ぬま
ぬま
学校の近くの山に沼がある。
これは、そんな少し田舎な地域の話だ。
沼には沼の主と呼ばれる存在が住んでいて、昔は数年に一度生贄を沼に放り込んでいたという話だ。
生贄と言っても人ではない。
猪や鹿、そう言った物だ。
ただ、それは現在の話であって、記憶にも残ってないが、昔は人も口減らしのために人も生贄にされていた、そんな話もある。
そう言った話が伝わっているからか、その沼には、特に子供は沼に近づくな、そう言われている。
沼の主は生贄で人の味も覚えてしまい、人を欲することもあるからだそうだ。
そんな沼がある山にも開発の話が持ち上がる。
山の持ち主はその山を業者に売ることを頑なに拒んでいたが、代替わりがありその山も売られてしまう。
山は削られ、沼も埋め立てが決まる。
埋め立てるために沼の水を抜いていると、沼の底から信じられない量の骨が出て来る。
ほとんどは動物の骨だが、明らかに人骨も紛れていた。
それも一人や二人の数ではない。
流石にそのまま埋めることも出来ず警察に連絡がいく。
その結界、一番古い人骨で大体百年前、新しい物で十年前という結果が出た。
十人には満たない人数だが、それだけの人骨が見つかってしまったことで、再開発の話は流れる。
仕方なくそこを市がその山を買い取り、途中まで開発された土地に小さな慰霊碑と資料館が建てられた。
見つかった骨の中には、見たこともない大きな骨もあり、今もその資料館の倉庫に保存されているという。
その倉庫が稀に沼のようなそんな臭いが漂ったり、なぜか倉庫の床が泥で汚れることがあるのだという。
ただそれだけの話だ。
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