第3話 - ブラックホール
居間のソファにルナの両親とルナの兄オリバー、そして神が囲んで座った。
お父さんが先に口を開いた。
「だから本当の神様なんですよね?そして私の娘ルナが気に入って結婚したいということですよね?」
神は白い歯をむき出しにして、それなりに優雅に微笑んで言った。
「そうですね。ルナと結婚することを許してくれませんか?」
お父さんは思った。
‘ 空中に浮かんでいたら神様が正しいと思うんだけど。ルナと神様が結婚したらすごくいいことが起こるような気もするし…。’
お母さんのことも考えた。
‘雲に乗って天使たちに囲まれ、美しい音楽の音と共に現れてこそ本当の神様みたいだけど? そして好きな女の子の家に挨拶しに来たのにプレゼントが一つないなんてあり得る?’
オリバーも考えた。
‘ 生意気に足を組んで座ってルナをくれと言うなんて? 本当に神様なのかな?’
お父さんとお母さんとオリバーが同時に言った。
「本物の神であるという証拠を見せてください。」
神はびっくりした。
彼らが自分を信じないとは思わなかったからだ。
「よし、見せてやる。」
「リビングにあるものたちよ! みんな踊れ!」
本棚の中の本が一冊、一冊抜けて空中を浮かんで踊り、花瓶に差し込まれていた花が赤、黄色、青の水色を輝かせながらゆらと踊った。
スタンドもきらびやかな光を放ちながら下に下り、上に上がったり踊ったりした。
ルナはつんつんした顔でつぶやいた。
「ちい。そういうのは魔法使いたちもみんなやるんだから。きっとトリックだよ。」
この一言はものすごい雷になって神の後頭部をトントンと叩いた。
神は、衝撃を受けた。
「魔法使いたちもみんなやるって? ああ。」
神は両手で床に触れ、顔を震わせながら苦しんだ。
‘ ルナに認められないなんて。こんな恥ずかしいことなんてありえない。’
「 ハハハ!ではこれはどうですか。」
神が両手に力を入れると、手のひらの間に黒く丸い円ができた。
それがますます大きくなり、居間の中の空間とすべての家具、ほこり、壁、さらには紙切れまで吸い込んだ。
「これがブラックホールです。もう私を信じるでしょう?」
神を除くルナの家族が浮き始めたとき、お父さんは叫んだ。
「もう信じます! 信じます!やめてください!」
ブラックホールが消えた部屋は散らかっていた。
ルナは神に惚れてにこにこ笑って神の腕を組んでいて、お父さんとお母さんはどうしてこんな幸運が来たのだろうという表情をしていた。
オリバーはまだ呆然として頭を抱えて床に座り込んでいた。
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