第3話
一章
マリちゃんとこんばんは
その②
「オバケかぁー。そういや子供の頃はオバケごっことかやったよなぁ。灯り消して懐中電灯で顔下から照らすとか、あと肝だめしでオバケ役の奴が恐怖でブチ切れた奴とガチバトルになったりなー。全く弐狼君は何時までも少年の心を忘れないナイスガイだな、羨ましいよ。ハッハッハッ」
「オイオイ褒めたって飯は奢らねーぜ?付き合ってやってんだからオマエの奢りだろ?駅前の屋台ラーメンな。アソコのオヤジもいつも俯向いてボソボソ喋って幽霊っぽいんだよな〜。」
「褒めてねーしラーメンも奢らねーよ!幽霊なんて居ない!オバケなんてないさ!」
「ヘイヘイ!太助君ビビってるう〜?オバケ怖いとか何時も憎まれ口叩く割にカワイイとこあんじゃ〜ん?女の子達にチクられたくなきゃラーメンヨロシクぅ〜!味玉とチャーシューで。」
「このケダモノ野郎!オマエなんか祟られちまえ!ってどうしたよ?更にバカ面に磨きかかってるぞ!変顔したってトッピング増えないからな!」
いつもの調子でバカなやり取りの途中、弐狼が固まって動かなくなった。
そしてギギギとぎこちなく首を回し、
「お、オバケちょる…う、後ろの席、い、居る…この車乗ってるぅー!あぁ〜俺が幽霊の話なんかしたからぁー!ヒィィィあ、悪霊退散!悪霊退散!」
「オイ!落ち着けバカ野郎!何が後ろの席だ!
忘れてんのか?この車は2シーターだろうがぁぁぁー!後ろなんて…!」
怯える親友を怒鳴りながらルームミラーを見て俺は戦慄する。
俺の車はSW20型トヨタMR2ミッドシップの2シーターだ。運転席の後ろはエンジンルーム、その平らなエンジンフードの上にそいつは居た。
心地よさそうに、夜風に吹かれながら。
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