第73話 ソ連が崩壊?
キャサリンが語った、これから先の世界。
それは、圧巻な内容であった。
政治、経済、戦争、どれを取っても信じがたい内容ばかりだ。
中東での巨大戦争、関西と東日本での大震災、スペイン風邪のような疫病の大流行、ワクチンによる遺伝子劣化、、、、
ソ連が崩壊する?、あのソ連が?。
そんな事があるはずがない。
あの国は、西側諸国と敵対し、今も日本に嫌がらせをしてきている。
崩壊なんて、するようには見えない。
第一、そんな話しが本当だとして、それが未来人だと、どう証明するのか。
デタラメを言っていても、信じるに値する証拠が無い。
「キャサリンさん、あなたの言っていることは解りました、でも、それが本当の未来かどうかなんて、証明のしようが無いことですよね、、、貴女が今語った内容通りに未来が訪れると言う証は無いのでしょうか?」
すると、その質問は折り込み済みと言わんばかりに、キャサリンは少し笑顔になって指を鳴らした。
すると、幸の頭の中に、今キャサリンが話した未来予想図が、一気に流れ込んできた。
幸は、そのあまりの急激な情報量を裁く事が出来ず、意識が遠のいて行くようであった。
それまで、信じられないと考えていた大きな戦争、災害、国家の消滅、それが半世紀の間に、怒濤の如く押し寄せるヴィジョン。
、、、、本当に、世界は、、、こんな大変な事になって行くの?
薄れ行く意識の中で、幸はそう呟いて、膝から崩れ落ち、床に座り込んでしまう。
「日本は、一体どうなってしまうの、、?、友達は?、学校は?、、、みんな死んでしまうと言うの?」
「大丈夫よ、急激にあれだけの量を見たら、そう思うのも無理ないわ。でもね、どんな環境であっても、それぞれの時代の人々は懸命に生きたと歴史には残されているわ、だから、そう心配しないで」
幸は、まだ震えが止まらなかった。
ただ一つ、キャサリンが未来人であることは、どうやら本当の事のようであった。
、、、キャサリンが未来人、、、、
冷静になって考えれば考えるほど、異常な話しである。
これは、、、ラジワットに報告した方が良いのだろうか?
「あ、それは止めて!、このことは二人の秘密よ」
「この話しって、サナリアさんは知っているんですか?」
「、、、、あなただけよ、、この世界の住人に、話せる許容量が決められているの、それを越えると、この世界は崩壊しかねないから、くれぐれも人には言わないでね」
まったく!、なんて情報を打ち明けるんだ、と幸は少し憤ったが、あのヴィジョンを見せられた後では、きっとキャサリンにも、色々な事情があるのだろうと容易に想像出来た。
こうして、ライターから始まったこの話しは、一応終わったものの、幸はなんだか、胸のモヤモヤが取れず、暫く精神状態が落ち込む状態であった。
本来であれば、ラジワットに話してしまいたいところだが、、、世界が崩壊されても困るので、我慢した。
それにしても、未来人があれほどの装置を使って来るべきこの世界に、どうしてラジワットは、神社の石段を往復するという方法で、時空間転移が出来るのだろうと、その仕組みが気になって仕方がなかった。
最後に、「タバコも、みんなには内緒ね」と可愛い素振りで付け加えると、キャサリンは再び一階に降りて、今度こそ喫煙を楽しみたいようだった。
タバコか、、、、。
私も、タバコを吸ったら、少しは大人に見えるだろうか。
そんな幸を見たラジワットは、少しは自分を女として、見てくれるのだろうか、、、、。
もう、本当にこれでは「少女A」だ。
不良少女の代名詞のようになってしまった「少女A」。
未成年の少女が犯罪を犯すと、このように呼ばれる。
それは、少し背伸びをしたい少女たちにとって、反逆の歌だった。
幸は、そんな曲をイメージしながら、どうやったら早く大人になれるだろうか、と、ぼんやり考えていた。
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