第27話
一章
マリちゃんちの晩餐会①
侵略者との攻防
「はいソコの!なんでそんなトコから覗いてんの!
ポジションが違うでしょーが!あんな大きな窓が有ったらお庭に潜んでて「イヤ〜ン!ちょっとアンタ達!
ナニ覗いてんのよ!ワタシが超セクシーなのがイケナイの?モテる女の子はツライわ〜、超ツライわ〜!」
って言わせるのが出来るオトコでしょ!?ちんちん付いてんの?どっかで落としたの!?こんなにイイ女がシャワー浴びてるのに!!」
「ごめんなさい。ちょっと何言ってるのか分かんないです。でっかい窓とか知らないし。俺のは一体成型で脱着式じゃ無いんでちゃんと管理してます。グルメなんで好みにうるさいんですよ。」
俺と弐狼がリビングのドアからバスルームの方を覗いて見るとお姉さんがバスタオル一丁のあられも無い姿でバスルームから飛び出しジダンダを踏んでいた。
突然現れた痴女のワガママに困惑していると弐狼がからかう様に
「何だよ、覗いて欲しかったのかよこの変態め!だが断る!俺にもオカズを選ぶ権利が有るんだよ
「ハァ?宇宙人?そんなのいる訳無いでしょ!小学生かな?全く最近の学生ときたら…先が思いやられるわ〜。あのガマグチかわいかったからワタシが使ってあげるわ。お捻りと一緒に落ちてたんだから落ちてたモノはワタシのモノ、ワタシのモノはワタシのモノよ!どうせ碌に中身入って無いでしょ、軽かったし。」
「うるせーあのガマグチには俺の夢が詰まってんだ!とっとと返しやがれ!妖精さんがショップで俺を待ってんだ、売り切れたらどーすんだよ!チキショー!
こうなったら実力で取り返してやるぜ!喰らえウルフクロー!!」
「ざ〜んねん!ココには無いわよ〜。でも降り掛かる火の粉は払わなくっちゃね!掛かって来なさいよ狼男!ハリセンソードが無くてもワタシは強いわよ!
スピニングそるとキーック!!」
バスタオル姿で派手な廻し蹴りで飛び掛かる弐狼を迎撃するお姉さん。が、思いっ切り脚を挙げたせいで裾が捲れ見えちゃイケナイ部分がチラッと見えそうになる。「わわっ!」と裾を押さえるが今度は胸の部分がほどけてバスタオルがハラリと落ちる。
「へへへざ〜まぁ〜!その妙にえっちなボディを余す所なくキッチリ脳内メモリーに保存してやるぜ!泣いたって絶対に消さね〜からな!見ろよ太助!コレが悪の末路だぜ!さ〜てオシオキタイムの始まりだぜ〜!フヒヒヒ…!」
あわや大事な部分が全域大航海もといフルオープンになったその刹那、
「ダメーーーーーーーーーーーーッ!!!」
ロケットみたいな凄い勢いでマリがすっ飛んで来てお姉さんのボディの前に覆い被さる。しかしマリの身体は透けているのでボカシが入ったエロ動画みたいになってしまい、逆に卑猥さマシマシ映像と化していた。お姉さんはクルリと回って背中越しに振り返り
「イヤ〜ン!まいっちんぐ❤」
とウインクする。すると弐狼が
「テメェー!俺が散々お世話になった先生を侮辱するんじゃね〜!ヤメロォ〜!勝手に思い出を上書きすんなぁ〜!!アァ〜先生と右手の思い出が乗っ取られて汚されて行く…やめろ…やめろよぉ…」
一番汚してんのはオマエだけどな。崩れ落ちて床を叩いて顔中から液体を垂れ流す弐狼の頭を再びバスタオルを巻いたお姉さんが踏んづけて
「分かった?コレが実力の差よ!コレからは使った分だけワタシに払うのよ?知り合いのよしみで一回千円にしてあげる❤虚偽申告は一万円よ!」
「高すぎだろチキショー!もっと負けろよ!今時ネットにオイシイ画像がゴロゴロしてんのによぉー!もっとサービスしろよ宇宙人の癖に!」
ガバッと起き上がった弐狼に脚を取られお姉さんが
「あ〜っ!」とバランスを崩し後に仰け反る。ワタワタとブンブン振り回す手を咄嗟に掴むと、俺は思いっ切り自分の方に引っ張りそのままお姉さんを抱き抱え倒れ込んだ。
「危ねえだろ!」と叫ぼうとするが上手く喋れない。
俺の顔面はボリューミーなお姉さんのおっぱいに支配されていた。「ひゃぁっ!」と俺の上に乘ったまま胸を腕で隠すと
「何よアンタ!そんなにワタシと付き合いたいの!?このおっぱいは有料よ!さあ払いなさい!お金が無いなら身体で今すぐ払って貰うわよ!エヘッ、エヘッほ〜ら痛くしないから!フヒッ、イケメン彼氏ゲットぉ〜!」
「ダメェーーー!!!ダメなのーーー!!!わたしの大事な太助さんは貴方を助けようとしたのになんで恩を仇で返そうとするんですか!ソコはもう予約済みなんですヨ!早く退席して下さい!グスッ、うぅ…わ〜ん!太助さんが痴女に寝盗られちゃったぁ〜!もうムリ…死にたい…」
お姉さんをグイグイ引っ張りながらマリが人聞きの悪い勘違いで泣き叫ぶと、桃香さんがパタパタとやって来て楽しそうに
「アラアラ賑やかね〜。もうそるとちゃんったら!
いくらモテたいからって攻め過ぎよ?ナンパ狩りからイケメン狩りなんて本当元気ね〜。でもやり過ぎると男の子に嫌われちゃうわよ?引く時には引くのもイイ女のやり方よ。」
「わかりましたよぉ〜。じゃあ謝るから仲良くしてよね。ゴメンナサイ、ペコリーヌ❤m(_ _)m」
お姉さんは俺から降りると深々と土下座した。バスタオル姿のままなので胸の谷間が丸見えになる。
顔を上げるとニヤッと笑ってペロッと舌を出す。
う〜ん、全く反省して無いな。弐狼が心底悔しそうに
「クソッこんなので…絶対にオカズになんかしね〜からな!絶対にだ!」と固く拳を握り締める。良かったなメインディッシュがゲット出来て。千円払ってやれよ。俺は遠慮しとくけど。起き上がろうとすると今度はマリがストンと俺の腹に乗って来る。ミニスカなのでマトモにパンツとオシリの感触が…。恨めしそうに膨れっ面で俺をじ〜っと見つめながら
「よ、予約済みですから!!」
と、涙目で抗議する。そりゃ仲良しの友達が突然現れた得体の知れない女の子とベタベタしてたら気分良い訳無いよなぁ。
「ご、ゴメン!気を付けるよ…」
「う〜っ、太助さんは悪く無いのに謝られると悔しさがマシマシになるのはナゼ何ですかね…?」
桃香さんがマリの襟首をヒョイッと摘むと
「ホラお料理が頓挫しちゃってるわよ?シェフが敵前逃亡しちゃったら作戦失敗よ。久しぶりだからご近所さんにも配るからキリキリ働くのよ!OK?」
「イ、イエス、サー!タチバナマリ少尉配置に戻るで有りマス!サー!」
マリが桃香さんにビシッと敬礼する。良く訓練されてるな。少尉なのか、先は長そうだ。ふと見るとお姉さんが渋々胸元からスカスカのガマグチを取り出して
「しょうが無いわね〜、一度ゲットしたモノをリリースするのはワタシのポリシーに反するけど特別に返してあげるわよ。でもガマグチなんて久しぶりにみたらちょっと欲しくなっちゃったわ。一周回ってアリな気がして来たかも。てか、ドコで買ったの?」
「そもそも俺のだろ!何だよガマグチも碌に見たコトね〜のかよ。コレだからキャッシュレス世代はよぉ。中身返してくれたらガマグチはくれてやるよ。ウチにまだ幾つかあるしな。ソレよりさ〜、その頭のヤツ何なんだ?ドコで売ってんだよ?」
えっ?とお姉さんは自分の頭を見る。ぴょんと跳ねた髪の先に丸い球体がピカピカと七色に光っている。
「わーっ!わーっ!コレは何でも無いの!そう、アクセサリーなの!こないだ見つけて買ったのよ。ハイテクでしょ?コレから流行るのよ!でもココで見たのは内緒よ!アンタ達は何も見なかったの!いいこと!?またあとでねーーー!!!」
お姉さんは急に慌てふためき頭を押さえながらガマグチを投げ出し、バタバタとバスルームに引っ込み騒がしかった廊下がしん、と鎮まり返る。
「なあ太助〜、アレって宇宙人の…」
「いいか弐狼。世の中には知らない方が幸せな事が一杯あるんだ。ホラ、ガマグチ落としてるぞ。夢でも見たんだろう。また喉乾いちゃったな。リビングで麦茶の残りでも飲みなから話そうぜ。」
真っ赤なガマグチを拾い上げて渡し、ポカンと口を開け首を傾げる弐狼の肩を押してリビングに戻る。
「ね〜ね、お母さん。アレってな〜に?」
「そうね〜、アクセサリーって言うよりアイデンティティ?かしらね〜。取り敢えず地球の食べ物は何でもイケるらしいから気にしなさんな。さあ遅れを取り戻すわよ〜!」
「雑食種なの?じゃあお野菜も食べさせないと。畑の作物食い荒らしたりしないよね?あ、よく牛さんが攫われてるし牛肉料理が好みなのかな?じゃあアレとアレで〜うん、決まったよ!」
やっと決まったのか、良かったな。まあ宇宙人だし仕方無いか。なんで俺のカンって不吉な方にばかり当たるのか。でも地球で就職してるくらいだから適応してるよな。仲良くしてねとか言ってたが、もう侵略済で迂闊に近寄るとグロ変態して襲い掛かるとか…。
いざとなったら弐狼をけしかけてマリ先生にお願いしよう。金縛りにしてポルターガイストでポイッとしてもらえば良い。俺は穴を掘って埋めるとしよう。昔のゲームで見たから間違い無い。リビングに戻りキッチンからの更に良い匂いにつられダイニングを覗くとマリが口をモグモグさせて
「ああっ!いけませんよ!恩返しの作業場は覗き禁止なんです!あとちょっとなんでお待ち下さい!」
と、追い返された。コイツつまみ食いしてたな。料理人の特権だから仕方無いけど。フンフンと鼻歌を歌いながらお姉さんが何故かパジャマ姿でリビングに戻って来て人差し指を口に当て「し〜っ」としてソファーで安らかに眠るセージさんに膝枕する。こりゃまた嵐になるな。本当にイタズラ好きだなあ。ああ、マジックで落書きしてるよ…。
その後桃香さんの「みんな御飯よ〜❤」の声で目覚めたセージさんがお姉さんの顔を見るなり洗濯バサミの様に飛び起き逃げる様に顔を洗いに洗面所に入ったあと、「ま、松戸ぉ〜き、貴様と言う奴はどこまで!今度と言う今度は成敗してくれる!」と暴れ出しマリにオシオキされ縛られたままキッチンへ連行されるのだった。
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