第8話 女王と誘拐犯たち

お茶会が終わってからソフィア姫は用意された部屋で暗殺の準備を始める。


「アンナ! 戦闘服に着替えます」


アンナとララに手伝ってもらい白い軍服に着替える。

ソフィア姫は戦闘モードで目の瞳孔が開き興奮していた。

武器の最終点検で斧や剣を丁寧に磨く。

その姿はまさに悪魔ようだった。

恐れながらララがソフィア姫に声をかける。


「ソフィア姫、気合い十分ですね」


「この日を待っていたからね」


アンナが涙目で応援をする。


「ソフィア姫を応援します。辛い事があっても……私たちがいます」(辛いお気持ちを支えてあげますよ!)


ソフィア姫は斧を研ぎながら答えた。


「辛い事?」(斬って内臓が見えたり……返り血を浴びて私が血まみれに……あっ! アンナが湯の準備をしてくれるのね)「ありがとうアンナ」


コンコンと部屋をノックする音が響く。


「ソフィア姫、少しだけお時間いいかしら? あの件について、できれば2人でお話しをさせて頂けませんか?」


ティアラ嬢の声だ。

メイドのアンナとララが急いで武器を片付けた。

ソフィア姫は返事をする。


「いいですよ。お部屋にお入りください」


執事のレオンが扉を開けるとティアラ嬢が部屋に入りレオンも後に続いて入った。

メイドのアンナとララはソフィア姫の指示で部屋を出る。


「こちらのソファーにどうぞ」


ソフィア姫は長いソファーに座ると机を挟んだ向かいの長いソファーにティアラ嬢を誘導する。

ティアラ嬢は驚いた顔で言う。


「あの! その服!?」


「私の勝負服だから、お気になさらないで……ふふふ」


「勝負服!?」(その服でアルベルト王子を口説くの? 変な女)


ティアラ嬢が苦笑いをしながらソファーに座る。

ソフィア姫は気にせずに話しを進めた。


「それで何か進展はありましたか?」


ティアラ嬢は不機嫌そうな顔で立ち上がり歩き出しソフィア姫に近づいて隣に座り話す。


「話しは嘘ですよ……ティアラはあなたにイラついてるの……だからね……あなたを痛ぶろうと思って来たのよ」


ティアラ嬢はソフィア姫の両手をとり強く握る。


(何をする気なの!?)


ソフィア姫は怖くなり恐怖で声がでない。

執事のレオンは隠し持っていたガスマスクをティアラ嬢につけると自分もガスマスクをつけた。

レオンがジャケットの内側から手の平くらいの爆弾のような物を地面に投げた。

ソフィア姫は逃げようとしたがティアラ嬢が離さない。

爆弾から一気に煙が吹き出して部屋は煙で充満するとソフィア姫は息を止めていたが我慢できずに煙を吸って気を失う。


「レオン運んでちょうだい」


ティアラ嬢はガスマスク姿で笑う。




ソフィア姫が気がつくと、じめじめした古いベッドの上に横になっていた。

周りを見渡すと、どうやら牢屋のようだ。


(縛られてない……雑な誘拐ね。でも身動きがとれるのは好都合)


牢屋は石積みの壁が3面で出口側は鉄格子になっていて鉄格子のドアは鍵がかかっている。

牢屋のすぐ近くでは見張りの山賊のような大男と小さい男と痩せた男の3人がポーカーをしていた。

ソフィア姫はわざと咳をする。


「コホン……コホン……」


ソフィア姫が起きている事に気づいた小さい男が痩せた男に声をかける。


「起きたぞ。おい! お前、報告してこい」


痩せた男が横幅が細い階段を上がって行く。

ソフィア姫が男たちに話しかける。


「あの……ここは何処かしら?」


小さい男が答えた。


「悪いが答えられない」


「そうですか……あの……お水はもらえませんか? 咳がでるの……ゴホンッ……お水をお願いします……ゴホンッ」


小さい男が仕方なそうに鉄格子の隙間から手を通して水の入ったコップを渡そうとする。

ソフィア姫は男の手を思いっきり引っ張ると男は顔を鉄格子にぶつけた。


「痛い! てめぇぶっ殺してやる!」


小さい男がキレながら鍵を開けて入ろうとする。

ソフィア姫はブーツの隙間に隠し持っていたナイフを素早く取り出した。

男が入ってきてソフィア姫を捕まえようとする。

ソフィア姫は逃げながらナイフを一振すると男の左腕を少し斬りつけた。

男は更に怒りが湧いて怒鳴る。


「糞ガキが!」


ソフィア姫は急いで牢屋を出る。

大男がタックルしようと猛スピードで突っ込んできたがソフィア姫は上手く避ける。

大男は勢いが止まらずに牢屋の中に入って行く。

ドアには鍵がささったままで2人の男は牢屋の中。


(奇跡万歳!)


急いでドアを閉じて鍵をかけた。

ソフィア姫はウィンクをしながら言う。


「ここで大人しくしてね」


ソフィア姫は男たちに笑顔を見せてクルッと向きを変えて階段を駆け上がる。

牢屋の男たちは嘘だろうと言うような顔で呆然としていた。

階段の先は木のドアがあってドアノブを回してみるとドアは開いた。

ここから出れそうでソフィア姫はホッと安心した。

警戒しながらドアの外を覗くと古い洋館の中だった。

どっちに逃げるか悩んでいると右から人の気配がするので急いで左の通路に逃げる。

廊下を走っているとプレートアーマーの飾りを見つけた。

ソフィア姫はプレートアーマーの槍が武器に使えないかと槍を触ってみると槍は取れた。


(しっかりしてるから使えそう)


警戒しながら先に進むと窓があるが全て開かないように釘を打たれていた。

出口を探すしかないようだ。

どんどん進むと出口の扉が見えてきた。

そこには見張りで山賊のような男が2人いた。

ここを突破しないないと外には出れないと思いソフィア姫は覚悟を決めたて鋭い顔つきをして勢いよく走り出す。

ソフィア姫に気づいた男たちは腰にある剣を急いで抜いたが、ソフィア姫はすでに高く飛び上がり1人目の男を思いっきり槍の棒で叩く。

すると男は気を失い倒れてしまう。

見事な腕前を披露してソフィア姫はニヤリと自信満々。

残された男は少し怯えながら剣を振り回すとソフィア姫は2、3歩後ろに下がって避ける。

緊迫した空気の中お互い背を向けないように向き合いながら距離をとって睨み合う。

ソフィア姫はポッケから牢屋の鍵を出して真上に投げた。

男は驚きながら鍵を見上げてしまう。

その隙にソフィア姫は力一杯に男の首元を槍の棒で叩いた。

男は剣で対抗する間もなくソフィア姫の一撃で気を失い倒れてしまう。

終わって静寂な時が流れたかと思えば後ろから足音した。

振り返ると報告に行った痩せた男が走ってくる。

痩せた男は剣を力任せに大振りで振り回すとヒョロヒョロな体のせいで剣を振るたびよろけたり一回転する始末。

ソフィア姫は痩せた男の膝の裏側を槍の棒で叩くと簡単に男は尻もちをついて倒れた。

ソフィア姫が槍の持ち手の棒先を腹に刺すように一撃をくらわせた。

あっさりと男は気を失ってしまった。

パチパチと1人の拍手が響く。

ソフィア姫が音が聞こえる方に顔を向けるとティアラ嬢と執事のレオンがいた。

ティアラ嬢は悪びれる事なく笑いながら言う。


「へーお見事じゃないの!」


その偉そうな態度にソフィア姫は堪忍袋の緒が切れたようで今にも人を殺してしまいそうな目をした。

それを見たティアラ嬢は蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった。

ソフィア姫は素早く駆け出る。

ティアラ嬢が反応した時にはソフィア姫が落ちている剣を拾いティアラ嬢の目の前にきて剣を振り上げていた。

レオンがティアラ嬢を抱きしめるようにかばう。

ソフィア姫は無表情で剣を振り下ろしティアラ嬢の顔の前でピタリと剣を止めた。

ティアラ嬢は恐怖で体を震わせて泣いた。

ソフィア姫はタメ息をついてから話す。


「執事に感謝しなさい……執事がいなかったら……怒り任せに斬りそうだったわ」(スッキリしたけど大人気ない事したわ)


レオンはティアラ嬢を抱きしめたまま言う。


「どうかティアラ嬢をお許しください! 私が罰を受けます! 私はティアラ嬢を止める事ができませんでした。私に責任があります」


ティアラ嬢は泣きながら怒鳴る。


「レオン!」


「ティアラ嬢だけでもお許しを!」


「レオン! お黙りなさい! ティアラは覚悟できているから大丈夫よ!」


ソフィア姫は不適な笑みを浮かべながら話す。


「そう……いい度胸ね」


ティアラ嬢は涙が止まりゴクリと息を飲む。

ソフィア姫は剣を下げて真剣な顔で言う。


「私を殺したり誘拐をしないと約束しなさい」


ティアラ嬢は返事をする。


「はい」


「約束できるなら今日は許してあげる」


「え!? 罰はないの!?」


「そうね……罰とは少しちがうけど……今からあなたの邸宅に泊めてよ」


ソフィア姫は何か企んでいる顔で微笑む。

その時、入り口の扉が開く。

兵士10人ほどが先陣を切って入ってくる。


「ソフィア姫を探せ!」


後から命令をしながらアルベルト王子が入ってきた。


「姫を救出しろ! 姫以外の者は捕えよ!」


アルベルト王子は怒っている様子。

ソフィア姫はヤバイと思いながら話しかける。


「アルベルト王子……」


暗いが少し奥にソフィア姫たちが見えた。

兵士が円状に並び盾を前に出して盾の壁を作りソフィア姫たちを囲う。

凄く心配した顔でアルベルト王子がソフィア姫に駆け寄り話しかけた。


「ソフィア姫無事でしたか!? 君が誘拐されたと聞いて駆けつけたのです!」


「誘拐!? ティアラ嬢とここで遊んでいただけですよ」


「遊び? 姫これは誘拐です!」


「私は誘拐されてないです! あ! そうそう! 私がはしゃぎ過ぎてお手伝いさんに怪我をさせてしまったの! 怪我の様子が心配なので今日はティアラ嬢の邸宅に泊まりますね」


アルベルト王子はソフィア姫が言っている意味が分からなくて困った顔をした。

その時、洋館を回ってきた兵士が報告に来た。


「アルベルト王子ご報告です。牢屋に2名捕まっている者を発見! それから3名すぐ近くで気を失っているのを確認! あとはここにいる執事とティアラ嬢だけのようです!」


アルベルト王子は目を丸くして驚きながら、ゆっくりソフィア姫の顔を見た。

ソフィア姫は少し気まずそうに苦笑いをした。

この状況に困惑する兵士をよそに執事のフォルトがあっけらかんと言う。


「助けは必要ないようですね」


助けにきたアルベルト王子の立場がない。

ソフィア姫は助けが必要な弱いお姫様ではなく最強の姫のようだ。

更に誘拐した犯人をかばう嘘までついている。

アルベルト王子はソフィア姫が変わり者すぎておかしくて笑ってしまう。


「こんな事って……」


ソフィア姫もとりあえず笑う。

アルベルト王子は少し困ったような呆れたような感じで言う。


「本当に心配したよ! さあ帰りましょう」


ソフィア姫は帰ろうとしない。

謝罪しながら自分の意見を言った。


「ご心配をおかけした事は申し訳ありません! でも今日はティアラの邸宅に泊まります! 明日そちらに帰り今回の埋め合わせをしますから許してください!」


それを聞いてアルベルト王子は悪巧みの顔を浮かべた。


「明日の埋め合わせなら……僕の部屋で2人で過ごしてもらいます」


ソフィア姫は苦笑いをして聞く。


「それは2人でお茶を飲むだけですよね?」


アルベルト王子は顔を近づけて人に聞こえないように言う。


「婚約者の部屋で2人ですよ」


ソフィア姫は目を丸くて驚く。


(それは大人な関係って事!?)


ソフィア姫が恥ずかしがっているのを見てアルベルト王子はクスクス笑う。


(からかってるだけ! 子供だから深い意味はない!)


アルベルト王子は真剣な目で言う。


「2人でするの初めてですね」


ソフィア姫は一瞬だけ白目になって沸騰したかのように顔を赤くして断る。


「ダメだって!」


「嫌いですか? チェス?」


「……チェ……ス……」


ソフィア姫は勘違いが恥ずかしくて両手で顔を隠しながら棒読みで答えた。


「あー苦手だけど、しょうがないなー」(私の頭はバカか! 相手は大人のアルじゃないから、そーなるよ!)


兵士たちは小さなカップルを見て微笑しかった。

ティアラ嬢は仲の良さを見せつけられて気が落ち込んだ。




アルベルト王子に許してもらいティアラ嬢の邸宅に馬車で向かう。

ティアラ嬢の邸宅に到着するとメイド達が寝る準備をしてくれた。

キングサイズのベッドに2人で横並びに布団に入るとソフィア姫は頭を傾けてティアラ嬢の肩に寄りかかる。


「お泊まりってワクワクするわね!」


「くっつかないで! 何で一緒に寝なきゃいけないの!」


「お泊まりは同じベッドで寝なきゃお泊まりっぽくない。あとは女の子は恋の話でもして寝るのが1番楽しいわ。だ・か・らティアラ嬢がアルベルト王子をどうして好きなのか教えて♡」


ソフィア姫は目をキラキラさせて聞いてきた。


「はぁ!? 何で恋話をしないといけないの!?」


「いいじゃない。教えてよ。教えてくれないなら……誘拐の事を言いふらそーかなー!」


ティアラ嬢は嫌そうな顔をした。


「嫌な奴!」


そう言ってティアラ嬢は枕を投げるとソフィア姫の顔に枕が当たる。


「やったわね!」


ソフィア姫は枕を投げ返す。

ティアラ嬢は上手く避ける。

枕を何度も投げ合った。

枕投げのバトルは長く続いて疲れて2人は大笑いしながら仰向けに倒れ込む。

ティアラ嬢はソフィア姫と関わって段々と気が許せるような感じがした。

ティアラ嬢は天井を見上げたまま真剣な顔で話をした。


「アルとは……ティアラのお母様の葬儀で初めて会ったわ……葬儀が終わってもティアラが大泣きしてるからアルが手をひいてお花畑を見せてくれたの。それからお母様に花束を送ろうって一緒に花を摘んだの。アルが花を摘みながら言ってた『この花はきっと天国に届くよ。花を通して天国のアイリーンさんと僕らが繋がれると思う』アルはいつだって優しい」


ティアラ嬢は泣き出した。


「ティアラ……」


「失恋したことは、もう分かってる!」


ソフィア姫はティアラ嬢の頭をなでてあげる。


「子供扱いすんな!」


「これは大人扱いだよ」


「なにそれ……」


怒った口調だがティアラ嬢は嬉しそうな顔をしている。

ソフィア姫は目を閉じてアルベルト王子と初めて会った日を思い出していた。




死ぬ前の世界でアルベルト王子との出会い方は……

初めての顔合わせの日ソフィア姫は中庭で暴れしていた。

ソフィア姫はお茶会の席に座りたくなかった。


『イヤー! その席に座りたくない! お茶会なんてしたくない! 敵国の王子と結婚なんてしたくない!』


アンナが必死に追いかけた。

ソフィア姫が走る先にリアム先生がいた。


『リアム先生! 助けて!』


リアム先生の後ろに隠れたがリアム先生に抱き上げられて捕まった。

リアム先生がソフィア姫を席に座らせて説教をする。


『ソフィア姫、エターナル王国の王子と結婚をしてください。そして女王として王国を治めるのです』


『酷い……』


席に座っている少年が答えた。


『そうですね。勝手に決められて酷いですよね』


『そうなの! 顔も知らない敵国の王子と結婚するのよ! 悪い奴かもしれない……だから私は全力で逃げる! そうよ! 長旅の準備をして早く船で逃げなきゃ! 私ゆっくり喋ってる場合じゃないの!』


『ふっ……はははっ』


『笑い事じゃ……それより……誰?』《よく見たら綺麗な顔。》


ソフィア姫は頬が赤くなる。

リアム先生が答えた。


『ソフィア姫、このお方がアルベルト王子です』


『えっ!』《美少年!》


『初めましてソフィア姫、エターナル王国第二王子のアルベルトです』


《上品な立ち振る舞いが眩しすぎるわ。相手の眩しさに負けてたまるか!》『えっと……あなたとは結婚できません……失礼します』


ソフィア姫はスカートを軽く摘みお辞儀をして逃げようと走り出すがリアム先生に捕まってしまう。

ソフィア姫は席に渋々座る。


『生まれた時から姫という人生で決まり事ばかりやらされた……でも自分なりに私は物事を考えて行動しているわ! だから結婚は自分で決めます! という事で逃げますからね!』


アルベルト王子が席を立ち上がりソフィア姫の手をとり笑顔で言う。


『今から逃げましょう!』


『えっ!? ちょっと!』


アルベルト王子は手を引いて走り話す。


『船は! 船はどこですか?』


『え!』《私が船で逃げたいと言ったからか!》


とんでもない状況になったがソフィア姫はワクワクしてきてきた。

ソフィア姫は指をさして道を案内する。


『船は港よ! 港はあっち!』


慌てながらリアム先生とメイドのアンナが追いかける。

走りながらアルベルト王子が質問する。


『船でどこまで逃げるの?』


『遠い南国に決まってるじゃない!』


アルベルト王子は凄く楽しそうに笑った。

2人は全力で走り狭い道を抜けてリアム先生たちを引き離す。

途中で街の人に一台の自転車を借りた。

ソフィア姫が前で運転してアルベルト王子が車輪の大凸に上手く足を乗せて立つ

ソフィア姫は自慢げに言う。


『自転車は得意なの! しっかり掴まって!』


『わぁ!』


ソフィア姫は自転車で坂を猛スピードでくだると段々と綺麗な青い海が見えてきた。

ソフィア姫は興奮気味に叫ぶ。


『船で逃げれる!』


アルベルト王子も叫んだ。


『僕も一緒に逃げたい!』


ソフィア姫は大笑いした。


『2人で逃げるわよ!』《アルベルト王子も悩みがあるのね》


港に着くと自転車から降りて2人は手を繋いで海に向かって走って逃げる。


『アル! 海よ!』


『ええ』




『王国は火の海です』


アルベルト殿下の声がする。

場面は変わり一面炎で燃えた。




ソフィア姫は青ざめ顔で目を開ける。

ティアラ嬢が質問した。


「あなたはアルが好きなの?」


ソフィア姫はベットから上半身を起こした。

ティアラ嬢も同じように起き上がりソフィア姫の顔を見ようとしたがソフィア姫は俯いていた。

ティアラ嬢は答えを急かす。


「ねぇどうなの?」


ソフィア姫は悲しげな顔で答える。


「私の気持ちは軽はずみに答えられない……私が選んだ事で……王国の未来が……」


ソフィア姫は目に涙を浮かべていた。

ティアラ嬢は首を傾げた。


「よく分かんない! 好きなら好きって言えばいいじゃない!」


「ティアラ嬢は素直で……可愛いね……」


ティアラ嬢はよく分からないけどソフィア姫の頭をなでてあげる。

ソフィア姫は笑った。

2人は眠りにつく。




翌朝……

ティアラ嬢が叫ぶ。


「ソフィア! 起きなさい! 朝食よ!」


ソフィア姫は寝ぼけながら答えた。


「ほへー……ティアラ……私の事ソフィアと呼んだ」


ティアラ嬢は少し照れながら言う。


「早く着替えなさい! ティアラが起こしてあげたのよ! 二度寝は許さないわよ!」


「ありがとう」


ティアラ嬢は自信満々で答えた。


「ティアラは気が効く女だもの」


2人は笑った。

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