第12話 番外編本当に最終回 1993年エジンバラ日帰り鉄道旅行後編
エジンバラ城はそびえ立つ石造り(おそらく)で、近くで見てもやはり厳つく、難攻不落だったのだろうなあと思う。岩山の上に建っているので、エジンバラ市街が見渡せる。とても展望がよいが、雨こそ降っていないがどんよりとした曇天で、どこを見ても灰色と茶色の景色が広がっている。木々も葉を落している。
前回も今回もちょうどイギリスは暖冬で、さほど厳しい寒さには見舞われなかったが、景色の陰鬱さはこれぞスコットランドと言ったら、向こうの方に失礼か。陽光溢れるときにまた来てみたい。
エジンバラ城を降り、オールドタウンを歩く。今地図を見てみると、駅の北側がニュータウン、お城のある駅の南側がオールドタウンであるらしい。オールドタウン、古い、本当に古い。それしか感想が出ないほど古い。でも、皆現役の建物で、これからも使い続けられるのだろう。古くても「今」であり、「未来」なのだ。
列車の時間が迫ってきたので、大慌てで買物をする。スコットランドに来た証として、タータンチェックのネクタイを買う。緑と紺のチェックのネクタイは今(2024年1月)も永久保存品として大切に保存してある。
帰りの列車はEdinburgh Waverley駅17時発の、Glasgow Central駅発King's Cross駅行きのInterCity 225。つまり、行きの列車の反対版(時間的に行きに乗った車両の折り返しではないと思うが)。
ここで、1月29日付けのカクヨムの私の近況ノートに載っている紙っぺらの写真の説明を。今はわからないが、当時(と言っても私の見た限りだが)のイギリスの客車には、行き先表示幕も、サボ(行き先が表示された鉄の板:サインボードやサイドボードの略)も、もちろん電光表示板もなかった。
では、乗客にどうやって行き先を知らせ、誤乗を防ぐか。それがその写真の紙で、画用紙くらいの厚さの紙に途中の停車駅と行き先を印刷し、列車の扉の窓に内側から両面テープで貼り付けてあるのだ。(紙の両側にテープの跡がある。)簡便だが、始発駅で係の人が貼り付けて回るのは大変だろうなあと思う。
ではなぜその紙が私の手元にあるのか。もちろん剥がして盗ってきたものではない。終着のKing's Cross駅に着いたときに剥がれて下に落ちていたものを、許可を得ていただいてきたものである。とても貴重な思い出の一品となった。今(2024年1月)もそんな方式を採っているとは思えないが。
列車は定刻より25分遅れてEdinburgh Waverley駅を出発し、22時頃にKing's Cross駅に到着した。往復約8時間半。滞在約5時間のエジンバラ日帰りの旅は無事に終った。無茶と言えば無茶だが、3年前にリバプール日帰りを行った経験から、イギリスの鉄道はまあ大丈夫だろうと思い、決行した次第である。帰りに列車が少々遅れた以外は困ったこともなく、楽しい旅だった。
ただ、今これをもう一度やれるかと言ったら尻込みするかもしれない。イギリスの列車の急な運行休止や途中打ち切りの話は、SNS上でよく見る。もしかしたら昔からそうだったのが、私が知らなかっただけかもしれない。
もちろん、乗ってしまえば列車は清潔で乗り心地も上々なので、余裕のある旅程を組んだうえで、またイギリスの鉄道旅行をしてみたい。なにせイギリスは鉄道発祥の地であり、日本が鉄道を敷く際に教えを乞うた大先輩であるのだから。
以上で、12話に渡った「1990年8日間ロンドン日記 ~QUEEN聖地巡礼+αの旅~」は本当に本当におしまいです。お付き合いいただいて感謝、感謝です。
カクヨムに書いてお読みいただくことがすっかり楽しくなってしまったので、またいつか別のお話で、QUEENについてか、QUEEN+ADAM LAMBERTについてか、はたまた鉄道についてか、沖縄とかについてかわかりませんが、何か書くかもしれません。
その際はまたどうぞよろしくお願いいたします。
1990年8日間ロンドン日記 ~QUEEN聖地巡礼+αの旅~ 安明(あんめい) @AquamarineRuby
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