第5話 転生しました3
「しかたないわね。あなたにも治癒スキルを与えましょう」
「神様。『治癒スキル』と『過去の歴史知識』があっても、戦乱だらけの時代を生き抜くことなんて無理です」
「そもそも『未来はこうなるぞ。俺を信じてくれ』とか言っても、弱肉強食の戦国時代に、力のない人の話なんか誰も聞きませんよ。この狐憑きめ、とか言われて斬り殺されて終わりですよ」
「ではどうすれば良いのじゃ? 私はこの戦乱の世を早く終わらせたい。そうしなければ民の幸福度が下がる。民の幸福度が下がると、私の評価も下がるのよ。それは絶対困る。私にも色々都合があるのよ」
神様でも困る事あるのかな?
やっぱりこの神様、何か変だよな!
「それなら、火とか水とか風とか雷とかの魔法を使えるようにしていただけないでしょうか?」
「残念ながら魔法の存在しないこの世界で、貴方に魔法を使わせることはできないわ!」
「『治癒スキル』は魔法ではないのですか?」
「この世界には、病気回復を祈願する祈祷師がいるから問題ないわ」
そういう風に考えるのか。
そういうことなら何か良いスキルとかないかな?
そうだ。
「クラフトスキルみたいな、『何かを創造できるスキル』というのはどうなのでしょう!」
神様がしばらく考えている。
「何かを創造できるスキルね! この世に、何でも作り出せる奇跡の職人さんがいても、そんなに不思議ではないわね。『クラフトスキル』ではなく、和風の名前で『至高の匠スキル』として、あなたに与えることができるわ」
「だけど、あなたには2つもスキルを与えるのだから『
「神様、
約束しちゃったけど、神様と約束する以外の選択肢はないよな。
スキルも何もなしで、戦国時代に放り出されたら終わりだからな。
「神様、気になることがあるので確認させてください。歴史を変えた場合、前世の世界に影響を及ぼしませんか?」
「それぞれの世界は、独立したパラレルワールドだから影響はありません。安心して下さい。では約束を守って下さいね!」
あっと言う間に神様がいなくなったな。逃げ足が速い。
俺と長く話すと困る事でもあるのかな?
火とか雷とか派手な魔法をドーンと駆使する英雄になって、
こんな地味なスキルが2個で何か出来るのかな?
しかし地味なスキルが2個しかないというのが現状なら。
スキルをどう有効的に使うかに知恵を絞るしかない! やり方はあると思う。
過去の歴史知識はどの程度役に立つのだろうか?
「貴方が記憶している何らかの歴史の転換点に、自らの命を賭けられますか?」と聞かれれば、そんな確率の低い賭けはゴメンだと答えると思う。
そもそも歴史というのは、いろいろな偶然の積重ねだ。吹かなかった風が偶然吹いても、歴史は変わる。そんな不安定なものだと思っている。
そもそも、歴史の転換点を利用して、歴史を1回でも変えてしまえば、その後は違う歴史になるはず。そうなれば、過去の歴史知識は、あまり役に立ちそうにない。
色んな事を自問自答するほど、気持ちが沈んでいくな。
戦国時代に転生とかないでしょ。
「楓様。若様が難しい表情をされています。大丈夫でしょうか?」
母親に心配かけたらいけないな。
とにかく眠いから寝ることにしよう。それにしても楓母さんは、やさしくて可愛い声だな!その声だけで何か安心する。
赤ん坊だからかな!
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