第13話 堺の商人を攻略1

天文4年(1535年春)4歳


大名は農閑期に徴兵する農民兵の士気を高めるため、敵の村を襲って米なり女なり好きにして良いという乱暴狼藉を黙認している。


そもそもいくさの理由も『米がないなら、あるところに攻め込めんで、奪えばいいじゃん』だもんね。


ヤクザだよね。ヤクザ大名!


戦国時代に人権などない。攻め込まれて負けたら終わりだ!

何から何まですべてを奪われる。生き延びた人も奴隷として売られる。酷い話なのだ。

だからこそ伊賀は絶対負けられない! 母上や村の子供が奴隷にされるなど許せるわけない。


なにがなんでも、富国強兵を実現しなくてはならない。


それにしても、子供まで奴隷という商品として販売するなんて人として許せない!

本当に戦国時代は無茶苦茶過ぎる。


それにだ、俺をこんな時代に転生させるなんて……やっぱり酷い! 酷すぎるだろ!

神様に聞こえないよう、小さい声で言っておこう。


堺の商人たちは、いくさで儲けている。言わば死の商人だ。

いくさがあれば、大名が大量の兵糧や鎧、武器を買ってくれるから大儲け出来る訳だ。


いくさが終わっても商人たちは、死んだ武将や兵士から剥ぎ取られた鎧や武器を買い付けしたり、奴隷を買い付けしたりと忙しい。いくさでは、この兵糧、鎧、武器、奴隷が儲かり商品となっているのだ。


堺の商人の多くはこのいくさ商売で身代を大きくしているのだ。


忍者調査隊が、堺の大店商人の中で店主の評判が極めて悪い店を見つけてきた。

というか堺の店はどの店も評判が悪いらしい。

まあヤクザみたいな大名相手に商売していりゃそうなるかもね。調査の結果、文句なしのダントツNo1の店主が見つかったそうだ。


ターゲットになった店の商売は奴隷商売だ。

いくさがあると聞けば、傭兵を雇い、いくさを少し離れたところで監視する。

いくさの勝敗が決まれば、勝った側に素早く擦り寄り商談開始! ハイエナだよ!


逸早く活きのいい、健康な奴隷を購入していく。

いろいろな商人がいくさとともに移動していく。

奴隷商人だけでない! 兵への食料や酒の販売から、売春の斡旋までいろいろな商人も移動する。


奴隷商人は『乱暴狼藉』により、農民兵に捕まえられた若者や子供を購入する。また大名からは、敗軍の武将やその妻子、捕虜になった兵を購入する。


購入した後は、大名に賂を払って奴隷市を開催する。

奴隷には飯代がかかるので、多くの奴隷はさっさと転売するのだ!


器量の良い若い娘や、そのスジに気に入られそうな男の子は堺に連れて帰る。

京や堺の金持ちや、大和や紀伊の大きなお寺にはそういったニーズがあり、高値で転売できるのだ。


奴隷として売られた人たちのその後は想像したくない。悲惨に決まっている!


忍者調査隊がターゲットに選定した店は、買い取った奴隷の扱いがあまりに酷いことで、堺でも有名な店なのだ! あまりの酷さに近所の店や町衆からも大顰蹙を買っている。

いわゆる、街の嫌われ者だ!


店主の息子もこれまた評判が最悪!

奴隷だけでなく、真面目に働く丁稚もイジメ殺したりすることがある

それだけでない。美人で評判の町娘を、ヤクザ者に攫わせて犯す。

やりたい放題の毎日。


奴隷商という仕事が人となりを形成していくのか。

親子揃っての屑野郎なのだ!


忍者調査隊達全員が、この親子だけは許せんと殺気立っているらしい。

おいおい今回の目的は、必殺仕置人になることではないのだぞ!

店の乗っ取りだからね。

間違えないで冷静に行動して欲しい!


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