第19話 学生の事情

 先週は優弦さんと日記を買いに行ったから、今日は地元の図書館で勉強を教えてもらう事になっている。どちらかの家だと休日で気を遣うし、毎度ファミレスもアルバイトをしていない高校生には金銭面も気になるところだ。



 そういえばこの前テスト結果が返却されて、勉強を教えてもらっている手前優弦さんにも見せた。


『美月さんは別に成績が悪い訳じゃないみたいだから、取り合えず分からない所だけピックアップしておいて貰って、会ったときに教えるパターンにしよう。午前は勉強で午後は調べものにしよう。』

『友達と一緒に勉強ってね、一番時間が無駄になるパターンだよ』


 はい、仰る通りです。


 まぁ、成績もどうにかキープ出来ているから、好きなことをさせて貰えている気もする。それに祖母も母も月兎の件は私に任せてくれているから、調べもので外出が多くなっても特に何も言われない。


「あれから何も言われないんだけど、満月はどう思う?」


『2人とも美月さんが大きくなるのを待っていたんですよ。やっとスタート地点に立てたのだから、急かすよりも見守りたいって思っているんじゃないですか?』


「なんか満月、いい事言ってるね!!」


『優弦さん、話中に後ろから話しかけたら2人共ビックリしますよー....ってビックリしてるし。』


「あー。ごめん、そんなつもりでは無かったんだけど。」


「とっ、取り合えずおはよう。行こうか」


『行きましょ行きましょ!』


『祝寿吉さんが一番やる気ですね』


 図書館ではお静かに。ただし、眷属2人の声はこの2人以外にはもちろん聞こえない。




『....お2人共、そろそろお昼ですよ。』


 もうそんな時間なのか。隣の美月さんも集中していた様だ。”うーん”と伸びをしてから、4人で軽食が食べられるスペースに移動する。


『お2人共すごく集中していましたね』


「そうだね、比較的集中力はあるんだ。毎日小テスト、一カ月後にはまたテスト、うちの学校テスト多いって有名だからなぁ。」


「私、あの学校行かなくて良かった。(私の学力じゃ行けなかっただろうけど)」


「そう?力になれないタヌキも一緒に居たけどどうにかなったよ?」


『あーあーあー、優弦さん、ひどい。』


「祝寿吉、かわいい。」

(満月も全力で頷いている。)



『あー、美月さんも、満月まで酷い!!』


 お弁当持参で楽しいランチタイムが始まる。

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