第23話 甘いものは正義です
明日はテストがあるし帰ったら勉強しないとなぁ。
「吉ぃ。あの話どう思った?」
『月兎の事はあまり詳しく無いのですが、昔聞いた話を思い出しました』
『タヌキってどういうイメージですが?葉っぱを頭に乗せて人に化けるとかですか?』
「昔話のせいで良くないイメージもついちゃってる人も居るだろうけど、俺としては小さい時に持っていたぬいぐるみの可愛いイメージかな!タヌキのぬいぐるみって珍しくない?って誕生日に母親が買ってきたんだよね」
『優弦さんがもともと私に寛容だったのはその辺りの事情もあったんですかね、私としては嬉しい限りです。で、話を戻しますが私達種族も昔は神の遣いだと思われていた様です。もともと日本の方々は自然信仰の中で生活していましたので。だから、山の神の中に住む動物たちも神の使いだと。』
「あぁ、八百万の神(やおよろずのかみ)ね。自然も動物も身の回りの物がみんな神様だったって事か。」
『月兎の掟は厳しいものですが、姿を帰るというのは、自然の摂理からは外れますよね。やはり掟は掟。覆す方法なんかあるのかな....なーんて。え!?どうしたんです??』
いや、ビックリした。祝寿吉の口からそんな真面目な話が出てくるなんて。
「ビックリしたついでに、コンビニに寄ろう」
『えー、なんでビックリ?ついでってなんですか?ねぇ、優弦さんてばぁ。』
なんかホワホワしてるけれど、教養はついてるんだよなぁ。もしかして、いいの所の出のタヌキなのか?
今夜の勉強の為の糖分(チョコレート)と茉優にも何か買っていってやろう。
「すいませーん。あと濃厚チョコデラックスまん、一つ下さい」
『茉優さん、甘いもの大好きですもんね!そして優弦さん妹に優しい』
お兄ちゃんは妹に優しいのではなく、弱い生き物なんだよ。たぶん(俺調べ)。
歩くのは昔から好きだ。勉強漬けの感じからも解放されて、気分転換にもなるしインドアな自分も少し健康的な生活を送らないとね。
「ただいま。って言っても誰も居ないか?でも茉優の靴あるし。」
寝てるかのか?しーんとしているが部屋に戻るついでに、お土産を渡しながら様子を見ていくか。
「コンコン、茉優寝てた?」
母が口で言いながらノックする癖がうつっている俺。
「....寝てません」
ドアを開けると何故かドアの前で佇む妹。毎度ビックリする。カオスだ。
「いいもの買ってきたんだけどな?」
「食べます!!!おにいちゃん大好き!!」
食い物に釣られるというか、食いしん坊というか。いつも通り調子の良い妹だ。
風呂の前に父と話す。
「この頃、よく出かけてるみたいだな。」
「うん。ちょっとした縁で友達になった子が居てね、興味があるから一緒に調べてる事があるんだ。」
「というと、伝承とか地方の習わしとかそういうものか?」
「そう。あまり詳しくは言えないんだけど、危険なは事し勉強も手は抜いてないから。」
「お前がそういうなら。何か困った時は言えよ。」
我が家は『後悔しない道を選べ。ただやるべき事はやれ。』というのが子育ての根本的な所にあるらしい。
やることをやっていれば、基本何も言われないし、まぁ言わせないけどね。
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