第14話 堺の商人を攻略2

天文4年(1535年春)4歳


乗っ取りの実行部隊を任された才蔵君!

さっそくターゲットになった店主に、お色気溢れるくノ一お姉さんを送り込んだ。


伊賀忍者は人材豊富だよね。


くノ一お姉さん、お得意の色仕掛けで店に潜り込む! 色仕掛けのシーンは割愛させていただきますね。毎晩寝る時に「夜を楽しむための強壮薬でございます」とか言って、伊賀特製の暗示薬を嗅がせている。


耳元で「キツネ顔の商人があなたを殺しに来る。殺して財産を奪おうとしている」と暗示を与え続けている。


財産を奪おうとしているのは俺だけどね。


息子の方も、別のくノ一お姉さんに頑張ってもらっている。

もちろん顧客にキツネ顔の商人がいることは調査済みなのだ。


くノ一お姉さんの暗示から数日後……


奴隷を買いにやって来たキツネ顔の商人に、店主親子は「簡単には殺されないぞ……」と怒鳴りつける。


「財産を奪うつもりだろう。そうはさせない! お前が死ね!」と、興奮した様子で店の奥に置いておいている小刀を振り回し始める。


キツネ顔の商人は、当然護衛を連れている。抜刀した護衛に、いとも簡単にあの世行きにされたそうだ。親子とも御臨終!


ターゲットになった店には何人かの番頭がいる。

その中から真面目が取り柄のような番頭に狙いを絞る。またまた、くノ一お姉さんのお色気攻撃が炸裂だ!


くノ一お姉さんに身も心もメロメロとなった番頭! なんと、くノ一お姉さんを嫁にもらったそうだ。くノ一お姉さんもまんざらではない様子。


まあそういうこともあるよね。おめでとう。

くノ一お姉さんの旦那となった番頭……いや新店主は嫁の言いなりなのだそうだ。


くノ一お姉さん、やっぱ凄いわ! 俺からも報奨金を渡しておいた。

そして「体張ったお礼です。任務ご苦労様でした」と、労っておいた。


感激したくノ一お姉さんたちから「若の妾にして欲しい」と、お願いされたが「幼すぎるので無理です」と、やんわり断っておいた。


元の店主の家族には慰労金を渡し、堺の町から出ていってもらった。

その後、家族は別の町で商いを始めたそうだ。

さすがこの時代の商人は逞しい。


悪徳店主が買い入れていた奴隷は200人もいた。どの奴隷も酷い健康状態だった。

あまりにフラフラなので、伊賀に連れて行って静養させた。

後で俺が治療するから元気になると思う。


もう奴隷ではないことを伝え、今後の身の振り方を聞いたところ「この村で平穏に暮らしたい」と、言うので村人として生活を送ってもらうことにしている。


皆が将来に絶望していたところなので、ずいぶん俺に感謝していた。


店の乗っ取りが目的だったので、感謝されると何だか恥ずかしい……

これで堺の店が手に入った。

ここが伊賀の貧乏脱出の転換点だ。


蔵には2万貫の銭の他に、絵画や骨董がたくさん収まっていた。

伊賀のために、ありがたく活用させていただきますね。


しかし奴隷商売が、こんなに儲かっていたとはびっくりだ。

もちろん奴隷商売は綺麗さっぱりやめさせたよ。人の道に反するからね!


今後は忍者調査隊の情報を基にした、米や武具の買い占めと転売で爆益を上げてもらう。

今年の秋には米の買い占めだ!

なんかワクワクする。




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