第24話 力の貸し方
12月に入りだいぶ寒くなってきた。
調べものと言っても必ずしも図書館に資料があるわけでは無く、優弦さんのパソコンが大活躍だ。
「勉強も大変なのにこっちの都合で付き合わせてるのは申し訳ないんだけど、優弦さん居てくれて本当に助かる。」
「吉や満月の『力になってあげて』っていう意味はこういう事も含まれていたのかも知れないね。役に立ってるなら良かった。
それにね、俺昔から伝承とか習わしとか昔話とか調べるのが好きで大学もそっち方面に行ければなんて思ってるんだよ。
勉強の合間に気分転換的な感じでやってるし、こっちも楽しんでるから心配しなくて良いよ。」
『優弦さん、お優しい』
『....そうだね。(優弦さん、僕には厳しいけど)』
「きーちぃー?なんか含みのある言い方だねぇ?」
『ひぃっ....そういう所ですよぉ。』
「さて、余談はここまでにして本題に戻ろうか。」
日記を元に俺もいろいろ考えてみた。
「まずは、場所からね。朔夜さんが降り立ったのと満月が居たのが鎌倉だった事。この辺りの事については、満月は何か知ってる?」
『私達は月を離れる時に人型か兎のままでいるか選択に迫られました。人型になったのは朔夜さんとお世話係だった
不死に近いなんて怖いじゃないですか。朧さんも最初は兎を選択していましたが、朔弥さんが最後まで人を選択し続けていましたので、最終的に2人だけ人に変化しました。
月からはあくまで一方通行の一瞬の出来事で、降り立ったというか、強い光に目が眩んでいる間にこちらの世界に来ていて、目を開けたら明月院の兎小屋でした。
朔夜さんと朧さんは小屋の外に居て、時々会いに来ると言って早々に明月院を去りました。あの日は小屋から見える月が綺麗だったんです。でも急に雨が降ってきて、月から遠くに来てしまったなと少し落ち込んだのを覚えています。』
「日記の内容と同じだね。後から来る同胞が居るなら出来るだけの情報を集めたいから人を選んだ事、朧さんには悪い事をしたかも知れないという事も書かれていたよ。」
「そういえば、全然会ったことがないから実感が無いんだけど、祖父と朧さんは結局見た目何歳位なの?」
『見た目ですか?人の年齢と見た目がいまいちわからないので何とも言えないのですが、2人共20~30歳と言った感じかと思います。人型になっても麗しい2人でしたよ。』
「麗しいって....祖父って呼べないかも。私も朔夜さんって呼ぶわ。」
「話が脱線気味だけど、その感じだとお父さんもそれ位の見た目な可能性もあるね。」
「そうしたら。お父さんも葉月さんかなぁ」
「んー、最初はお父さんて呼んであげたらいいと思うよ。」
きっと、いや絶対喜ぶはずだ。
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