第15話 日記(5)

 昨日のメッセージ爆弾投下の後は既読無視してしまったけれど、ちゃんと約束の時間の10分前には待ち合わせ場所の鎌倉駅に行った。


『もう着いてる?(変なタヌキ)』


『ふふっ!着いてるよー(敬礼しているうさぎ)』


『昨日、変なメッセージ送ったから怒ってない?』


『ん~?どうかな?(ハテナなうさぎ)』


「怒ってないな、この感じは。」


 急に後ろから声をかけられて「ぅわぁっ!!」と変な声が出た。


「ごめんごめん!改めまして、おはようございます。」


 全然反省してない満面の笑いで挨拶してきたけど、おはようだけ言った。


「怒ってないけど、いろいろビックリさせられっぱなしだよ。」


「ふーん。いろいろ、ね。早速だけど行こうか。」


「うん。だいたい目星はつけてるんだけど、せっかく来たからのんびり見たいな。」


「まぁ息抜きも大事だしね!今日は俺も息抜きしてくるって言って出てきた。お陰で『あら、お兄ちゃんお土産お願いね』って母親にまた3000円渡された」


「優弦ママはお土産は3000円のイメージなんだね」



 たわいもない話をしながら小町通りを歩いていく。小さい時から好きな紙製品のお店「紙匠」に向かう。

 そう言えばウサギもタヌキも居ない。昨夜満月と話をして、だいぶ私にも優弦さんにも祝寿吉にも慣れてきた様だから普段は出てこない様にすると言われて呼べば出てくるけれど普段はどこかに隠れているという話をしたら、うちのタヌキさんもそんな感じと言っていた。たぶん2人共遠慮えんりょしてくれたんじゃないかな…?


 道中は優弦が学校の友達の話をしてくれた。

 変わった友達がいてその友達がSNSで知り合った人と意気投合したのだが危険だから

 会うのは辞めた方が良いと助言しただとか、物凄く国語の成績が良い女子が実は腐女子だっただとか、優弦の日常に触れられる気がして楽しかった。

 やはり学校が違うと日常も大分違うんだよね。

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