第3話 1月11日 (3日目) Docklands Light Railway に乗る

1月11日 (3日目)


 午前中、もう一度ロンドン塔とタワーブリッジをゆっくりと見物。 そのあと、 ロンドン塔の近くのTower Gatewayという駅から、Docklands Light Railway という新しい鉄道に乗ってみる。E君の発案。彼は鉄道マニアだったのかしら。 まあ、私も嫌いではない。(カクヨム用注:大好きである)


 無人運転の、かわいい2両編成の電車でテムズ川に添って走り、約16分で終点のIsland Gardens駅に着く。運転手がいないのに、車掌のお姉さんは乗っている。日本なら徹底的に無人化してしまうところだ。


 この線の沿線はまさにロンドンのウォーターフロントといった感じで、建築中のビルが多かった。これらのビルが全部完成したら、この電車 (2両で84 座席+ 130立席)で、乗客を運びきれるのだろうかと、まったくの人事ながら心配する。

 そう言えば、1両にひとつづつ、車イスのためのスペースが設けられていた。イギリスでは当たり前のことなのだろうけどね。


 Island Gardens駅から北に延びているもう一本の路線に乗り、これでこの鉄道は「完乗」。終点のStratford駅でBR(イギリス国鉄)に乗りかえ、さらに地下鉄に乗りつぎ、大英博物館の最寄り駅、Tottenham Court Roadへ。


 この近辺はいわゆる電器街だが、やたらに日本のメーカー名ばかりが目につ く。東南アジアやアメリカならありそうな光景だが、イギリスまでも!とうんざりし、これじゃ反日感情が起きないかと不安になる。そういえば、富士通の新しいロゴマークをつけたタクシーやバスが多く走っていたのにも唖然とした。


 しかし、こうなったのはイギリス人も悪い。 電器製品では、「日本信仰」みたいなものを持ってしまったようなのだ。 英国系のメーカーでも、売れ行きを上げるために、日本風のブランド名を付けることがあるという。横文字ブランドを付ける日本と逆なのが皮肉なところ。SHOMATSUというブランドのテレビやビデオデッキを見かけたが、これはその例。なんやかや言っても、日本製品は 売れているのだろう。


 時間がなく、昼食はマクドナルドで済ます。 伝統の「フィッシュ&チップス」 の店は、探すのが難しいほど減った。 英国系のハンバーガーチェーンも増えたとのこと(ただし英国系の店はおいしくないらしい)。


 どこもかしこもアメリカナイズされていくのか。 アメリカ文化に日本製品で世界は統一されるのか、 などどちょっとマジに考えさせられる。(カクヨム用注:そんな風に考えていた頃が私にもありました)味は日本のより少し味気ない感じ。ミルクはちょっと甘い。

 ちなみに値段はハンバーガー65ペンス (約156円。1ペ ンス=約2.4円だった)、チーズバーガー78ペンス (約187円)、ミルク(200mlパック)37ペンス (約89円)。日本よりちょっと安かった。


 大英博物館は、こんなにロンドンに持ってきてしまったのか、とただただあきれるばかり。 由緒あるものだらけで、かえってありがた味がない。とにかく、とんでもないところだ。


 さて、夕食をと思ったが、10ポンド(= 2400円)以下で食べられる適当なレストランがない。「PIZZA HUT」なら何軒もある。ピザも最近はやりのようで、駅のスタンド売店も多かった。 イタリアンレストランも多く、その中の安そうな一軒に入る。オレンジジュース (ちゃんとした果汁)、ビール(最近イギリスでも多くなったラガー。でもやはり日本のとは少しちがう)、スパゲッティ・ポロネーズ(ミートソースのこと)、フルーツサラダ (甘いミルククリームのかかったもの) 紅茶ととって 7.3ポンド(約1750円)。


 夕食後、「Me And My Girl」というミュージカルを見る。ふだんこのようなものを見ない我々が見に行ったのは、帰って女の子と話すときの話題にしようという魂胆から。 筋はよくわからなかったが、 歌と踊りはさすがで、ちょとした仕掛けもいくつかあって、結構楽しめた。


※第4話(4日目)は1月20日朝8時に公開します。リバプールに行きます。

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