【三題噺 #56】「背中」「公認」「スキル」(494文字)

公認とはなんぞや

 上級第三教会公認悪魔祓い師という肩書きの初老の男が俺たちの目の前にいる。

 こんな男と関わるようになった原因は友人にある。

 友人はこの三ヶ月、大変な目にあっていた。階段から落ちて一週間、自転車に当てられて一週間入院した。命に関わるような怪我ではなかったが一歩間違えれば大事になっていた。

 他にも財布を落としたりスマホを落としたり置き引きにあったりなど、今までなかったような災難にあっている。

 友人は悪霊に取り憑かれたなどと騒ぎお祓いをした。寺や神社など何箇所も行ったが効果はない。それで今度は悪魔祓い師に頼んだというわけだ。

 それになぜ俺が付き合ってるかというと、俺は勘が鋭いので彼に一言二言アドバイスをしたことがある。そのアドバイスを聞いた友人がその通り行動したところ、自動車にぶつかるのは避けて自転車にぶつかったと彼は言っている。それで俺を頼りにしているようだ。

 目の前の男は仕事ができるようで、彼の紹介文には悪魔祓いのスキルは最高ランクとあった。

 でも俺は疑っている。

 だってこの男の背中には、友人に憑いているのよりも何倍もヤバそうなものが憑いているのだから。

 こんな男を公認した教会って大丈夫なのか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る