人生をリスタートした俺だが､何故か美少女達に好印象です｡

#43 学生とは、異性のことを気にするものである。

　それから教室に着くと、クラスの男子たちが何か話していたので、会話に入ってみた。

「やばいよな、神ファイブ」

　神ファイブ？　神が五人いるのか？　俺にはこの言葉の意味が分からなかった。

「なんだそれ。アイドルか何かか？」

「ちげえよ。クラスの可愛い女子の五人の名称だよ」

「男子だけのグループレイン見なかったの？」

　確かに何か話していたのは覚えていたが、内容については一切見ていなかった。

「ごめん。分からないわ」

　そういうと、石井が俺の肩に手を置いた。

「じゃあ俺が説明してやるよ。まず、柴田ちゃんな、勿論俺の推しだから抜け駆けは許さないぞ神里！」

「癒し系だな」

　言われなくても興味はないのだが……。ああいうあざとい系女子は正直苦手である。

「そして大田、昨日レインで話した時は一番人気があった気がするぞ。確かに可愛い。柴田さんには敵わないけど」

「清楚系って感じだよな」

　説明に主観を入れてこないで欲しい。『大田さんと柴田さんどちらの方が可愛いか』それは人それぞれである。

「そして野村、ツインテールで少し子供っぽいいと思うけど、顔は可愛いってみんな言ってたな」

「ツンデレだな」

　本当にみんな言いたい放題だな……。俺ら男子も女子たちによって格付けされているのかもしれない。

「次に駒田。性格きついから俺は厳しいけど、みんなはクールで美しいって言ってたな」

「クール系か」

　これが攻略ゲームだったら、駒田さんが一番攻略難易度高そうだ。

「最後に伊藤。ちょっと地味だけど、顔は可愛いって言われていたぞ」

「おとなし系？　オレでも分からん」

　以前は『神ファイブ』なんて言葉は聞いたこともなかった。恐らく、伊藤さんが変わったことにより出てきたのだろう。

「なるほど……」

「神ファイブ最高だよな。オレ攻略しよ」

「柴田ちゃん狙ったら許さん」

　彼らの声の大きさで、周りの女子に聞かれて、少し引かれていたことは、黙っておこう。

「神里〜。お前は大田と仲良いからいいよなー」

「まじそれ」

「本当にね」

「いやいや、特別仲良くはないよ」

　確かにそこそこ喋るものの、向こうはこっちに気はないだろうし、俺もそういうことをしてる暇はないからな。

「てか、関根さんは？」

「いるわけないだろ、あいつが。チビだし、うるさいし」

　全否定は流石に酷くないか？　関根さんだって、確かに柴田さんの横にいるから見劣りするだけで、悪くはないと思う。

　石井の笑い声が響いているところで、後ろから足音が聞こえてきた。

「……誰がいないって？」

「って関根？！」

　さて、石井はこの状況をどうやって乗り切るのか気になるな。

「いや、こっちの話だから、関根には関係ないよ……」

「あたしの名前が確かに聞こえたんだけど。なんか悪口でも言ってたの？」

「別にチビとかうるさいとか言ってな……。あ」

　それから関根さんの表情が険しくなっていくのが感じられた。

「イシイ？　ちょっと表出ろ」

「やめてくれ……。ギャー！！」

　そして彼は廊下に連れ出されていった。

「まあ、彼にはいい薬になると思うよ」

「そうだね」

　とりあえず無事でいられるよう願っておいた。

　しばらくすると、他クラスの男子が沢山俺らのクラスに来た。勿論目線はあの五人に対して向けられていた。

「わあ、みんな可愛いな。お前ら誰が好み？」

「大田さんかな。あの茶髪の子。優しそう」

「わかるわ。絶対いい子だよな」

　彼らの話を聞いていると、大田さんが抜けていたものの、それ以外の四人も均等に人気があることがわかった。なんか『男子高校生らしいな』と思ってしまった。