秘密の遊び

孤兎葉野 あや

秘密の遊び

いつもより心地よい気分で目を覚ます。

少し寝すぎてしまっただろうか。


いや、今日は休みだし、午前中には何の予定も入れていない。

ゆっくりと朝の時間を過ごすくらい、問題は無いのだ。


「おはようございます、アカリ。」

ただ一点、同じ布団で寝起きしている相棒を、放置してしまうことを除いて・・・



「おはよう、ソフィア。朝ごはん、待たせちゃったかな?」

「だ、大丈夫です・・・」

笑顔で答えてくれるけれど、少し視線が泳いでいる。

よく見れば、頬もなんだか赤い。


思い返してみれば、今朝の目覚めが良かったのは、

口元に温かく甘いものを感じたおかげではないだろうか。



「・・・何かした?」

「ひ、秘密です・・・」

にっこりと笑って問いかければ、ぷいと目を逸らされる。

うん、これは重大な疑いありだ。


「あれあれ? 何かあったのなら、ちゃんと教えてほしいなあ。」

「な、なんのことでしょうか・・・」

その顔を追いかけて、じっと見つめれば、またすっと逃げてゆく。

それでもまだ、追及の手を緩めることはない。


「むう・・・今日のアカリは少し強引です。」

やがて観念した様子で、瞳を閉じて唇を向けてくる。

お返しをして良いと言うように。


「私もちゃんと起きてる時にしたいんだけどなあ・・・」

「ん・・・・・・」

優しくそれに合わせれば、結局は求めていたような声が漏れた。



「・・・もしかして、最初からこうしてほしかった?」

その反応と、満ち足りたような表情が浮かぶのを見て、

新たに湧き上がった疑問を口にする。


「ひ、秘密です・・・」

顔をもっと赤くして、ぷいと目を逸らされた。

私達の秘密を巡る遊びは、もう少し続きそうだ。

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秘密の遊び 孤兎葉野 あや @mizumori_aya

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