#25 写真撮影、運動した後のご飯は美味しい

 その後、みんなと合流した俺たちは、頂上に向けて歩いていた。真斗は一輝や莉果によって大人しくなっていたので、ラッキーだった。


 それからは、みんなと雑談しながら頂上に到着した。俺らより遅い班はいたものの、石井たちの班は先に到着していたので、真斗は負けたと言うことになる。するとすぐに石井がこっちに向かってきた。


「田中〜。俺の勝ちだな」


「負けたわ・・・・・・。てか何でそんな早いんだ?」


 石井は暫くしてからニヤリと笑った。


「俺らの班。みんなそこそこ運動出来るし。そっちの班は俺らより運動出来る人多いけど、一人・・・・・・。ね?」

 

 石井が体力勝負で真斗に勝負を仕掛けた理由がわかった。普通にやりやったら彼に勝つのは厳しい。しかし、班なら全員が合わせないといけない。


 それで、伊藤さんを利用したと言うことだろう。まあ俺も彼女に付き合ったので、利用されたようなもんかもしれない。正直この勝負は真斗が激辛カップ麺を食べることになるだけなので、別に俺らに弊害はない。


「頭脳戦で負けたぁ〜」


「まだまだだな」


 みんなこの二人の茶番を見て呆れていたのか、空気が白けてしまった。とりあえず俺はこの空気を変えようと思い、ギャグを言うことにした。


「いや、ショボい頭脳戦だな」


「なんだって??」


「あはは・・・・・・」


 俺の発言と石井の反応によって、この場に笑いが生まれた。とりあえず場の白けはなくなった気がする。


「てか、みんな速かったね。ボクは別に登ったことないけど、サッカーやってるお陰で体力はあったからかな。みんなは経験あったの?」


「俺は大・・・・・・。子供の頃登登ったことがあるよ」


 つい大学と言いかけてしまった。最悪言ってしまったらボケってことにすればいいものの、説明が面倒なので言わないに越したことはない。


 俺以外にも数人登山経験がある人がいた。まあ、俺は数回行っただけなので、俺より登山に慣れているだろう。


 暫くして、他の班の人たちも到着してきたので、写真撮影ということになった。背の順で並ぶので、男女比率的に男子は少ないので、身長が高い男子は少なく、一応クラスで一番身長の高い俺は確実に後ろになる。鈴木と真斗が俺より数センチ低いくらいで、それ以外は大田さんとそこまで変わらないくらいだ。いや、一輝はもう少し高いか。


 そしてカメラマンのカメラに向かって顔を向ける。別に俺は写真を撮られるのは嫌いではないので、なんとも思わないが。一部の女子は、手鏡で髪型を整えていた。因みに真斗もだ。


「髪型直さねえと、オレのイケメン面が」


 かなり痛いセリフであるが、真斗のキャラがもう確立しているので、みんな笑っていた。


「いや、雰囲気イケメンだろ。自意識過剰。俺の方がかっこいいね」


 そこに石井が入ってきて、真斗より自分の方がイケメンだと主張した。俺の主観だが、石井はそこそこ顔が整っているものの、真斗の顔には敵わない気がする。しかも『雰囲気イケメン』って一応イケメンって認めてるし。


「いや、二人とも自意識過剰だから」


「鈴木くんには敵わないよ〜」


 女子二人の否定を受けて、二人はなお目に見えて落ち込んでいるのがわかった。俺にもう少しコミュ力があれば、ここでボケをかませるのだろうか。


「えっとね私は二人ともいい人だと思うよ」


「大田さん・・・・・・。マジで聖女」


「大田やっぱ優しいな」


 大田さんの発言を受けた二人は、先ほどの落ち込みようがどこに行ったんだってくらいの気分の変わりようだった。


「撮るから静かにね」


 その声の後すぐに掛け声が聞こえてきたので、ポーズをとった。それからシャッター音が鳴り響いた。


 それからみんなで戻って、昼食の時間になった。バイキング形式で好きなものを取れるようになっていたので、俺は好きなものを一通り取ってきた。例えば、唐揚げ、ハンバーグ、フライドポテトなどだ。やっぱりこういうものが美味しい。特にあの企業に入ってからこういうものも食べる余裕がなくて、ゼリー飲料とかばっかだったからな。因みに、転生してから食べた母の手料理が一番美味しかった。


 また真斗はありえない量の食事を持ってきていた。まあ流石体育会系と言ったところだろうか。莉果もそこそこの量を取ってきていたが、真斗と比べたら全然だった。他のみんなは俺よりも食べてないし・・・・・・。


「結構美味しいな」


「うん。なんか懐かしい」


 懐かしい? 確かに昔食べたような味がするけど。大田さんも昔食べたことがあるのだろうか。


「食べたことあるの?」


「なんか食べたことある味がする」


 まあ小学校の宿泊合宿で来てたりしてる可能性もあるし、おかしくはない。


「なるほど。確かに俺もそうかも」


「怜遠味音痴じゃないの?」


 また真斗はそうやって・・・・・・。乗ってやるよ。


「貧乏舌に言われても説得力ないな。なんでも美味しいしか言わないしな」


「は? 美味しいものに美味しいって言って何が悪い」


 確かに言ってることはごもっともだが、感想は探せばもっと他にあるだろ・・・・・・。


「そういえば、レクリエーションって何やるんだろう」


「多分鬼ごっこやドッジボールあたりじゃない? バレーはコート必要だし、バスケも人数的に厳しいし」


「ドッジボールでみんなコテンパンにしてやるぜー」


「田中女子にも関係なく本気で当てそう」


「大丈夫。痛くないところに当てるから」

 

 そういうことじゃないだろと思ったが、レクリエーションなので怪我したら笑えないので、結構痛いか痛くないかは重要な気がする。

 

 まあ仮にドッジボールになったら、真斗と鈴木が中心になって、やっていくだろう。まあ俺は元外に行くか、中で避け続けるかのどちらかにしようと思う。


 鬼ごっこになったら、鬼になるのが楽だろう。体育館内で逃げ続けるなんてキツすぎる。 


 まあ何になっても、楽しんで行こうと思う。

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