第13話 日記 (3)

 放課後は亜美からの誘いもあったけれど、今日は用事があるから後日遊ぼうと約束をして、地元の公園を目指した。途中で『今から電車に乗るから、予定通りで!』と、不細工なタヌキが敬礼しているスタンプと共に送られてきた。


 最寄りの地下鉄の駅は通り過ぎ、JRの駅に向かって歩く。


 学校までバスを使う生徒もいるけれど帰り道はのんびり徒歩で歩く生徒もいるので、時間もあるし私も歩くことにした。


 残暑も過ぎて気持ち良い散歩の気分で駅まで歩きながら、同じ学校の生徒を見ながら歩く。友達同士で歩いているというよりカップルだらけだ。


『ふふふ。皆さん仲が良いですね!ほらあのお2人も、もう少し前を歩くお2人も』


「何が言いたいのかしら?私が一人で可哀そうに見える?」


『いえいえ!だって、これから美月さんも殿方とお会いに・・・』


「殿方って。優弦さんと待ち合わせでしょ?語弊がある言い方しないでよ」


『語弊ありますか?そのままだと思いますけど??』


「...このごろキャラ変わったよね。形勢逆転って感じ。」


『なにブツブツ言っているんですか。あ、そろそろ駅ですね』


 一人とは言え、満月が居るようになってからは一人が独りじゃないからあっという間に目的地に着くことも多々ある。


 取りあえずそろそろ公園に着く事をLINEして、お母さんにも今日は友達と遊ぶからは夕飯は要らない事をメールしておいた。 


 駅を抜けた先の公園のいつものベンチで待っていると、遠くから優弦さんと祝寿吉が来たのが見えた。


「待たせちゃったよね、ごめん。あ!制服で会うの初めてだね。」


「呼び出したの私だもん。こちらこそ今日の今日でお呼び出ししてごめんなさい。制服なんか恥ずかしいね。」


 本当に都合よく委員会が無くなった事や元々塾の無い日だったので予定がぽっかり空いたことを聞いて、満月と祝寿吉は『これも何らかの力が働いたのかもしれませんね』と言っていた。


「さて、本題に入ろうか?まず何がご希望ですか?」


 にっこり笑って優弦が言う。


「とりあえずいろいろ話したいんだよね。優弦さんお腹すいてる?」


「・・・男子高校生にそれ言う??愚問だよね?」


 にっこり改めニヤリと笑い、それを見て4人で笑った。


 私もお腹が空いていたので少し早めの夕飯食べながら話をする事にした。

 公園から近くのファミレスに着いて注文の品が届くまでは、学校での事とか変なメッセージスタンプの話をしたり、ご飯を食べながら家族の話をしたりした。


 一通りお腹が落ち着いて飲み物を飲みながら本題に入った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る