第25話 妖艶な姿をした九尾の狐。その名も……。
「こん。私達の仲間はね、国の戦乱を治めるために、消滅してしまったわ」
「消滅?」
不穏な
「こん。そう、その時に生き残ったのが、私たち姉妹を含めて五人の
「五人ということは…………四人の仲間たちが亡くなったってことだよね」
「ごん。そうだぞ、戦乱で半分の仲間たちが亡くなった。残ったのは、
「女狐? ずいぶんと乱暴な言い方だけど、同じ仲間なんじゃないの?」
「ごん。女狐が仲間だと? うーん、そうとも言えるが、そうではない」
「えっ、それってどういう意味?」
また先ほどのように、
「こん。
「ごん。姉さま、またしてもすまない……」
それはかつて、九尾の狐として共に過ごしていた仲間の一人。序列では一番位が高く、側近を務めるほどの妖力を持ち得た存在。とはいうものの、その性格や行動には問題があり、容姿の優れた男がいれば見境がなく声をかける。
ところが、こうした放漫な性格は留まることを知らず、あろうことか
そんな
このような事から、仲間たちの中でも人一倍嫌悪感を抱く
「こん。
「ごん。じゃあ何故、女狐は
姉の話に納得のいかない妹は、不満げな表情で反論する。けれども、この質問に対しても笑顔で答える
「こん。それはね、あえて嫌われるように仕向けているのかも知れないわ。そうすることで、戦場から自身への意識を逸らしていると思うの」
「ごん。どういうことなのだ? 私には、姉さまの言ってることが、さっぱり分からないぞ」
「こん。そうねえ……分かり易くいえば、
「ごん。もちろん、姉さまに決まっている」
「こん。だったらね、戦火の中で、
「ごん。答えは同じく、姉さまだ」
二択の中で、仲間を救うためならどちらを選ぶのか。そんな突拍子もない質問に対して、
「こん。つまりね、そういうことなの。好意を寄せている者達を優先するのが
「ごん。そうなのか?」
「こん。そうよ、だからそれを知っていた
「ごん。あの女狐め、回りくどいことを……」
腕を組みながら不満そうに呟く
「こん。これで
「ごん。人間に?」
「こん。人ってね、嫌いでも困っている人がいれば、誰彼構わず助けようとする。それが人間の感情であり、
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