり立花さんは外国に?」
「んー、厳密には外国ではないのかな、国外ではあるんだけど・・・・」
幸は、ラジワットと初めて出会った時に、とある秘術を使ってこの世界とは異なる世界に行った話に多くの時間を割いた。
その話を理解しなければ、この先の話が理解出来ないからだ。
倫子と佐々木は、食事の手が完全に止まってしまった。
「そんな・・・・そんな事って、実際にあるのか?、それじゃあまるで、トワイライト・ゾーンじゃないか」
「トワイライト・ゾーンって・・・・」
「そんな御伽の国があるなんて、僕、好きなんだ、そう言う話!」
佐々木の興味とは裏腹に、倫子は気が気では無かった。
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