第12話 日記 (2)

 4時間目が終わり昼休みの教室は急に賑やかになる。いつもの仲間と昼御飯を食べる為に席を移動し、購買に行った友達を待つ間にスマホのゲームでもしようかと思ったらメールが入っている事に気づいた。


『こんにちは。急ですが今日の放課後時間あるかなぁ?話したい事とちょっと買物付き合って欲しいです。』

『急なお誘いなので用事あったら大丈夫です。ごめんね!』


 まだ返事していないのにごめんねって、と声を出さずに笑っていたら


「優弦がスマホ見て笑ってる…」

「もしかして…」

「そこのところ詳しく教えてもらって良い?」


 と、購買組が帰ってきた。


 あー面倒臭い。チラッと祝寿吉を見たけれど、目を逸らされた。


「おかえり。あーこれ見てた」


 数日前に妹が作ったパウンドケーキの写真を見せた。


「おぉ美味そう…って弁当待ちで妹が作ったパウンドケーキみてニヤニヤするってどんだけ腹減ってんだよ。」


「優弦って妹と仲良いよな」


「どうなんだろ?取り敢えず俺は弁当を食べるぞ」


 上手くかわせた気がする。


 弁当を食べつつ会話をしながらも放課後の予定を考えていた。塾は無いけど委員会の集まりがあるから...今日は無理だな。


 その時クラスメイトに呼ばれて廊下を見ると委員会の先輩が『今日の委員会無くなったから伝えに来た。また日程決まったら教えるわ。』じゃあな!と言って、また隣のクラスに移動して行った。


「今日委員会の予定だったんだな。時間空いたなら優弦と放課後遊びたかったな。おまえの家遠いからなかなか遊べないしさ。」


 まぁ家は遠いし塾はあるし、都合が合えばもちろん遊びたいとは思っている。


 が、今日は都合が悪い。


 というか祝寿吉さん、眼ぇキラキラさせて首をブンブン縦に振るのやめて〜!


「そっか、残念。また都合合わせて遊ぼうぜ」


「おぉ、頼むわ。そういえば先生に呼ばれてたんだった。ちょっと行ってくる。」


 もちろん一人になる為の口実だけど、空の弁当箱を仕舞って図書室に向かった。


 うちの学校の図書館は市立図書館にも引けを取らない大きさで、俺の気に入っている場所でもある。


 本棚の間を行き来しながらメールの返信の文面を考える。あまり時間も無いし、美月も会って話したいと言っていたので取り敢えず、OKのスタンプと返事を送信。


『学校を出るときに連絡するから、それから1時間半後に例の公園に集合』


 駅にしなかったのには理由がある。自分の学校は遠いから学校の友達は別に気にしないが、美月の友達や地元の友達に美月と一緒のところを見られたら面倒だ。美月もそれは避けたいだろう。

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