閑話 設定収集・三
【引用している和歌の現代語訳】
〇序 黒蝶の夜へと手を招く
早瀬川
…急流の川の水脈をさかのぼる鵜飼船――殺生戒による来世の報いばかりでなく、それに先立ってまず現世でもどれほど難渋することだろう。
〇四 逢魔が時に魔が差す
うたたねは
…転た寝は荻を吹く風によって醒めたけれども、煩悩の迷いの永い夢が醒める時はないのだ。
〇十一 逢瀬は遥か藍の色なれど
瀬を早み 岩にせかるる
…瀬の流れが速いので、岩に塞がれている急流がその岩に当たって割れるように、たとえあなたと別れても、水の流れが下流で再び行き合うように、将来はきっと逢おうと思っているのだ。
〇十二 月の友を訪ねよ
…狩衣の袖を涙に濡らして旅宿する夜は、月も私と一緒に旅寝している心地がするのだ。
〇十四 刹那、淋しき黒蝶を見たり
花は根に 鳥は古巣に かへるなり 春のとまりを 知る人ぞなき(千載122)
…春が暮れゆけば、桜の花は根に帰り、鶯は古巣に帰るという。桜も鶯も帰るべき場所はあるが、では春はどこに帰るのだろう、その帰り着く果てを知る人はいないのだ。
〇二十二 白き鳥、月夜を飛びける事
見る人に 物のあはれを しらすれば 月やこの世の 鏡なるらむ(風雅608)
…眺める人に物の哀れとはどういうものかを知らせるので、月はこの世の鏡なのだろうか。
〇二十三 ひとり黒蝶を捕りて明星を見ゆ
闇のうちに
…闇夜のうちに
〇二十八 手招き草の衣映ゆる秋の終りに
もみぢ葉の ちりゆく
…紅葉した葉の散ってゆく方向を尋ねて行くと、秋ももう終りだと告げるような嵐の声ばかりがする。
〇三十
ひまもなく 散るもみぢ葉に うづもれて 庭のけしきも 冬ごもりけり(千載390)
…隙間もなく散り敷いた紅葉に埋もれて、庭のありさまも冬ごもってしまったのだな。
参照元…https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/sutoku.html
【各話の題のふりがな(三十まで)】
二十一
二十二 白き鳥、
二十三 ひとり
二十四
二十五
二十六
二十七
二十八 手招き
二十九
三十
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