第14話 会議
〜九尾会議室(※エマの精神世界)〜
――学校の教室ほどの白い部屋。中央に丸いテーブルと七つの椅子が置かれている。
席は二つが空席となり、他五つの席にエマの分身体が座している。
中央にはエマと傑の映ったブラウン管の箱型テレビがタワーになっていて周囲のどの角度からも観えるようになっていた。
勿論、ここは精神世界であり、これには質量もないためテーブルが重みで壊れることはない。
一尾、ショートヘアのイチコは腕を頭の後ろに組み、「ほへー」と間の抜けた声をあげた。
イチコ「呪力を制限してたのかぁ.....見つけにくいわけだなぁ」
次に二尾、ツインテールのニコが両手の指を組み祈るようなポーズで目をつぶりこう言った。
ニコ「しかし、であればこれは運命的な再会ですね。ここまで呪力体外呪力の薄い傑さんを見つけられたなんて奇跡としか......何と言うDestiny!ああ神(傑)よ!」
三尾、ミコ。目隠れショートボブの恥ずかしがり屋で臆病な分身体。彼女は小さくか細い声で言った。
ミコ「た、確かに......妖よりも遥かにいっぱいいる人間の中から傑さん一人を見つけ出せたなんて.......びっくりですね」
四尾、元気いっぱいサイドテールのコヨは、両拳を天へ突き上げにっこにこの満面の笑みでこう言った。
コヨ「でもさでもさ!!これが運命ならもう迷う事はないよね!?キスでもなんでもしちゃえば良いよ!!勿論、それ以上の事もね!」
五尾、ぱっつんな前髪のロングヘア。イツコは怪しげな笑みを浮かべ口を開いた。
イツコ「そうね。もしそれで失敗しても傑さんを妖術で虜にしてしまえば良いものね......うふふ」
それを聞いたイチコはイツコへツッコミを入れるように言葉で食らいついた。
イチコ「おい、イツコ!お前なにヤベえ事いってんだよ!?」
イツコ「?、何を興奮してるのかしらイチコは。だってそうでしょう?傑さんが私達の他の誰かの元に行くことを許せるの?そうなるくらいなら無理矢理にでも......」
ニコ「えー、そんなの嫌だなぁ私。だって嫌われたら生きてけないもん」
イツコ「ならば一緒に死にましょう。大丈夫、あちらの世界で一緒になる術なら心得ているわ」
ミコ「......わぁ、流石イツコちゃん。エマの中の妖怪の部分担当.....よっ、邪悪担当ぉ.....!」
イツコ「ふふん、褒めても何もでないわよ。でもありがとう」
ミコ「......お礼がでたねぇ.....」
コヨ「いやいや、そんなんどうでも良いよ!」
イチコ、ニコ「「よくねえよ」」
コヨ「いやだってイツコがそうしようとしたら皆で止めればいいだけじゃん!」
イツコ「くくく、あなた達のような軟弱妖怪にできるかしらね?」
ミコ「......わぁ、邪悪!でも、あなた達っていうけどそれイツコちゃんも含まれちゃうからねぇ......?」
イツコ「くくく......あ、そっか」
コヨ「いやいや!もうイツコはほっとこうよ!(イツ:え、ひどくない?)今は傑さんから呪力を貰えるかどうかが一番重要でしょー!!」
イチコ「まあ、たしかにな......つか、コヨは接吻したいだけ疑惑があるけど」
コヨ「あっはっは!!そりゃあしたいだろー、キスはさぁ!!逆に君等はしたくないの?」
「「「「したい!!」」」」
コヨ「あはっ、素直でなまらウケる!」
ニコ「でもさーあ、エマは頑張れるかしら。あの子の性格的になかなか難易度高いとおもうんだよねえ」
ミコ「......た、たしかに......エマちゃんはだいぶチキンだもんねぇ」
イチコ「だなぁ。ミコの性格が色濃く出てるからな。特にえっちな事だと九割方ミコに寄るし」
ニコ「なんなら、私が出て行っちゃおうかしら。ピンチヒッター的な?」
コヨ「えっ!?それなら私のがよくない!?多分ニコも傑を前にしたら猫の前に座すハムスターになっちゃうと思うんだけど!!」
ミコ「......なんでそこ、鼠じゃなくてハムスターなのぉ......」
イチコ「そこ重要?」
ニコ「いやいやぁ、いうて皆同じ一人なんだから緊張するのだって同じでしょうよ」
イチコ「なら誰でもダメじゃねーか」
ニコ「それもそうね」
ミコ「......じゃあなんで言い出したの......」
イツコ「全く、これだから......エマがバラエティ番組でポン(※ポンコツキャラ)を求められてオファーがくるのもなっとくね」
イチコ「それブーメランブーメラン」
ミコ「......まあ、私たちはここから見守るしかないですね.....」
イツコ「こうなったら手っ取り早く殺しましょうか」
イチコ「いや、殺るな殺るな」
ニコ「傑さんも見てる限り奥手だしねえ。どっちもどっち......どうなっちゃうんだろーね」
イチコ「そういやロコは元気かなぁ」
六尾、ロコ。アイドル活動を代わりにしてもらっている為、髪型はエマと同じ。性格はややクール。
ミコ「......あの子も一度は傑さんと会いたいと思いますよ、やっぱり.....」
イチコ「まあ、そりゃあな」
イツコ「では遺体でロコの元へもっていきましょう」
ニコ「あなたが遺体にされるわよ」
イツコ「ひぃい」
コヨ「なーにいってるんだよぉ!エマだってそこらへんはちゃんと考えてるでしょう!大丈夫だよ!って、」
その時――
「「「「「あああーーーっ!!?」」」」」
――画面の向こうの二人に異変が起こる。
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