サボテン


花のような棘が

凹凸のある深緑の肌を縫い尽くしてしまう

君の孤独から太陽のにおいがするのを

僕は知っている


頭のてっぺんにのせた柔らかい棘に

光の粒が散って

窓辺に天使が降りた日

水よりも流れる沈黙が

朝陽に映えていたのを

僕は覚えている


花のひらく声を聴くには

無口でいるのがいちばんよくて

棘のうちに隠した世界から

ただそこにある

という音楽が流れて止まない


日曜日の体温が心地よく

僕らを包みこんでいること

神さまの寝息を浴びて

昼寝につくこと

ひとりひとりの孤独が

世界をやさしく聴いている予感に

君は息を潜めて

休符を記している

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