第6話 サイワイな事

 昨日会った美月さんと会う。


 地元の駅前は数年前からの大規模な区画整理の工事も終盤に近付きだいぶ近代的に生まれ変わってきている。


 駅からすぐの公園は地下を走る大きな道路のトンネルの上と言ったところにあり、花壇とベンチがあるだけの穴場的な公園だ。家で会っても良かったのだけど休日なので、家族(特に妹)に冷やかされるのも嫌だし、だからと言って地元だから知っている人に会って冷やかされるのも微妙なので、この穴場で話すことにした。


 俺より先に美月さんがちょうど日陰になるベンチで満月を膝に乗せて座っていて、普通に話をしている様だけど他の人から見たら独り言を話している不思議な女の子だよなぁと頭の中で満月を消した映像を頭にうかべながら公園に入っていった。


 すぐに気づいてくれて挨拶をかわし、ここに来る途中のコンビニで買ったアイスティーを『お土産』と言って渡し、俺も祝寿吉を抱えてベンチに座った。


 眷属も今日は声を出して話せるので、一昨日より話もしやすい。4人でこれまでの事ももちろんだけど、世間話も交えて、会話を楽しんだ。


 話しもだいぶ尽きてきた頃に俺は満月と美月さんに聞いてみた。



 「祝寿吉には『満月が眷属になれなかった場合、美月の力になって欲しい』と言われてたんだけど、満月は無事眷属になれたし、俺はどうした方が良いのかな?今、困っていることとかある??」



「とても困っているという事は無いけれど、せっかくの縁だと思うしこれからも仲良くしてもらえたら嬉しいな」



『私からもお願いしたいです。これからも美月さんの力になっていただけたら幸いです』 



「俺は構わないよ!力になれるかはわからないけど、困った時は言ってくれたらサイワイです。」



『「サイワイですって」』



 美月と祝寿吉は笑っていたけれど、満月は笑っていなかったのに気づいて、ん?と思ったけれどその時は気にしないでおこうと思った。

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