散歩
散歩をするのは
ぼおっとするのによく似ている
うつろう景色が
こころを擦るから
こまやかな血管が切れて
わたしは水底にしずんでゆく
街に生まれた音楽は
聞こえるよりずうっと昔
白亜のときからこぼれてやってきた
内耳をとおって滲みると
耳のなかでむくむくと
植物の育つ気配がする
四季折々はハーブのようで
六月のわたしと半年後のわたしを
清涼にへだててくれる
気づけば髪が一〇センチも伸びている毎日に
食べ飽きてしまわぬよう
からっぽさんの体育ずわりする場所が
こころのどこかに必要で
今日も街に出る
水色のハンカチはやさしいので
流れる汗を拭きとってくれる
麦わらぼうはひかりを
いっぱいにひきつめる
たくさんの糸が絡まったりして
風にそよいでいるのを
瞳のひふで触れてみる
アントロギア。 古森もの @morinomono
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。アントロギア。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます