【創作フェス】弟切草

花の由来

　その花には怪我の治療に有用な成分が含まれ、人間にも動物にも効く万能薬を作り出す事ができました。

　その万能薬の作成方法を知っていたのは、とある鷹匠の兄弟だけでした。

　兄は、とても綺麗な顔立ちで、弟のことをとても可愛がっていました。

　弟は、物静かで、いつも兄の後ろを歩いていました。

　兄弟は、その薬を鷹の治療にだけ使っていました。

　理由は、人に使うとその素晴らしい効能が露見し、その花が乱獲され、鷹匠が続けられなくなることを恐れたからだそうです。

　しかし、ある日この鷹匠の弟が、とある女性を助ける為に、その花のことを話してしまいます。

　しかも女性は、その万能薬でひと儲けするために弟を騙していました。

　その花の噂は瞬く間に広がり、鷹匠の兄弟だけが知っていた群生地も見つかってしまいます。

　兄は激怒し、弟をその花の群生地に連れ出し、そこで切り殺してしまいました。

　死んだ弟の袖には、一通の手紙が入っていました。

　　もう偽るのは止そう

　　お金があれば自由になれる

　　どこか遠くへ

　　誰も僕達のことを知らない場所へ

　　そして幸せになろう

　手紙を読んだ兄は泣きました。

　弟が違う女性を好きになったと勘違いしていたのです。

　二人が生きた時代では、姉弟同士の結婚は許されていませんでした。

　姉弟だけで暮らすことも酷く非難されたそうです。

　弟の返り血を浴びたその花の葉には、どんなに拭っても消えない黒い斑点が付き、気味悪がった人々は乱獲を止めたそうです。

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　弟切草の逸話をアレンジしてみました。

　兄を姉に変えたのは拙作【花ノ魔王】に登場する弟切草の擬人化した姿が女性だからです。

　ええ、はい、宣伝です。

　弟切草が登場するのはまだまだ先ですが、今のうちにフォローしておくことをオススメしますよ🐣