第6話 転生しました4

転生しました4


再び目が覚めた。


神様の話をで、『戦国時代』に転生したことが確定。

しかし『戦国時代』に転生したといっても、『どこで生まれたのか?』、『何年に生まれたのか?』、『親の立場や職業はどうなのか?』によって、俺の生き残り戦略が全く違う。

とにかくもっと詳細な現状把握をしないと、どう足掻けば良いのか知恵の出しようがない。


『三蔵』と呼ばれたということは、『で・・あるか・・の信長』ではないことが確定。信長が良かったのにな。せめて『戦国時代の有名な大名の子供』にして欲しかったのだが、『三蔵』なんて名前の子供はいないと思う。ということで有名大名の子供ではないみたいだ。


名前が『三蔵』では、やんごとなき貴人の血筋とも関係なさそうだ。せめて堺の豪商の子供とかにして欲しい。


「秘密だけどね。この世界には転生前の記憶を持っている転生者を、優先的に転生させるようにしているのよ。」と神様が言っていましたよね。

「戦乱の世を早く終わらせたい」とも言っていましたよね。


それなら、俺をどういう家に生まれさせれば良いとか考えましたよね。

神様。それぐらい考えましたよね!!!


まあ良いかそのうち判るから。

神様。心配している訳ではないのですよ。信じています。頼みます。


俺は、前世の記憶があるので言葉はすべて理解できる。

この家で皆んなが話している会話をすべて理解し、貴重な情報をインプットしている。

蓄積された情報を分析することで、状況が少しずつ判ってきている。


まずは、淡い期待はしていたものの、残念ながらこの時代は戦国時代で間違いなし。がっくりだぞ。何かの間違いでは説が終了。


この家は農家ではない。良かったわ〜。不幸中の幸い。戦国時代の農家なんて最悪だぞ。農民兵として無理やり徴兵。死ぬのが確定の戦場で『突撃〜』とかやらされる。人知れず戦場の露と消える人たちだ。運良く戦場に行かないで済んでも、いくさで農地を荒らされまくる。米を強制徴収される。あるいは分捕られる。結果飢え死に確定。大悲惨。


下働きの女性たちの会話の中に、六角家とか北畠家とか足利家とかの名前が出てくる。ということは、この場所は近畿地方ということになる。同じく会話の中に『伊賀』と『百道ももち』いう言葉が頻繁に出てくる。


伊賀で百道といえば伝説の上忍『百道三太夫』だけど。俺はその人の息子なのか。何故かちょっとだけテンションが上がる。しかし、まったく喜んではいられない。前世の記憶では忍者の生活は凄く過酷だったはず。一気にテンションダダ下がり。


神様が、俺をどういう家に生まれさせれば良いとか、まったく考えてなかった事が確定。やはり、深く考えないタイプの神様のようだ。今後の付き合い方も良く考えないといけなさそうだ。


それにしても、忍者の家に転生させておいて、『いくさをなくし民を幸せにする』なんて難し過ぎるでしょ。出来る気がしない。


家庭環境なのだけど、オヤジは伝説の上忍だが、俺や母上に対しては、いつもやさしく接してくれる良いお父さんだ。お母さんも俺に優しい。良い家族で良かった。

俺が死んだのは前世で38歳。体は赤ん坊だが、この2人よりはずっと歳上になる。何か変な気持ち。


伊賀は土地が痩せているので、農業だけでは食っていけない。だから忍者を生業とする。忍者として生きていくため、幼少期から過酷な訓練を受ける。死ぬかもしれないような訓練だ。


一人前になると、これまた死ぬかも知れない過酷な任務が与えられる。つまりずっと『死ぬかもしれない』の連続だ。あり得んぞ。過酷過ぎるだろ。


俺がこのまま忍者として成長すると、天正伊賀の乱がやってくる。乱を起こすのは織田家のアホ信雄だったな。忍の里は皆殺しにあう。どうする? 


これじゃぜんぜんダメだよね。

『死ぬかもしれない』の連続の挙げ句が族滅? 酷すぎる。


神様。何ですかこれ。『いくさをなくし民を幸せにする』どころか、自分自身が大不幸じゃないの?


歴史を変えることは絶対だな。神様との約束どころか、俺自身も生き残れるかどうかも判らない。歴史改変。歴史改変。死にたくない。痛いの嫌。


しかしどうでも良いけど、この部屋は洒落にならないほど寒い。だから赤ん坊死んじゃうのだよ。家は隙間風だらけだし、断熱性能ゼロ。


歴史改変の前に生活環境改変が先か。




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