第2話 天使に会いました

天使に会いました


何だか体がやたら軽い。重力を感じない。10mはジャンプできる気がする。というか幽霊になってしまったのか!!


周囲を見回してみる。やたらと眩しい場所だな。白一色の部屋なのか? でも壁も天井も無限に遠くにある気がする。


しかし死んで幽霊になっている訳だし、今の俺には怖いものはない。


落ち着いてくると徐々に視界が明瞭になってくる。

俺の前に、ロングヘアーの美女が立っていた。

長い金髪に目がブルーだよ。

きっと天使だよね。

天使に会えたのなら。死んだ甲斐もあるというものだ。


突然、音ではなく頭の中に直接声がする。

これがテレパシーって言うものなのだろうな。

研究者としては新しい通信方法として研究してみたい気がする。

大発見だしね。


「目覚めましたか」

「天使様でしょうか。ここは天国ですか?」


「天国ではありません。この場所は人助けで死んだ人が来る場所になっています。」

それなら俺は該当者だ。

何か良いことあるのかな。いやあるでしょ普通。

良い事ってなんだろう。ワクワクするぞ。


天使様のレクチャーが始まる。天使の口は動いていない。でも頭の中に直接声がする。


「人は死ぬと、今までの記憶を全部消去されて、赤ん坊として転生します。通常、転生先は人間界となりますが、希望者すれば魔法使いとか魔獣が存在する異世界に転生することもできます。」

フムフム。転生先は人助けで死んでいなくても選べるという訳ね。

何か損した気分だ。


「人間界も異世界も、パラレルワールドとして相互に干渉することなく無数に存在しているのです。個々のパラレルワールドには管理者として複数の神が存在します。」

俺達が住んでいる世界はそんな風になっているのか。

多次元というやつか?


「この場所にやって来る『人助けで死んだ人たち』は、希望すれば前世の記憶を持ったまま転生することができるのです。」

え〜。これでレクチャーは終わり? 

そうなると特典というのは、前世の記憶を持ったまま転生するだけなのか!! まさかね。きっと後で特典についての説明があるよな。


「前世の記憶を持ったままで人間界へ転生させて下さい」と希望を伝える。

異世界で魔物退治よりは、人間界で平和に暮らしたい。

そんなことより特典の説明はどうなったのかな?


天使様に、「あなたの要望を聞きしました。転生後の人生をお楽しみください。」と言われた。


「ちょ。ちょっと待った!! 天使様!! 特典はどうなったの? 特典の件ですが〜。」


意識が途切れる。

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