第30話 夢の扉

暗いぼやけた夢の中、驚くように尖った映像が見えた。金属で出来た箱が、アニメで見た夢のように、蠢き、歪み、腕を伸ばした。なんだ、ちゃんとイメージが見えたじゃないか。途中で夢だと気づいた私を振り返ると、箱と同化し、板となった身体が遠くの山稜に伸びる。其れなのに、覚めた夢はあっと言う間に瓦解し、帳の向こうに溶けて消えた。ああ、このイメージはどこに隠れていたのだ、もう一度見るためには、どこの扉を開けばよいのだ。

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散文置き場 chrononno @chrononno

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