第7話 満月の想い
眷属として人に付きながら動くのにも限度がある。本当に優弦さんが必要になるのはこれからなのを私は知っていた。
優弦達と別れた後、美月と話しながら歩いていた。友達と遊んだり人込みに行ったりはあまりしないので今まで気にしなかったけれど、言われてみれば独り言を言っている怪しい女子高生に変わりない。優弦さんに教えてもらったハンズフリー術を使えるように途中で100円ショップに寄りながら帰ることにした。
美月に『優弦さんの印象は?』と聞いてみたら、「ん-、気にならない人かな」と言っていた。
「一緒に居ても緊張しすぎないし、話もしやすいし、見た目もなかなか良いよね!だから、良い意味で一緒に居ても気にならない、友達としては良い存在じゃないかと思う」と。
まだ2回しか会っていないけど、私も美月と同意見だ。今更ながらあの日祝寿吉さんにお願いしたのは間違いではなかったし、祝寿吉の人選も良かったと思う。
あとは、美月が真実に行き着いた時の優弦さんのサポート力を願うばかりだ。
夏休みも明けた10月。学校が違うとは言え地元は同じなので、美月も優弦(もちろん満月と祝寿吉も一緒なのだが)は、優弦が美月の勉強を見るという名目で土日に図書館で会う事が増えていた。というのも、眷属同志は情報交換しようと思えば簡単に会えるのだが、美月と結弦もやはり距離を縮めておいた方が良いだろうという満月の判断である。
「まぁ、確かに距離があると相談とかってしづらいだろうしね。....あ、ここ間違ってる。」
「だいぶ近づけて来てる気がするけど。・・・うそっ!う~ん、もう一度教えて下サイ。」
「ここは、さっき使った公式で。あ~、ここの計算間違ってるから答え出ないんだよ。はい、もう一度」
「先生。厳しいです。」
「あはは、じゃぁ美月くん。だいぶ距離が縮んだと思うなら“さん付け”やめてもらおうか?」
「え~。勉強も教わってるし敬意をこめて優弦先生ってよぼうかな(笑)」
「なんだそれ・・・近いんだか遠いんだか、分からない距離感」
顔を見合わせて、我慢できずに二人で吹き出してしまった。
『二人とも良い距離感ですね!』
『ほ~んと。でも思っていた通りになって安心かな!』
「君らの距離感もなかなかだと思うけど?」
美月に言われ、考えていた事が口に出ていたことに気づき慌てた満月と祝寿吉を見て、今度は4人で笑ってしまった。
勉強もひと段落し少し日も傾いてきたので今日のところはお開きとなり、優弦は家まで送っていこうかと言ったのだが、まだ早い時間なので美月は大丈夫と断りまた連絡する約束をして別れた。
美月が家に帰ると珍しく母が迎えてくれた。
「おかえり!ちょっと話があるから、荷物置いたらリビングに来てね。」
なんの話だろう?あ、もうじき誕生日だからその予定と欲しい物とかを聞きたいのかな?と思いながら部屋に向かい、欲しいものなんだろ?満月は何が良いと思う?なんて聞きながらリビングに向かった。
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