4.

翌日、高校校舎の屋上の扉が静かに開き、ひとりの女生徒の首がにゅうっと出てきた。

アミだ。

そして、彼女を待っているハズの 2-Dのイケメンの姿はどこにも見当たらない。

それもそのハズ、まだ5時間目が終わったところ、約束の放課後ではないのだ。


「いけない、つい 来ちゃった・・・」

出入口の扉の開く方向、フェンスまでの距離、そしてフェンスの外側は・・・

現場の下見は泥棒稼業の鉄則。それが本能のようにアミの身体に刻み込まれているのだ。

本日の「現場」を事前にチェックする行動を抑えることなどできない。


ふとフェンスの外に目をやると、眼下を一台のパトカーが通り過ぎて行った。

旭日章、つまり警察のマークがついたものは無意識に目で追ってしまう。常に警察の捜査に怯えながら暮らす、これがアミの日常なのである。


「あれ? なんか見た事ある・・・」

パトカーの後ろに1台のトラックが続いていた。そしてその荷台には奇妙な形の機材がロープで固定されている。


「ロボット・・・?」

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