第6話 転生しました4
再び目が覚めた。
神様との話で、戦国時代に転生したことが確定した訳だ。
しかし、単に戦国時代といっても『どこで生まれたのか?』、『何年に生まれたのか?』、『親の立場や職業はどうなのか?』によって、俺の生き残り戦略が全く違うぞ!
とにかくもっと詳細な現状把握をしないと、どう足掻けば良いのか、知恵の出しようがない!
三蔵と呼ばれたということは、俺は戦国のスーパースターの信長ではないことは確定。信長が良かったのにな! せめて、戦国時代の有名な大名の子供にして欲しかった! 三蔵なんて名前の子供は、戦国時代の有名な大名の子供にはいないと思う。
名前が三蔵では、公家の血筋とも関係なさそうだ。せめて堺の豪商の子供とかにして欲しい!
「この世界には転生前の記憶を持っている転生者を、優先的に転生させるようにしているのよ」とか、「戦乱の世を早く終わらせたい」とか、「民の幸福度が下がると、私の評価も下がるのよ。それは絶対困る!」とも言っていたと思う。
そう思うなら、俺をどういう家に生まれさせようとか考えなかったのかな?
神様! それぐらい考えなかったの?
どういう家に転生させるかは、非常に、非常に大事なことですよ!
まあ良いか、どういう家なのかはそのうち判る……
いや良くない! 神様、ちゃんとしてくれていますよね!
神様! 信用していない訳ではないですよ! 信じていますから、頼みます。
俺は、前世の記憶があるので言葉はすべて理解できる。
この家で皆が話している会話をすべて理解し、貴重な情報はインプットし続けている。
蓄積された情報を分析することで、状況が少しずつ判ってくる。
まずは、淡い期待はしていたものの、残念ながらこの時代は戦国時代であることを再確認。がっくし、三蔵だぞ。何かの間違い説は終了。
この家は農家ではない。良かったわ〜。不幸中の幸い。戦国時代の農家なんて最悪だぞ。農民兵として無理やり徴兵。死ぬのが確定の戦場で、突撃……とかやらされる。人知れず戦場の露と消えるのだ!
運良く戦場に行かないで済んでも、
下働きの女性たちの会話の中に、六角家とか北畠家とか足利家とかの名前が出てくる。ということは……この場所は近畿地方ということになる。同じく会話の中に伊賀と
伊賀で百道といえば伝説の上忍『百道三太夫』だけど。俺はその人の息子なのか。何故かちょっとだけテンションが上がる。しかし、まったく喜べない! 前世の記憶では忍者の生活は凄く過酷だったはず。過酷、過酷、過酷……一気にテンションダダ下がり。
俺をどういう家に生まれさせれば良いとか、神様がまったく考えてなかった事が確定。やはり、深く考えないタイプの神様のようだ……
今後の付き合い方も考えないといけないな!
それにしても、忍者の家に転生させておいて、
家庭環境だけど、オヤジは伝説の上忍だが、俺や母上に対しては、いつもやさしく接してくれる良いお父さんなのだ。お母さんも俺に優しい。とりあえず家族には恵まれている。
俺が死んだのは前世で38歳。体は赤ん坊だが、この2人よりはずっと歳上になる。何か変な気持ちだけどな!
伊賀は土地が痩せているので、農業だけでは食っていけない。だから忍者を生業とする。忍者として生きていくため、幼少期から過酷な訓練を受ける。死ぬかもしれないような訓練だ!
一人前になると、死ぬかも知れない過酷な任務が与えられる。つまりずっと『死ぬかもしれない』の連続の人生だ。あり得んぞ。過酷過ぎるだろ。
俺がこのまま忍者として成長すると、天正伊賀の乱がやってくる! 乱を起こすのは織田家のアホ信雄だったな。忍の里は皆殺しにあう! どうする?
これじゃ、話にならない!
『死ぬかもしれない』の連続の人生を送り、挙げ句が族滅! 酷すぎる!
神様! 何ですかこれ。『
歴史を変えることは絶対だ! 神様との約束どころか、俺自身も生き残れるかどうかも判らない。歴史改変! 歴史改変! 死にたくない! 痛いの嫌!
しかしどうでも良いけど、この部屋は洒落にならないほど寒い! だから赤ん坊死んじゃうのだよ! 家は隙間風だらけだし、断熱性能ゼロ!
歴史改変の前に生活環境改変が先か?
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