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 笹葉の窪みに溜まった朝露に陽の光が当たり輝いていた。

そこへ警察犬の鼻先が近付き、匂いを嗅ぎ取る。

レグルスの毛が微風で靡き、湿った空気に土埃が舞う。

すると、待っていたかのように電話のベルが鳴る。レグルスは尾を振りながら、耳を立てていた。

肇は受話部を当てると、すぐに要件を尋ねた。

「陸か。どうした?」

「肇くん。娘が戻ってきた」

 肇は眉間にしわを寄せる。

「何があった?」と肇が問いかけると、陸は事細かに状況を説明した。

「娘が誘拐犯の潜伏先まで案内すると言ってる」

「危険だ。情報のみ提供してくれ」肇はきっぱりと言い切る。

しかし、陸も引かずに反論する。

「それでは遅い!手遅れになるかもしれない。カルト集団に幽閉されているんだ!」

 肇はため息をつくと、少し間を置いてから言った。

「分かった。だが、危険と判断した場合はすぐに止める。それでいいな?」

 肇が念を押すように言うと、陸は答える。

「ああ、それでいい。よろしく頼むよ」

「合流先は?」

「昨夜話した場所まで来てくれ」

「了解。それでは」

肇が電話を切られると、肇は徐に無線機を取り出す。別部隊へ連絡を入れた。

『こちら倉本隊、倉本。南方面捜索隊、応答願う』

「こちら南方面捜索隊、後藤です。」

「そちらの状況は?」肇が尋ねると、後藤は答える。

「南方面の探索を終了して今出立したところです」

 肇はそれを聞くと一つ頷いてから話を続けた。

レグルスは笹藪を踏み倒して進みはじめ、倉本は部下を率いてその後を追った。

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