第4話 幼馴染と懐かしのお布団

※ヒロインの一人語りですが、囁かれているのは主人公ではなく、お布団です。


☆   ☆   ☆


//SE 扉を開けて、閉じる音


(あたりを見回しながら)

「ふーん、なんかあんまり変わってないね。

 男の子らしいものとか一つもないし、かといって女の子っぽくもない……」


(ニマニマしながら)

「もしかして、両生類?」


(女の子にチョップ)


(頭を押さえながら)

「いてっ、もー女の子を叩いちゃいけないんだぞ!

 今のご時世、何がきっかけで社会的に終わるか分かんないんだから!」


(……二人見つめ合って)


「――ふふっ、確かにこういうやりとり久しぶりかも」


「高校は別々だったけど、まさか大学で一緒になるとはねぇ〜」(少し棒読み)


(女の子がいきなりベッドにダイブする)

//SE ベッドのバネが反発する音


(すぅーと布団に顔をうずめながら鼻から大きく息を吸う)


(肩の力を抜いて)

「……はぁー、なんていうか落ち着く。ここって実は私の実家だったりする?

 あっそうだ、私もここで暮らしていい?」


「――ダメだし、あんまりベッドに近づくな?」


(男友達のノリみたいに)

「おっと? まさかこのベッドで、いやらしいことしてるんだな~?」


(ベッドから降りて、下の隙間に手を伸ばして)

「さらに、この下には男のロマンであり、お宝が……」


(男が止めようとして、足を滑らせる)


(精一杯虚勢を張って)

「――ちょっと、何してんのよ」


(男が押し倒した体勢)


(目線を外して)

「――悪かった?

 ……まぁ、私もさすがにからかいすぎた。ごめん」


(少しあざとく)

「……今日は泊ってもいい?」


(先走ったかなと、焦る)

「――それもダメ? 部屋ないし、そもそも親が許してくれない?

 あー、おじさんとおばさんにはちゃんと言ったよ?」


(当たり前のように振る舞って)

「――じゃあ、どこに寝るのかって?

 そりゃあ、……ここに決まってんじゃん」


(呆れたように)

「――男と女が一緒の部屋で寝るのは良くない?

 もーかたっ苦しいなー」


(押し倒されていた立場が逆転)

//SE 布擦れ音


(瞬きもせず、じっと見つめて)

「ほんっと、何にも分かってないよね?

 幼馴染なのに、ずっと一緒にいたのに」


「――今から友達も幼馴染もやめるから」


(キス音)


(流石に早すぎたかと、脳内ではテンパっている)

「……ど、どうなのよ?

 私、一応ファーストキスなんだけど」


(思わぬ返答に少し、安心して)

「――美味しかった?

 ……ん、ふふっ。何その感想、変態じゃん」


(相手の反応に内心ではすごく喜んでいる)

「――だって初めてだったから?

 そ、そうだったんだ……それなら、うん、よかった」


(いじわるそうに、覗き込むように)

「――もう一回してほしい?

 んー? 何をですか~?」


//SE 彼氏が彼女をゆっくりとベッドに寝転ばせる


(二人見つめ合って)


(キス音)


(心臓の鼓動が早まりつつも)

「……な、なにそれ。

 めっちゃキュンキュンしちゃうじゃん」


(キス音)


(夢のような時間が現実になっていることに、ニヤニヤが止まらない)

「――もういろいろ我慢できない?

 ふふっ、私の幼馴染ってほんとーにわがままなんだから」


//SE ドアがノックされる音


(ドア越しに彼の母親の声)


(先ほどまでイチャイチャしていたことを全く匂わせない真面目な言い方で)

「――分かりました。すぐに行きます」


//SE ベッドから出るときの布擦れ音


(とても機嫌のよい感じで)

「それじゃあ、お楽しみはご飯食べてお風呂に入った後かな」


「――本当に泊るのかって?

 もっちろん、私嘘なんてつかないよーだ」


「だからね――」


(彼の耳元で)

「昔話でもしながら、バレないように布団の中でイチャイチャしよっか」(囁き声)

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